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インターンシップとは?種類と参加時期、メリットや今後の動向

インターンシップとは?種類と参加時期、メリットや今後の動向

学生が自分の将来を考え、就職活動を始めるきっかけのひとつに、インターンシップが挙げられます。
これまでインターンシップのプログラムの種類や参加できる時期・期間は、企業によってさまざまでした。しかし、2023年度からはインターンシップのあり方が新しく変わります。
この記事では、新たに定義された内容を含め、インターンシップについて解説します。

インターンシップとは?

学生向けのインターンシップとは、在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験をおこなうことです。
インターンシップに参加することで、学生は社会に出る前に企業の仕事を体験でき、自分のやりたいことを見つけたり、業種選びの参考にしたりするなど、自分自身のキャリアを考えるきっかけを得ることができます。
また、企業にとっても早期に学生との接点を持てれば、より深く企業や仕事について知ってもらえるためミスマッチを防ぐことにつながります。

マイナビ2024年卒インターンシップ就職活動準備実態調査(中間総括)によると、インターンシップ・ワンデー仕事体験に参加したことのある学生の割合は87.6%。前年比4.0ポイント増加するなど、参加者は増加傾向にあります。

なお、インターンシップとアルバイトは目的が異なります。アルバイトは「労働と時間の対価として給料をもらうこと」が主な目的なのに対し、インターンシップは「仕事の内容や自分の適性の理解」を主な目的としています。

学生がインターンシップに参加するメリット

学生にとって、インターンシップには大きく分けて3つのメリットがあります。
どのようなメリットがあるのか押さえていきましょう。

興味のある業界・業種を詳しく知ることができる

インターンシップに参加する大きなメリットとして、興味のある業界・業種について、詳細に知ることができるというのが第一に挙げられます。すでに希望の業界が定まりつつある状態で参加すれば、より理解を深められるでしょう。

まだ希望業界がはっきり決まっていない場合でも、興味の有無や向き不向き、自分が何をしたいのかの方向性が見えてくるかもしれません。そうした体験の積み重ねが、結果としてスムーズな就職活動をおこなうきっかけになります。

実際に社内の雰囲気や業務内容を体感できる

実際に社内の雰囲気や業務内容を体感できるのもインターンシップのメリットのひとつです。
多くの場合、WEBサイトなどで企業情報を集めます。WEBサイトを用いれば、家にいながら多くの企業の情報を収集でき、比較検討をすることができます。
しかしそれだけでは自分がその会社の社風に合っているか、あるいはその業務に向いているかまでは具体的にイメージしにくいのではないでしょうか。

その点において、インターンシップへの参加は自分の目で見て体験できる貴重な機会になります。就業体験を通じて職場や業務への理解を深め、自分が集めた情報にギャップがないかどうかを確認する場として活用してみましょう。

キャリア形成を考えるきっかけになる

インターンシップは、より深くキャリア形成について考えるきっかけになります。
インターンシップでは、参加した企業の担当者や社員とコミュニケーションを取りながら業務にあたります。そのなかで、就職活動の体験談やこの企業を選んだ理由、さらには仕事のやりがいなど、キャリアの話などを聞くことができれば、自分が働く姿を具体的にイメージしやすくなります。

また、普段接する機会があまりない年齢層の人たちや他大学の学生との交流が刺激となり、その後の学生生活の過ごし方や、将来の進む道を考えるきっかけとなるケースもあります。

インターンシップの種類

これまでのインターンシップと2023年度以降のインターンシップの大きな違いは、インターンシップで入手した学生情報を実際の採用活動に活用できるかどうかです。ここではインターンシップがどのように変わるか、具体的に解説します。

「インターンシップ」の定義が変わる?

