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文部科学大臣賞|教員主導のインターンシップをゼロから構築|ノートルダム清心女子大学

学生の社会的・職業的自立に貢献したインターンシップやキャリア形成支援に係る取組を表彰する「第9回 学生が選ぶキャリアデザインプログラムアワード」で「文部科学大臣賞」という栄えある賞を受賞したノートルダム清心女子大学の「英語英文学科インターンシッププログラム」。同大学は、キリスト教精神に基づくリベラル・アーツ教育を理念とする岡山の私立女子大学です。4学部8学科を擁し、「真・善・美」を追求しながら真の自由人を育成。「心を清くし 愛の人であれ」という精神のもと、自ら考え、他者に寄り添い、社会に奉仕できる人材を育てています。2025年には教員が中心となって「英語英文学科インターンシッププログラム」を立ち上げました。今回は、立ち上げの背景やプログラムの特徴、今後の展望などについて、本プログラムの構築に中心メンバーとして携わった文学部英語英文学科教授の木津氏にお話を伺いました。

Profile

木津 弥佳
ノートルダム清心女子大学 文学部英語英文学科教授
1994年にカリフォルニア大学サンタクルーズ校で言語学MAを、2000年にカナダ・マギル大学で言語学Ph.D.を取得。英国ダラム大学、ロンドン大学SOASでLecturerを務めた後、岡山大学でグローバル人材育成院・准教授としてキャリアを重ねる。2016年より、ノートルダム清心女子大学英語英文学科の教授として言語学と実践翻訳の教鞭を執り、また、「英語英文学科インターンシッププログラム」の立ち上げに中心メンバーとして携わる。

文学部で学ぶことの価値を、実社会との接点から捉え直す

「第9回 学生が選ぶキャリアデザインプログラムアワード」の「文部科学大臣賞」の受賞、おめでとうございます。受賞された感想をお聞かせください。

ありがとうございます。本プログラムは開始してまだ1年目だったこともあり、今回の受賞には大変驚きました。

ノートルダム清心女子大学では、学生一人ひとりと丁寧に向き合う教育を大切にしており、このプログラムもその延長線上にある取り組みです。

そのため、プログラムだけでなく、私たちが日頃から大切にしている教育の姿勢も含めて評価していただけたのではないかと感じ、大変うれしく思っています。

また、インターンシップに参加した学生たちの成長も、受賞理由の一つだと伺いました。教員と学生、そして派遣先である企業や法人の方達が一体となって取り組んできた成果を、このような形で認めていただけたことを大変ありがたく感じています。

―「英語英文学科インターンシッププログラム」を始めたきっかけを教えてください。

きっかけは、オーストラリアの協定校であるニューカッスル大学から、交換留学生と本学の学生が協働できるインターンシップを実施したいというご要望をいただいたことです。それを受けて検討を重ね、2025年に本プログラムを立ち上げました。

一方で、プログラムを始めるにあたっては、学生が抱くことのある「文学部の学びは仕事に結びつきにくい」というイメージを見直すきっかけをつくりたいという想いもありました。

英語英文学科での学びを通じて身につく、文脈を読み取る力や想像力、人間を深く理解する力は、社会のさまざまな場面で生かすことができます。AIをはじめとするテクノロジーが進展するなかでも、こうした力の重要性は、さらに高まっていくのではないかと考えています。

実際の仕事や社会との接点を持つことで、大学で培った力がどのように生かされるのかを、学生自身に実感してほしい。そのような想いも込めて、プログラムをスタートしました。

学内外の協力を得ながら、教員主導のプログラムを形に

ゼロからプログラムを設計するにあたり、どのような課題がありましたか。また、それを乗り越えるために、どのような工夫をされたのでしょうか。

当初は手がかりがほとんどなく、すべてが手探りの状態でした。プログラムの設計にあたって、まずは関連する書籍を読んだり、学生の声に耳を傾けたりしながら、必要な情報を集めるところから始めました。

