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大学事例|低学年次からの企業交流でキャリア形成の質を高める|岐阜協立大学

経済学部(経済学科・公共政策学科)、経営学部(経営情報学科・スポーツ経営学科)、看護学部(看護学科)の3学部5学科を擁する総合大学・岐阜協立大学。地域に根ざした実践的教育を特色とし、少人数制でのきめ細かな指導を行っています。2025年度からはキャリア教育を大幅に改革し、低学年次からの企業交流プログラムを導入しました。今回は、その最前線でプログラムの設計・運営を担った改革の背景や狙い、学生に身につけてほしいスキルなどについて、キャリア支援課の田部氏にお話を伺いました。

Profile

田部 良司氏
岐阜協立大学 キャリア支援課
立命館大学経営学部卒業後、大手建設資材企業で人事・企画を担当した後、人材派遣・紹介会社で採用と人材育成に携わる。その後、岐阜労働局での就労支援を経て、2014年に岐阜協立大学へ。人事経験とキャリアコンサルティング技能士としての専門性を活かし、学生支援に従事。2025年度のキャリア教育改革では、低学年次からの企業交流プログラムの設計・運営を主導した。

低学年次のうちから企業とつながる新しいキャリア教育

まず、大学1~2年生を対象としたキャリア教育の抜本的な改革に取り組まれた背景を教えてください。

採用市場の変化を踏まえ、従来のように大学3年生からキャリア教育を始める体制では、学生が「就活のスタートラインに立てない」という問題意識がありました。

そこで、キャリア教育の重点を低学年次へとシフトし、大学2年生終了時までに全学生が「企業訪問の機会」と「企業の人事担当者と話す機会」を持てるようにしたのです。

―なるほど。改革の具体的な内容についても教えていただけますか?

大学1~2年生の段階から、企業と交流できるプログラムを導入しました。まず、大学1年生の前期には仕事を観察する「ジョブシャドウイング」を実施します。

アメリカではインターンシップの前段階として広く行われている見学特化型のプログラムで、初年度は製造・IT・建設など多業種の地元企業約10社の協力を得て、約250名の学生が参加しました。

また、大学1~2年生を対象に、現場で活躍する社会人と直接対話する独自のイベント「ジョブ・トラベル」を開催しています。一方的な講義形式ではなく、企業の社員や団体の職員と車座形式で直接対話できるのが特徴です。

地域企業や官公庁を合わせて30の企業や団体にご参加いただき、600名規模で実施しました。人事担当者だけでなく、OB・OGからリアルな声を聞ける機会があることから、学生の参加率は91.9%、満足度は93.0%と高水準です。

―インターンシップについては、何か工夫をされていることはありますか。

大学3年生だけでなく、大学2年生の段階から参加できる機会を設けました。また、自己分析・業界研究・ビジネスマナーの座学から始まり、1日の外部実習、夏季インターンシップ、そして報告会へとつながる、一貫したプログラム構成になっています。改革により、参加者数は前年度の8名から95名へと大きく増えました。

―学生に行動を促すための工夫は、どのようにされているのでしょうか?

「ジョブシャドウイング」や「ジョブ・トラベル」は、必修科目としました。また、インターンシップは任意参加ではあるものの、「インターンシップ正課授業」と位置づけ、報告会も開催しました。

大学1年生はその報告会への参加を必須としており、先輩の体験談を聞くことで、より深い業界・企業・職種研究へとつなげられるように取り組んでいます。

就職活動前に社会と接する経験が、学生の自信を育む

低学年次からの一貫したキャリア教育の大切さについて教えていただけますか。

これまでのように、大学1年生で自己分析を行い、大学3年生で就活のハウツーを学ぶだけでは、学びが断片的になりがちでした。

一方で、段階的に経験を積める仕組みを作ることで、大学1~2年生のうちから複数の企業や団体を訪問し、実際の現場に触れることで、早い段階から業界・職種・企業への理解を深められます

こうした経験の積み重ねによって、大学3年生で就活準備を進めていく頃には、「現場も人事担当者も知っているので不安がない」という状態につながるでしょう。

さらに、学生一人ひとりが納得度の高い進路を選択し、自信を持って社会へ踏み出せるようになると考えています。

―キャリア教育以外の部分で、学生を継続的に支える仕組みはどう整えているのでしょうか?