従来のインターンシップは「取得した学生情報を広報活動や採用選考活動に使用してはならない」とされていました。しかしインターンシップと称して採用選考活動開始前に学生情報が使用されることがありました。
また、「インターンシップ」という名のもとにさまざまな目的や形態、期間のプログラムが実施されることで混乱や焦りを生んだり、これらのプログラムが採用と直結していると考えて参加している現状があり、「学業がおろそかになっている」という批判もありました。

こうした状況を受け、「何をインターンシップとすべきか」の定義から見直し、より望ましいあり方を目指すこととなりました。

そこで、「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」がこれからのインターンシップの定義に加え、政府が定める現行の就職活動の日程ルールを前提に、「学生のキャリア形成支援活動」を整理し、文部科学省・厚生労働省・経済産業省によって2022年6月改正された「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方(三省合意)」が発表されました。そこで示された、学生のキャリア形成支援における産学協働の取組みが以下の4つの類型です。

  • タイプ1:オープン・カンパニー(業界・企業による説明会やイベント)
  • タイプ2:キャリア教育(大学などの授業・講義や企業による教育プログラム)
  • タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ(職場における実務体験)
  • タイプ4:高度専門型インターンシップ(特に高度な専門性を要求される実務の職場体験)

参考:採用と大学教育の未来に関する産学協議会「産学で変えるこれからのインターンシップ」
参考:文部科学省「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る 取組の推進に当たっての基本的考え方(三省合意)」

このうち、インターンシップとして位置づけられるのは、「タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ」と「タイプ4:高度専門型インターンシップ」の2種類で、いずれも企業での実務体験が必須です。
さらに、企業はこの2つのインターンシップで取得した学生の情報を、採用活動開始以降から活用できるようになります。
しかし、4類型のいずれも学生の皆さんがキャリア形成を考えるために重要な取り組みであることに変わりありません。それぞれの特徴を知り、有効に活用していきましょう。

インターンシップの期間

ここからはインターンシップとして定義される「タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ」と「タイプ4:高度専門型インターンシップ」の実施期間について解説します。

汎用的能力・専門型活用型インターンシップは、実施期間と時期が決まっています。汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上で、いずれも半分以上の日数は職場での就業体験を必ずおこないます。
開催期間は「学部3年・4年ないしは修士1年・2年の長期休暇期間(夏休み、冬休み、入試休み・春休み)」と規定されています。なお、大学正課および博士課程はこれに限りません。

一方高度専門型インターンシップは、時期は問わないものの、2ヵ月以上の長期にわたりおこなわれます。

インターンシップの内容

ここからは、「タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ」と「タイプ4:高度専門型インターンシップ」の対象者や具体的な取り組み内容について解説していきます。

職場での実務体験(汎用的能力・専門活用型インターンシップ)

汎用的能力・専門活用型インターンシップは、学生は自らの能力の見極めを、企業は学生の評価材料の取得を目的におこなわれます。
また、プログラム実施期間の半分以上の日数を職場での就業体験にあてなければなりません。職場では社員が学生の指導を担当し、インターンシップ終了後には参加学生に対し必ずフィードバックをおこないます。なお募集にあたっては、必要な情報を開示しなければなりません。

汎用的能力・専門活用型インターンシップについては以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
「タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップとは?特徴とメリット」を読む

より専門性の高い実務の体験(高度専門型インターンシップ)

高度専門型インターンシップは、学生は実践力の向上、企業は学生の評価材料の取得を目的に実施されます。
大学院教育の一環として、自然科学分野の博士課程学生を対象にした「ジョブ型研究インターンシップ」を、文部科学省と経団連が共同で試行しています。
また、今後は大学と企業が連携しておこなう「高度な専門性を重視した修士課程学生向けプログラム」が検討されています。

高度専門型インターンシップについては以下記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
「タイプ4:高度専門型インターンシップとは?特徴とメリット」を読む

その他のキャリア形成支援プログラム

これまでもどのようなプログラムをインターンシップとして区分するかに関しては、大学や企業が個々でおこなっていました。そのため、大学や企業によっては「業界や企業の説明会」「企業によるキャリア形成セミナー」「グループワーク」「社員による座談会」をインターンシップとして区分しているケースもありました。

今後こうしたプログラムはインターンシップではなく、「タイプ1:オープン・カンパニー」「タイプ2:キャリア教育」としておこなわれます。しかし、いずれのプログラムもキャリアを形成するには大切な機会であり、就業体験をともなうインターンシップの一部に組み込まれて実施される可能性もあります。

オープン・カンパニーとキャリア教育については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

「タイプ1:オープン・カンパニーとは?インターンシップとは違う?特徴とメリット」を読む
「タイプ2:キャリア教育とは?インターンシップとは違う?特徴とメリット」を読む