さらに、他大学の事例を参考にしたほか、充実したプログラムを実施している近隣大学からもアドバイスをいただき、少しずつ形にしていきました。

学内では、キャリアサポートセンターの支援が大きな力になりました。プログラムの実施時期や期間、事前教育の内容などについて助言を受けたほか、学生を受け入れてくださる企業・団体の開拓にも協力してもらいました。受け入れ先とのつながりを広げるうえでは、卒業生の協力も大変ありがたかったです。

教員だけで完結させるのではなく、キャリアサポートセンターや卒業生、他大学、企業・団体など、多くの方々の力をお借りしたことで、プログラムを実現できたと感じています。

―プログラムには、どのような特徴があるのでしょうか。

大きな特徴は、原則として1つの派遣先に1名の学生を送り出していることです。学生には、受け入れ先の方々による支援のもとで、主体的に実務に取り組み、自ら考えて行動する力を身につけてほしいと考えています。

同じ大学の学生に頼るのではなく、あえて一人で現場に身を置き、すぐに頼れる人がいない環境に飛び込むことで、実社会ならではの緊張感や責任感を経験し、成長してほしいという狙いがあります。

一方で、大学側から一方的にプログラムを提案しているわけではなく、受け入れ先となる企業・団体と丁寧に話し合いながら、それぞれの現場に合ったインターンシップの内容を一緒に構築しています。

「英語英文学科の学生であれば、このような業務を経験してもらうとよいのではないか」といったアイデアを受け入れ先からいただくこともあり、対話を重ねながらプログラムをつくり上げていきました。

派遣先は、メーカー、ホテル、旅行会社、NPO法人など多岐に渡ります。いずれの派遣先でも、英語を使用する機会を盛り込んだインターンシップを実施していただきました。

―プログラムを設計・運営するなかで、難しさを感じた点はありますか?

原則として各派遣先に1名ずつ学生を送り出しているため、現状では希望者全員が参加できるわけではありません。

また、一人ひとりに丁寧な支援を行うためには、教員側のサポート体制も確保する必要があります。そのため、受け入れ先だけを増やせばよいというものでもありません。

できる限り学生の希望に応えながら、プログラムの質を維持し、無理なく継続できる運営体制をどのように整えていくか、そのバランスには難しさを感じています。

学生の意識の変化や成長が、次の取り組みへの力に

―プログラムを実施するなかで、どのような成果や学生の変化が見えてきましたか。

初回のプログラムには、大学2年生から大学院生まで、計10名が参加しました。事前指導、インターンシップ、事後指導という一連のプロセスを通じて、学生たちにはさまざまな変化が見られました。

例えば、教員や学外の方々とより積極的にコミュニケーションを取るようになったほか、授業に主体的に取り組む姿勢や、課外活動、留学などに挑戦する姿も見られるようになりました。

学生からは、「働くことの意味を自分の目で確かめられた」「自己理解を深めることができた」「将来像を具体的に考えるきっかけになった」といった声が寄せられています。

こうした声からも、本プログラムは単なるインターンシップにとどまらず、その後の学びや学生生活全般にも良い影響をもたらしていると感じています。

教員が学生一人ひとりに丁寧に寄り添い、継続的にサポートすることで、学生たちは経験を振り返り、自身の成長や課題に気づくことができます。その変化を間近で見られることは、私たち教員にとっても大きな達成感となり、次の取り組みへの力になっています。

―参加学生のなかには大学2年生もいたということですが、低学年のうちにインターンシップへ参加することには、どのような意義があるとお考えですか?

