北海道初の私立大学として1952年に設立された北海学園大学。5学部を擁する北海道最大規模の私立総合大学で、文系・理系合わせて約8,000名の学生が学び、札幌市内の豊平・山鼻の2キャンパスを拠点に教育研究活動を展開しています。建学の精神である「開拓者精神」のもと、学生一人ひとりの主体性を育み、民間企業や公務員など多様な進路選択を支援。個別相談や就職先が決定した大学4年生によるサポートなど、自らキャリアを切り拓く力を育む多彩な取り組みについて、キャリア支援センターの向井氏と荒川氏にお話を伺いました。
Profile

向井 晃平 氏
北海学園大学 キャリア支援センター・事務長
北海学園大学卒業後に入職し、学部事務室・入試部・教務センターを経て、2024年4月より現職。就職活動を内定獲得だけで終わらせず、学生一人ひとりが納得できる進路選択につながるよう支援を行う。アクセシビリティ支援では、学生それぞれの特性や困りごとに寄り添いながら、就職活動の進め方や企業へのアピール方法をともに考えている。「国家資格キャリアコンサルタント」保有。

荒川 恭介 氏
北海学園大学 キャリア支援センター・主任
北海学園大学を卒業後、同大学に入職。工学部のキャリア支援担当を1年間経験した後、16年間にわたりキャリア支援センターで学生のキャリア・就職支援に携わる。現在は主に民間企業への就職支援を担当し、学生向けのガイダンスやセミナー、個別指導などを実施しているほか、動画配信にも力を注いでいる。「国家資格キャリアコンサルタント」保有。
縦と横のつながりを大切にしたキャリア支援を実施

―まず、キャリア・就職支援を行うなかで、注力されている取り組みについて教えていただけますか。
荒川:民間企業への就職支援で特に力を入れているのは、キャリア支援センターのスタッフが学生の前に立ち、キャリア教育や個別相談を直接行うことです。大学内にいつでも相談できる存在がいるという安心感を持ってもらえるよう、日頃から学生との接点づくりを大切にしています。
また、就職活動を終えた大学4年生にも協力してもらい、実体験に基づく先輩の声を後輩へ届ける機会も設けています。身近な先輩の体験談を聞くことで、自身の将来をより具体的にイメージでき、新たな行動につながるきっかけになればと考えています。
向井:公務員志望者への支援では、学生の不安を少しでも軽減できるよう、一人ひとりに寄り添った支援を大切にしています。公務員試験は準備期間が長く、科目数も多いため、「どのように進めればよいのか」「この学習方法で合っているのか」といった不安を抱きやすいものです。そこで、学生が一人で悩みを抱え込まない環境づくりに取り組んでいます。
特に意識しているのは、同じ目標を持つ学生同士の横のつながりや、試験を経験した先輩との縦のつながりをつくることです。仲間や先輩と情報を共有し、相談できる環境があることで、不安が和らぎ前向きに取り組む力につながると感じています。
―民間企業への就職支援でも、公務員試験対策でも、学生同士の関わりを大切にされているのですね。
荒川:私も向井も就職活動に関する知識はありますが、実際に選考を経験した大学4年生だからこそ伝えられることがあります。インターンシップへの参加やエントリーシートの作成・提出、面接など、リアルな実体験に基づく言葉には、私たちの話とはまた違った説得力があると考えています。
向井:学生同士の接点を重視している背景には、「一人で悩ませない」という想いがあります。例えば、大学4年生との関わりでは、「先輩たちも同じように悩みながら進路を選んできたんだ」と感じられる場にしたいです。
だからこそ、先輩たちには成功体験だけではなく、「私も最初は何もわからなかった」「こんなことで迷った」「こういった失敗をした」といった率直な経験も話してもらっています。
荒川:近年は、大学4年生のサポートを受けた学生から「次は自分が後輩を支えたい」という声が多く聞かれるようになりました。支援を受けた学生が、今度は後輩を支える側になる。こうした学生同士の循環が生まれていることは、北海学園大学のキャリア支援の大きな特徴だと思います。
向井:学生同士の横のつながりを育む場としては、オープンチャットを活用しています。就職活動について、「どう思う?」「自分はこう感じたよ」と気軽に相談や意見交換を行うことができ、多様な価値観に触れられます。
さまざまな考え方に触れることで新たな発見があり、学生が「自分は何を大切にしたいのか」「どのような働き方を望むのか」といった価値観を整理するきっかけにもなっています。
「答えを示す」のではなく「一緒に考える」姿勢で支援

―キャリア支援において、学生と向き合う際に大切にされていることは何ですか?
向井:大切にしているのは、マス向けの支援ではなく、学生一人ひとりに寄り添う個別支援です。北海学園大学には約8,000人の学生がいますが、当然ながら一人として同じ学生はいません。入学の経緯も、大学で学んでいることも、将来目指したい姿も異なります。
そこで、それぞれのバックグラウンドや価値観を理解したうえで面談を行い、「どこで悩んでいるのか」「何につまずいているのか」を一緒に考えることを大事にしています。
そうすることで、エントリーシートの添削を行う際にも、「あなたの価値観なら、このように表現すると魅力が伝わりそうだね」とアドバイスするなど、その学生らしい伝え方を一緒に見つけることができます。
自分が何を大切にしているかを最も理解しているのは学生自身です。だからこそ、一人ひとりに向き合い、「答えを示す」のではなく「一緒に考える」姿勢で支援を続けています。
―学生数の多い大学でありながら、一人ひとりに寄り添った個別支援を実現するために、どのような工夫をされているのでしょうか。
荒川:規模の大きな大学では、一人ひとりへの丁寧な支援が難しいと思われることもあります。そのなかで、北海学園大学では学生が「相談したい」と思ったタイミングで予約できる体制を整備しています。個別相談はWebから気軽に予約できるようにし、予約枠もできるだけ多く確保しています。
また、自己分析やガクチカ、面接対策など、さまざまなテーマで動画も配信しています。大学に来なくても気軽に視聴でき、疑問や不安があれば個別支援につなげられる仕組みになっています。まずは動画を通じて私たちを知ってもらうことが、個別相談への心理的なハードルを下げることにもつながっていると思います。
直近3年間で個別面談の実施件数は1.5倍に増加

