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大学事例|2週間の海外インターンシップの経験が学生を大きく成長させる|福井工業大学

健全な人格を持つ実践的な技術者を育成し、社会の発展に寄与することを建学の精神とする福井工業大学。福井県の地域産業を支えつつ、工学系を中心に専門性の高い人材育成を行い、入学から卒業まで一貫したキャリア形成支援を特徴としています。専門知識だけでなく、人間力や協働力、グローバルな視野を養うため、近年では特に「海外インターンシップ」に力を入れているといいます。今回は、海外の現場で働く体験を通じて学生の視野を広げられる本プログラムについて、キャリアセンター長の五十嵐氏にお話を伺いました。

Profile

五十嵐 啓
福井工業大学 キャリアセンター センター長 / 工学部 建築土木工学科 教授
大学卒業後、建設会社で意匠設計を20年間担当し、2006年より福井工業大学教員として学生教育に携わる。2025年より福井工業大学キャリアセンター長を兼務し、学生のキャリアに寄り添う支援を行っている。

文字だけでは分からないグローバルのリアルに触れる

まずは、貴学のキャリア支援の基本的な考え方を教えてください。

私立大学である以上、学生の就職率は非常に重要な指標ではありますが、一方で数字だけを追いかけるのではなく、入学から卒業まで一貫してキャリア教育を行い、学生一人ひとりの自己実現につなげていくことを大切にしています。

また、そういった支援を続けるなかで、今の学生には専門的な知識や技術だけではなく、協働力やコミュニケーション力、異文化理解力が求められていると強く感じました。というのも、これからの学生たちのキャリアを考える際、グローバルが欠かせない要素だからです。

さらに福井県には海外進出している企業も数多くあります。だからこそ、学生生活だけでは見えないグローバルのリアルに触れることで、自分の将来に対する解像度を高めて欲しい。こうした背景もあり、2016年に海外インターンシップをスタートしました。

なるほど。それでは、海外インターンシップの具体的な中身について教えていただけますか?

対象は全学部・全学科の3年生で、期間は夏休みの2週間となっています。主な渡航先はタイやベトナムです。受け入れ企業は福井県に本社を持ち、海外展開しているメーカーが中心で、一部、福井県に支社を持つ大手企業にもご協力いただいています。2025年は12社に2名ずつ配属し、計24名が参加しました。

中堅・中小企業も多く含まれるのですね。

地方の中堅・中小企業であっても、グローバルなサプライチェーンの中で大きな役割を果たしていることにリアルな実感を持てるのは、学生にとって非常に大きなポイントです。

たとえば、学生たちが就職活動を始めると、採用サイトや入社案内から海外拠点があることは情報として知ることはできます。しかし、現地の工場を見て働く人々に触れると、同じ情報の受け取り方がまったく変わりますからね。

選抜制と事前研修でインターンシップの質を高める

海外インターンシップを始める際、受け入れ企業の開拓はどのように進めたのでしょうか?

地元企業や海外拠点の駐在員の中に、福井工業大学のOB・OGが多いことが大きな力になっています。また、趣旨をご説明すると賛同してくださる企業が多く、受け入れ先の広がりにつながっています。

では、学生の参加者はどのように集めているのでしょうか?

学生は希望すれば誰でも参加できるわけではなく、就職支援課で複数回の面談を行い、学科の教員とも連携しながら選抜しています。語学研修ではなく就業体験であることを必ず伝え、現地で何を学びたいのか、日本の技術が海外でどう活かされているのかまで考えられているかを丁寧に確認します。

学生の選抜が終わると、4月から事前研修がスタートし、渡航までに約10回の集合研修を実施します。英語研修や生活準備だけでなく、企業研究や目的の言語化ワークなど、土台づくりをしっかり行うのが特徴です。

学生にはどのような変化を期待していますか?

学生には、海外インターンシップを通して技術以上に度胸を身につけ、よりたくましく成長して帰ってきて欲しいと思っています。ただ、海外に行ってみたいという動機だけでは2週間の就業体験は乗り切れません。異文化の環境で主体的に動く経験こそが、大きな成長につながると考えています。

安全面や費用面は、各大学にとっても大きな関心事だと思いますが、その点はいかがですか?

