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大学事例|少人数制のキャリア教育で学生の可能性を広げる|大阪経済大学

2032年に創立100周年を迎える大阪経済大学は、大阪の中心部に位置する「都市型複合大学」です。大学4年間にわたるゼミナール形式の授業に象徴される「少人数教育」や、活発な研究活動、地域・国際社会との「共創」を大切にしながら、教職員と学生とのつながりを重視した人材育成に取り組んでいます。日経キャリアマガジン特別編集『価値ある大学 就職力ランキング』では、就職支援において5年連続で近畿の私立大学で唯一トップ2にランクイン。今回は、その背景にあるキャリア支援の取り組みについて、学生・キャリア支援部長の加藤氏にお話を伺いました。

Profile

加藤 正憲氏
大阪経済大学 学生・キャリア支援部長
2000年3月に、大阪経済大学を卒業。IT企業に就職し、2004年10月に大阪経済大学へ。社会連携やキャリア支援を担当した後、法人企画部門を経験、国際共創学部の設置にも尽力した。2025年からは、学生生活から就職までをワンストップで支援する学生・キャリア支援部に異動し、日々学生と向き合っている。また、「関西学生就職指導研究会(関就研)」の副会長としても活動し、大学間の連携やキャリア支援の充実化に取り組んでいる。

低学年から自分を知り、将来を考えるきっかけを提供する

まず、低学年向けのキャリア支援では、どのような取り組みをされているのか教えていただけますか。

大学1年生から2年生にかけて正課の授業としてキャリア教育を実施しています。「キャリアデザイン」「社会人基礎学力I・II」といった基礎科目に加え、「プレゼンテーション入門」「論理的思考入門」などのスキル系科目で構成されているのが特徴です。

学生には学生らしい時間を思い切り過ごしてもらいたいと思っています。だからこそ、大学1年生からのキャリア教育は、就職活動のための知識を早く身につけてもらうことではなく、自分の可能性を広げ、将来の選択肢を考える力を育むことを目的として行っています。

低学年のうちから自分の可能性や将来の選択肢に目を向けることで、自分自身を理解し、視野を広げることにつながり、学生はより主体的にキャリアを描けるようになるでしょう。

―大学2年生以降は、どういったキャリア支援を実施されているのでしょうか?

大学1年生で学んだ内容をさらに発展させながら、将来のキャリアについて考える機会を設けています。大学2年生の秋には、キャリア支援課の職員が各ゼミを訪問して「ゼミ別ガイダンス」を開催しています。進路選択に向けた準備の進め方や、適性検査、筆記試験への取り組み方などについて説明しています。

また、「ゼミ別ガイダンス」は大学3年生にも開催し、自己分析の進め方や夏のインターンシップへのエントリー方法など、今後の就職活動に役立つより実践的なレクチャーを行っています。

「ゼミ別ガイダンス」で、学生一人ひとりの顔が見える支援を

就職活動に関するガイダンスをゼミ単位で実施しているのは、なぜなのでしょうか

学生の主体性はもちろん大切ですが、それを待つだけでは支援が届かない学生もいます。学生が自ら行動を起こせるよう後押しするためには、私たちから積極的に働きかけることも大切だと考えています。

そうした想いから、約15年前に「ゼミ別ガイダンス」をスタートし、現在は約180のゼミごとに就職ガイダンスを実施しています。

―約180のゼミごとにガイダンスを行うのは、大変ではありませんか?

10名弱のキャリア支援課の職員で対応しているため、決して簡単な取り組みではありません。それでも、学生一人ひとりに寄り添った支援を実現するためには、欠かせないものだと考えています。

1ゼミあたりの学生数は20名程度です。学生の表情を見ながら話ができるため、内容を自分事として受けとめてもらいやすくなります。

また、「ゼミ別ガイダンス」を通じて、キャリア支援課の職員の顔や名前を覚えてもらえることも大きな効果の一つです。日頃から相談しやすい関係づくりにもつながっています。

―「ゼミ別ガイダンス」を実施することで、どのような効果がありましたか?

少人数だからこそ、学生一人ひとりの顔が見える支援につながっています。その結果、全学生の約8割が主体的にキャリア支援課の面談を利用し、年間延べ約1万件の就職面談を実施しています。単純計算すると、学生一人あたり年間4~5回程度キャリア支援課を訪れていることになります。

―それは凄いですね。ゼミ担当教員とは、どのような連携を図っているのでしょうか

就職活動や進路選択で悩んでいる学生がいれば、教員からキャリア支援課での面談を勧めてもらっています。

また、個別面談の場面では教員から学生の性格やこれまでの経験などを共有してもらうことで、より学生一人ひとりに合った支援を実現しています。現在では、学生のキャリア支援を進めるうえで、ゼミ担当教員との連携は欠かせません

少人数制で難関企業への挑戦を後押しする「大樟塾」

―「ゼミ別ガイダンス」と並ぶキャリア支援の柱の一つに、「大樟塾」があると伺いました。これはどのような取り組みなのでしょうか。

就職活動に真剣に取り組み、難関企業に挑戦したい学生を対象とした少人数制講座です。応募者のなかから選抜された約30名が集まり、互いに切磋琢磨しながら必要なスキルを身につけていきます。

講師は元大手企業の採用担当者などが務め、1泊2日の合宿を含めて、半年間にわたり講座を実施しています。

単なる知識のレクチャーではなく、模擬面接やグループワークといった実践型のプログラムを中心に、講師からのフィードバックを受けながら社会で求められる力を磨いていきます。

―「大樟塾」を立ち上げた背景には、どのような想いがあったのでしょうか?