今回のプログラムでは、インターンシップの期間を5日・10日・20日の3パターンに設定しました。大学3年生以降は授業や就職活動準備などで忙しく、長期のインターンシップに参加するのは難しくなりますが、比較的時間に余裕のある大学2年生であれば参加しやすいというメリットがあります。

早い段階で実際の仕事を経験することで、自分がどのようなことに関心を持つのか、どのような環境で力を発揮できるのかを知るきっかけにもなります。また、経験を通して見つかった課題を、その後の大学での学びや活動に生かすこともできます。

早く進路を決めることが目的ではありません。低学年のうちに実社会と接点を持つことで、自分の興味や適性、大学で身につけたい力について考え、将来の選択肢を広げていくことに意義があると考えています。

文学部で学ぶことの価値を、学生自身に体感してもらいたい

―今後、このプログラムを通じて学生にどのようなことを伝えていきたいですか

近年、大学では実学・実践を重視する傾向が強まっていますが、文学部での学びは、必ずしも仕事に直結する必要なスキルを身につけることを目的としたものではないかもしれません。

しかし、言葉や文学を通して培った思考力や想像力、人間や社会を多面的に理解する力は、社会に出てからも長く役立つものです。

インターンシップで実際の仕事や社会に触れることを通じて、日頃の学びと実社会とのつながりに気づき、文学部で学ぶことの価値を学生自身に実感してもらいたいと考えています。

―プログラムを今後どのように発展させていきたいとお考えですか。

今後は、プログラムへの参加を希望する学生が増えていくことも想定しています。できるだけ多くの学生の期待に応えられるよう、受け入れ先となる企業・団体との連携を広げていくことが目標です。

一方で、持続可能なキャリア形成支援として育てていくためには、規模を広げることだけを目指すのではなく、学生への支援体制やプログラムの質を維持することも欠かせません。

学生と受け入れ先の双方にとって価値のあるプログラムとなるよう、適切なバランスを大切にしながら、少しずつ発展させていきたいと思っています。

最後に、他大学の皆さまへメッセージをお願いします。

私たち教員にとって、キャリア形成支援を目的とするプログラムの設計・運営は新たな挑戦でした。それでも、本学や他大学のキャリアサポートセンターの職員、卒業生をはじめとする多くの方々の知見や力をお借りしながら、手探りでプログラムをつくり上げてきました。

今回、その取り組みを学生の皆さまに高く評価していただけたことを大変うれしく思っています。

教員がこのようなプログラムを運営するのは大変なことですが、授業だけでは気づけなかった学生の一面や成長を知ることができます。教員自身にとっても、日頃の授業で何を、どのように伝えるべきかを振り返る貴重な機会になっていると実感しています。

教員主導でキャリア形成支援に取り組むうえで大切なのは、まず自分たちがプログラムの目的や教育的な意義について、ブレない軸を持つことだと考えています。

その軸を周囲に丁寧に伝えることで、学内外で賛同し、協力してくださる方が少しずつ増えていきました。さらに、参加した学生が受け入れ先で真摯に取り組み、成長することで、プログラムへの信頼にもつながっています。

そうした積み重ねが好循環を生み、学生にとっても企業・団体にとっても価値のある、持続可能なプログラムにつながっていくのだと思います。

私たちもまだ試行錯誤を重ねている段階ですが、日々キャリア形成支援に取り組まれている皆さまにとって、何か一つでも参考になればうれしく思います。

Editor’s Comment

ノートルダム清心女子大学英語英文学科のインターンシッププログラムは、プログラム開始初年度とは思えないほど緻密に設計されており、その背景には教職員の皆様の熱意と丁寧な準備があることを強く感じました。
ゼロからプログラムを立ち上げるにあたり、協力企業との綿密なコミュニケーションを重ねるだけでなく、キャリアサポートセンターや卒業生、他大学へのヒアリングなど幅広い協力を得ながら、一つひとつ形にしていった過程が印象的でした。
また、その理念や教育的意義を関係者へ丁寧に伝え続けたことで、学生の学びを支える強固な協力体制が築かれていることを実感しました。
学生の成長を支える丁寧な教育実践と、大学・企業・地域社会が一体となった人材育成の姿勢が、本プログラムの大きな魅力であると思いました。
(キャリアデザインプログラムアワード 実行委員長:久保)

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