ここからは、インターンシップ以外のキャリア形成支援プログラムについて解説していきます。

業界や会社の説明会

説明会では、企業が自社の企業理念や事業内容、仕事の内容、業界の状況などを説明します。
現場で働く先輩社員が自分の仕事を紹介することもあるでしょう。就職活動準備の一環として視野を広げられるため、業界や企業の知識を深めたい学生に向いています。

グループワーク(課題立案・課題解決)

グループワークは、実際の業務に即したテーマについてチームで議論を重ね、結果を発表するプログラムです。チームで企画や課題に対しての解決策に取り組むため、課題解決力や思考力を高めたい、自分の適性を測りたいと考える人に向いています。

マイナビでは、企業課題をテーマにした企画アイデアコンテスト「課題解決プロジェクト」をおこなっています。提出までオンラインで完結するため、気軽にグループワーク体験ができます。
詳しくはこちらをご覧ください。

現場社員やOBOGの講演会・座談会・交流会

講演会や座談会、交流会では、企業で活躍する先輩社員や、自分の大学出身の先輩社員と交流できます。
懇親会のようなリラックスした雰囲気でおこなわれるケースが多く、先輩社員との距離も近いため質問しやすい環境なのが特徴です。
実際の仕事内容など、リアルな話が聞けるでしょう。多くは会社説明会のあとにおこなわれますが、初めから会社説明会を座談会形式で開催する企業もあります。

インターンシップへの参加方法と参加後の流れ

インターンシップ参加から終了後までを5つのステップに分けて説明します。
インターンシップは事前準備と振り返りが重要です。参加して終わりにならないよう、流れをおさえて有効活用していきましょう。

気になるインターンシップを探す

まずは参加したいインターンシップを探します。
気になる企業のインターンシップを直接調べるほか、希望の業界や職種からどのようなインターンシップがあるか見ていく方法もあります。

インターンシップを探す場合も、「就職情報サイト」が便利です。掲載企業数が多く、随時アップデートされるため、自分の希望に沿ったプログラムを探しやすいでしょう。
マイナビなら広く業界・企業を検討しながら、気になる企業があれば「検討リスト」機能を使ってリストアップすることができます。

マイナビでは、様々な検索項目でインターンシップなどの情報を探すことができます。ぜひご活用ください。

インターンシップにエントリーする

参加したいインターンシップが見つかったら、就職情報サイトや企業のホームページなどからエントリーします。
エントリーの際には選考の有無や締め切り日を確認しましょう。選考がある場合はエントリーシートなどの準備が必要になります。また、選考がない場合も先着順だと定員で締め切られてしまう可能性があります。「後回しにしてエントリーできなかった」とならないように注意しましょう。

なお、マイナビでは選考の有無でも検索が可能です。ぜひ活用してみてください。

選考がある場合は受ける

エントリーシートや面接、グループワークなど選考が設けられているインターンシップの場合は、締切日までに余裕をもって準備をしましょう。エントリー時にエントリーシートを提出する場合や、エントリー後に面接日程を別途予約する場合など、企業によってフローが異なるため、詳細を確認しておくと安心です。

エントリーシートは「社会人として働く経験をさせてもらう」という意識を持ち、基本的な書式でマナーを守って記入のうえ、提出します。
また、面接がある場合は提出したエントリーシートをもとにおこなわれることが多いため、提出前にコピーしておくとよいでしょう。

こうしたエントリーシートや面接対策は、大学のキャリアセンターなどでサポートいただけることが多いです。また、マイナビにはエントリーシートの書き方や面接対策を学べるコンテンツも用意しています。エントリーシートの書き方のコツや面接対策については以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

インターンシップに参加する

インターンシップへの参加が決まったら、実りある時間になるように事前準備をします。服装指定がある場合はスーツや指定にあった服、筆記用具のほか、企業側から指示があった持ち物を用意しましょう。

同時に言葉遣いや敬語、あいさつなどのビジネスマナーも学び、理解を深めておきます。インターンシップに参加する目的を改めて確認し、インターンシップ内容や企業情報について不明点があれば調べておきます。当日、遅刻や欠席がないように時間を調べておくほか、体調を整えてインターンシップに臨みましょう。