「大樟塾」は、リーマンショック後の買い手市場の時に立ち上げました。きっかけは、学生全体の力をさらに高めたいという想いがあったからです。

組織には、上位2割・中間層6割・下位2割にわかれるという「2:6:2の法則」があります。大阪経済大学の学生は十分なポテンシャルを持っていますが、そのなかでも特に、あと一歩で大きな成果につながる学生を後押しし、上位層を増やすことで、学生全体の底上げにつなげたいと考えました。

数ヵ月間にわたって指導していくなかで、学生のモチベーション維持には難しさを感じますが、志望企業への入社をゴールにするのではなく、自分の可能性を広げ、より高い目標に向かって挑戦し続けてほしいです。そのために、学生自身が新たな目標を見つけ、挑戦し続けられるよう働きかけを行っています。

―「大樟塾」に参加した学生たちの成果についてはいかがでしょうか。

就職率は100%で、塾生が行きたい企業・団体から内定を獲得しており、「大樟塾」での学びを通じて成長し、希望する進路を叶えています

また、塾生たちが周囲の学生たちに「大樟塾」で学んだことを伝えるなど、学びが学生同士で広がっていることも大きな成果です。

さらに、高校生や保護者からも「大樟塾」に高い関心を寄せていただいており、大阪経済大学のキャリア支援を象徴する取り組みの一つとなっています。

就職だけでなく、多様な進路選択をサポートできる存在へ

―学内で開催される合同企業説明会には、毎年500社もの企業・団体が参加しています。これほど多くの企業・団体が集まる理由は何でしょうか?

やはり卒業生の活躍が大きいと思っています。卒業生が多様なフィールドで活躍しているからこそ、企業・団体の皆さまにも「大阪経済大学の学生に会いたい」と感じていただけているのではないでしょうか。

また、個別面談では合同企業説明会で仕入れた参加先のリアルな情報や人事担当者の人柄などを学生に伝えることで、学生が思いもよらなかった企業・団体との出会いにもつなげています。

―低学年からの継続したキャリア支援を通じて、どのような学生を育てていきたいとお考えですか。

私たちの最終的なゴールは、大阪経済大学のミッションである「生き続ける学びが創発する場となり、商都大阪から社会に貢献する人財を輩出する」ことです。その根底には、学生一人ひとりが幸せな人生を歩んでほしいという強い想いがあります。

就職活動や進路選択の過程では不安や悩みを抱えることもあるでしょう。そんなときに、いつでも相談できる大人が大学にいることを忘れないでほしい。

そして、人生の大きな節目だからこそ、自分の可能性を信じて思い切った挑戦ができる学生に育ってほしいと願っています。

―今後の展望についても教えてください。

まずは、個別面談の機会をさらに充実させていきたいと考えています。また、キャリア支援は就職だけを意味するものではありません。

進路が多様化するなかで、起業やクリエイティブ分野など、さまざまな道に挑戦する学生に対しても、その想いを尊重しながら支援していきたいと思っています。

―最後に、他大学の皆さまへメッセージをお願いします。

それぞれの大学には異なる特色があり、学生の気質もさまざまです。しかし、学生たちが進路を考えるうえで向き合う課題には共通する部分も多くあります。

だからこそ、大学同士が情報共有や連携を図りながら、より良い支援につなげていくことが大切だと感じています。一人でも多くの学生が自分らしい人生を歩めるよう、これからも一緒に取り組んでいければと思います。

Editor’s Comment

大阪経済大学の加藤学生・キャリア支援部長に取材させていただきました。同大学では、少人数指導の強みを生かし、約180のゼミを対象とした「ゼミ別ガイダンス」を通じて、学生一人ひとりとの接点を丁寧に構築されていました。
学生の主体性に期待するだけでなく、大学側から積極的に働きかける姿勢が、年間約1万件におよぶ就職個別面談やきめ細かな支援につながっている点が印象的でした。
また、難関企業への挑戦を目指す選抜制プログラム「大樟塾」では、学生の潜在能力を引き出し、より高い目標への挑戦を後押しされています。
教職員と学生、そして先輩後輩とのつながりを大切にしながら、個々の成長段階に応じた支援を実践されている姿勢に、大阪経済大学のキャリア支援の特色と強みを感じました。
(マイナビ編集長:高橋)

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