バンコクには福井工業大学のASEAN事務所があり、現地駐在スタッフが学生の生活支援や企業との調整、トラブル対応など担っています。留学生受け入れや協定校連携に関連した業務を行う拠点であると同時に、海外インターンシップの運営においても欠かせない存在です。

また、期間中は教職員も現地に入り、企業へのお礼訪問や何かあったときに大学として迅速に動けるよう、ASEAN事務所と教職員が連携した体制は不可欠ですね。

海外経験という挑戦が確かな自信と行動力を生む

実際に海外インターンシップに参加した学生の印象に残っているエピソードを教えていただけますか。

ある1人の学生が、初日から大きくつまずいてしまったことがありました。業務内容も指示の英語も理解できず、「もう無理かもしれない…」と不安な気持ちを打ち明けながら連絡してきました。

渡航前の研修を通して、安心して話せる関係ができていたことから、その時も丁寧に話を聞き、まずは1日ずつ頑張ってみようと送り出しました。すると最終日には、一人で英語プレゼンをやり切り、晴れやかな表情で「頑張って良かった」と報告してくれました。

この経験を機に就活への意欲が高まり、その学生は海外インターンシップに参加した企業から内定もいただいています。語学も専門知識も文化も、一度に押し寄せる環境だからこそ、乗り越えたときの自信は非常に大きいと実感しています。

その後の就職活動にも変化が出てきますか?

一番大きいのは、キャリアへの向き合い方が格段に前向きになる点です。事後アンケートでは約5割が研修先企業の選考に進みたいと回答し、約7割が将来を考える上で非常に役立ったと答えています

全員が後輩にも勧めたいと話しており、現地で働く体験が価値観や意識に強く影響していることがわかります。

また、研修報告書にも、海外進出企業の役割を理解できた、働くことへの考え方が変わった、語学力やコミュニケーション力の必要性を実感したなど、得た学びが明確に表れています。改めて、単なる海外体験ではなく、キャリアの軸を磨く機会になっていると感じています。

現地で働く姿を見たことで、世界で働く自分をリアルに描けるようになる。それこそが、このプログラムの最大の効果だと感じています。

寄り添う支援で約6%の経験をキャンパス全体に広げる

今後の課題や展望を教えてください。

海外インターンシップに参加するのは、1学年約500名のうち毎年約30名、全体の約6%前後です。非常に濃い経験ができる一方で、残り約94%の学生にどうキャリア支援を届けるかも同じくらい重要だと考えています。

福井工業大学では、1年生からのキャリア形成科目や、約270社が参加する学内合同企業研究会、学内個別説明会など、国内での取り組みも積極的に行っています

ただ、最近はインターネットやSNSで情報が手に入りやすくなり、キャリアセンターに相談せず自己完結で進路を決める学生も増えてきました。本当にそれが本人にとって最良の選択かどうか、一緒に考える機会をどう作るかが今後の課題だと感じています。

最後に、他大学の皆さまへメッセージをお願いします。

どれだけAIが発達しても、学生は人間ですし、私たちも生身の人間です。不安や迷いを感じ、弱音を吐いてしまう学生に対して、親身に寄り添ってまずは明日乗り切ろうと言ってあげられるのは、人対人の支援だからこそできることだと思います。

海外インターンシップに行く約6%の学生の経験を、報告会などを通して他の学生にも共有しつつ、教職員が連携しながら、顔の見える距離感で一人ひとりのキャリアに寄り添う。そうした取り組みを、これからも大事にしていきたいです。

Editor’s Comment

福井工業大学の五十嵐キャリアセンター長を取材させていただきました。2016年から続く海外インターンシップのお話で特に印象に残ったのは、「度胸を身につけ、よりたくましく成長して帰ってきて欲しい」気持ちで学生を送り出しているという言葉です。就職活動生の国内就職志向が強まる中、少子高齢化が進む日本では、多様なバックグラウンドを持つ人々と共に働くことは避けられません。そこでは他国の文化を理解するだけでなく、主体的にコミュニケーションを取る必要があり、そのベースとなる要素が「度胸」だと私も感じました。また、国内では4日間で約270社が参加する学内合同企業研究会の開催や学内個別説明会など、手厚くきめ細やかな支援体制も深く印象に残りました。
(マイナビ編集長:高橋)

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