キャリアアドバイザーは学科ごとの担当制としており、大学1年生の段階から同じ担当者が継続して相談に応じることで、学生が安心して話せる関係を築いています。

また、岐阜協立大学には私を含めて企業の人事採用経験者4名が在籍し、全員がキャリアコンサルタントまたはキャリアコンサルティング技能士の資格を有しています。企業側の視点を踏まえた実践的な支援ができる点も強みです。

キャリア教育の改革における大きな壁と挑戦

―低学年次に重点を置いたキャリア教育を導入するうえで、困難だった点は何でしょうか?

最も難しかったのは、大学側に必要性を理解してもらうことでした。「ジョブシャドウイング」や「ジョブ・トラベル」を必修科目とする意義などを、教授会で重ねて説明しました。

就職白書や他大学との比較データを提示し、低学年次からの取り組みが不可欠であることのエビデンスを示していきました。

カリキュラムの構築においては、学外のキャリアコンサルタント仲間との意見交換を行ったほか、マイナビなど外部機関のノウハウも大きなヒントになりました。

多方面から得た知見を自分たちの視点で咀嚼し、必要な要素を組み合わせることで、より実践的なプログラムへと仕上げていきました

―協力企業を開拓するのも、大変だったのではないですか。

商工会議所や自治体を地道に訪問し、「こうした教育を進めたいので、ご協力いただけませんか」と直接お願いしてまわりました。

岐阜協立大学の採用実績があり、学生を安心して送り出せる優良企業と提携を進めています。さらに、今年度は「GKUパートナーシップ企業制度」を立ち上げ、100社の確保を目指す方針です。

経験を言語化し、進路と企業を主体的に選び抜く力を育成

低学年次からの一貫したキャリア教育による学生の意識の変化は、実感されていますか?

学生の意識の変化は明確に表れています。「ジョブ・トラベル」では「若手社員の話が就活のきっかけになった」「業界のイメージが具体的になった」といった声が多く、視野の広がりにつながっています

個別の成長も顕著で、建設業に興味を持った女子学生は文系ながら自らゼネコンのオープンカンパニーに参加するほど意欲的になりました。

内向的だった男子学生も「ジョブシャドウイング」を機に積極性が増し、合同説明会に足を運ぶようになるなど大きく変化しています。取り組みの成果は数字にも表れており、2026年卒の実就職率は約98%となりました。

―継続的なキャリア支援を通じて、どのような学生を育てていきたいですか。

「どんな仕事をしたいのか」「どういった環境で働きたいのか」「そのために大学で何を学ぶべきか」を、自分の言葉で語れる学生に育ってもらいたいです。

また、大手企業だけでなく、地域に根ざした中小企業にも優良企業は数多くあります。大学が認定する「GKUパートナーシップ企業制度」など信頼できる情報を活用し、自分の目で納得のいく就職先を選べる力を身につけてほしいです。

―今後の展望について教えていただけますか?

学生が納得して社会に踏み出せるよう、中長期インターンシップの拡充や企業との協働を進めていきたいと考えています。企業には卒業研究に活かせるテーマも提供していただき、学びとキャリアを結びつける実践的な仕組みも強化したいです。

また、高校生向けのキャリア教育にも着手し、2026年度は岐阜県内の高校生を対象に大学の学びや先輩訪問を通じて“岐阜で学び、岐阜で働く”ことを実感してもらう予定です。将来的には、中学生にも地域企業の魅力を伝えていきたいと思っています。

最後に、他大学の皆さまへメッセージをお願いします。

私がお伝えしたいのは、「低学年次から企業との接点をつくること」が学生の成長を大きく後押しするという点です。

大学1年生のうちから職場を見て社会人と話す経験は、学生の自信と主体性を確実に育てます。地域企業などとの連携は簡単ではありませんが、一歩踏み出せば協力者は必ず現れるでしょう。

岐阜協立大学のアイデンティティである「協立=ともに立ち向かう(Standing Together)」の精神のもと、全国の担当者の皆さまと力を合わせ、学生が自分らしい未来を切り開ける環境を一緒に広げていければと願っています。

Editor’s Comment

今回は、岐阜協立大学のキャリア支援課の田部様に取材させていただきました。「低学年次から企業と接点を持つことで、就職活動時の質の向上や学生の自信につながる」という発見のもと、低学年次から年次を縦断した支援プログラムの開発・実施に注力されていました。
「卒業後に豊かで幸せな人生を歩んでほしい」という想いで、大学1年生から大学3年生前期まで必修化されているキャリア科目では、「ジョブ・トラベル」や「ジョブシャドウイング」など、学生にとって親和性の高いネーミングと実践的なプログラムを実施している点も印象的でした。
地元就職への促進、今後の中長期インターンシップの構想など、さらに広がりを感じる今後の取り組みにも注目です。
(マイナビ編集長:高橋)

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