―低学年を対象としたキャリア支援についても教えていただけますか。
荒川:低学年向けのキャリア支援としては、まずキャリア教育科目「キャリア・アントレプレナーシップ」を開講しています。多彩なゲストを招き、実践的な授業を展開していることが特徴です。卒業生にも参加してもらい、学生時代にやっておいたほうがよかったことや働き始めて感じたギャップなど、実体験をもとにした話を届けています。
向井:また、毎年卒業生の約2割が公務員として各方面で活躍しています。そのため、大学1年生から公務員を目指す学生向けの講座を開講し、早い段階から継続的に学べる環境を整えています。その結果、実際に多くの学生が受講しています。
―なぜ低学年からのキャリア支援に力を入れているのでしょうか?
荒川:私たちは、進路選択が本格化してから将来を考えるのではなく、低学年のうちから自分の価値観や関心、将来どのように働き、どのように生きていきたいのかを考えることが大切だと考えております。
「キャリア・アントレプレナーシップ」の授業などを通じて大学1年生との接点をつくりながら、早い段階からキャリア支援センターの存在を知ってもらい、将来について考えるきっかけを提供するとともに、進路や就職活動に悩んだときに「相談してみよう」と思い出してもらえる存在を目指しています。
向井:こうした学生一人ひとりに向き合う個別支援や、大学1・2年生からの地道な取り組みが功を奏し、直近3年間で個別面談の実施件数は約1.5倍に増加しました。今年は、面談室も新たに増設し、より多くの学生が相談しやすい環境づくりを進めています。
私たちの一番の役割は学生の“セーフティネット”であること

―さらなるキャリア支援の充実に向けて、今後の展望についても教えてください。
荒川:就職率の高さももちろん大切ですが、私たちの一番の役割は学生にとっての“セーフティネット”になることだと考えています。大学4年生のなかには、進路選択の過程で悩みや不安を抱え、立ち止まってしまう学生もいます。
そうした学生を一人でも減らすことが、直近の課題です。そのためには、キャリア支援センターを「学生を待つ場所」から、「学生に選ばれる場所」へと変えていく必要があると思っています。
向井:公務員試験支援も、「大学が情報を届ける」から「学生が必要な情報を選び取る」時代へとシフトしています。筆記試験の倍率低下や採用制度の多様化を背景に、自治体ごとの選考傾向など、インターネットでは得られない情報の重要性がますます高まっていると言えるでしょう。
だからこそ、最新の受験体験談を集めて次の学年へとつなげ、公務員という進路の魅力を早期から伝え、理解を深められる仕組みづくりの充実化が必要です。
また、公務員志望の学生の就職先は札幌近郊に集中する傾向がありますが、北海道には地域ごとに異なる魅力や可能性があります。そうした地域の価値や特色を伝えながら、学生がより幅広い選択肢のなかから自分に合ったキャリアを描けるよう支援していくことも、今後の重要なテーマです。
―最後に、他大学の皆さまへメッセージをお願いします。
向井:学生の進路選択を取り巻く環境は変化を続けているなかで、全国のキャリア支援担当の皆さまも、それぞれの現場で工夫を重ねていらっしゃることと思います。私たちも、講座や個別相談を通じて、学生が必要なときに安心して相談できる環境づくりに力を入れています。今後も学生一人ひとりに寄り添いながら、納得できる進路選択を支えていく姿勢を大切にしていきたいです。
荒川:就職活動や公務員試験を経験した大学4年生が後輩を支える取り組みは、学生の不安を和らげ、前向きな行動を後押しする大きな力になっています。キャリア支援に正解はありませんが、大学同士が知見を共有し合い、より良い支援へとつなげていければ、これほど心強いことはありません。
Editor’s Comment

今回は北海学園大学の向井キャリア支援センター事務長と荒川主任に取材しました。北海道有数の大規模校ながら、学生の目線に合わせたきめ細やかな支援の充実には驚きました。
昨今、生成AIやSNSによって、学生はかつてないほど多くの情報に触れられるようになりましたが、「その情報が自分に合うのか」を見極める軸は簡単には身につきません。
職員の皆さまが自ら学生側に飛び込み、学生の実情に合わせた情報チャンネルからの情報発信など、目まぐるしく変化する学生の価値観、キャリア観をリアルタイムにキャッチアップしながら取り組み、「卒業後も遊びに来てくれる大学にしたい」と語るお二人からは学生への熱い想いを感じました。
(マイナビ編集長:高橋)
「マイナビキャリアサポート」は
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長い学生生活の出口で、学生たちを社会へと送り出す。その大きな役割と責務を担っている皆さまに寄り添い、活用いただける情報をお届けするため、2022年にサイトをリニューアルいたしました。
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