もし、体調不良や家庭・学校の事情などで当日休まなければならない場合は、わかった時点で速やかに連絡を入れます。遅刻の場合も速やかに連絡を入れるようにします。

インターンシップの振り返りをおこなう

インターンシップの経験を今後に活かすため、可能な限り振り返りをおこないましょう。
企業全体の印象や自分が担当した業務、社員からのフィードバックのほか、自分が気付いた点などを整理し記録します。特に、思っていたイメージとのギャップや視野が広がった気付きなどは忘れないうちに残しておきましょう。
例として、これまでにインターンシップに参加した学生からの振り返りを掲載します。

私は営業職のイメージとして、トークが上手で、自分から積極的に話題を提供できるような人が就くイメージがありました。
しかし、実際体験してみたり、営業職の社員の方の話を聞いてみると、お客様の話を聞いて、そこから話題を広げていくことが多く、必ずしも話題を提供するスキルがなければいけないということはないのだなと感じました。

私はSIer企業のインターンシップに参加し、開発以外の企画・計画の業務を体験する機会がありました。私の当初のSIerに対するイメージは、ただパソコンにひたすら向き合う職業でした。
しかし、実際はユーザーのニーズをヒアリングし、整理しながら設計書を作成する工程もあり、コンサルティングに近い業務も数多くありました。
そのため、SIerはITの知識や技術力だけでなく、コミュニケーション能力や協調性も必要とされていたというギャップを感じました。

参考:「マイナビ 2024年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(8月)」P5

インターンシップにはいつから参加する?参加時期について

インターンシップに参加する時期は、多くが3年生の夏休み頃に集中します。
マイナビの調査によると、初めてインターンシップに参加したのは、3年生の7月が15.8%、8月が26.6%、3年生の9月以前は72.5%に上っています。
なお、2023年度から始まる新たに定義されたインターンシップに参加できるのは、3年生の夏休みからです。
参考:「マイナビ 2023年卒 大学生 広報活動開始前の活動調査

インターンシップに参加する学生に大学(キャリア・就職支援担当者)ができること

インターンシップに参加する学生に対し、大学側ができることとして、丁寧な情報提供や参加前後のフォローが挙げられます。

2023年度からはインターンシップが新しく変わり、オープン・カンパニーやキャリア教育など、低学年時から受けられるキャリア形成プログラムを多くの企業が開催すると考えられます。そのためには、内容を理解したうえで学年に合わせた情報提供が必要です。
インターンシップを取り巻く環境が変わる可能性が高く、企業の動きなど情報収集も重要になってきます。

インターンシップの事前学習では、インターンシップの種類や応募の流れといった基礎知識や、応募先選びのアドバイス、服装やマナーの説明まで、ステップごとに対応します。特にこれからのインターンシップでは、「自分のキャリアを考えて応募先を選ぶことが大切である」と学生に伝える必要があります。

また、大学とは違った環境での取り組みに不安を感じる学生も多いでしょう。そうした不安を取り除けるようなコミュニケーションが求められます。

インターンシップ参加後は、体験を通しての気付きや学びを、今後の学生生活や就職活動などにつなげられるように働きかけます。振り返りの時間を確保するほか、インターンシップ報告会を実施し、学びを周囲に共有する機会を設けている大学もあります。
また、「インターンシップがうまくいかなかった」と落ち込む学生には個別相談などでフォローするとよいでしょう。

まとめ

業界や企業、職種への理解を深め視野を広げてくれるインターンシップは、学生が自らのキャリアを考えるきっかけとなる有益な取り組みです。
WEBで入手した企業情報を、自分の目で見て体験して確認できるため、先入観やギャップなどが解消され、新たな気付きが得られるでしょう。

また、コロナ禍を経て行動範囲が狭まった学生にとっては、インターンシップは企業で活躍する社会人や他大学の学生と交流が図れ、大いに刺激を受ける機会になります。

一方で2023年度からはインターンシップの定義が新しく変わり、学生に対する情報提供やフォローをきめ細かくおこなっていく必要があると考えられます。
マイナビキャリアサポートでは、今後も変化する可能性の高いインターンシップ情報など、大学のキャリア・就職支援担当者の皆様に有益な情報を発信しています。
また、マイナビでは会員登録をすればインターンシップにエントリーできる「マイナビ」や、1、2年生向けのキャリア形成支援サイト「START」などを展開しています。併せてご覧ください。

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