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文部科学省|質の高いインターンシップが変わりゆく時代でも生き抜く力を育てる

教育、科学技術・学術、スポーツ、文化の分野において、政策を通じて「人」を育て、「知恵」を生み出し、「未来」の基盤をつくっていくという使命を担う文部科学省。2022年6月、文部科学省、厚生労働省および経済産業省による「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方(いわゆる三省合意)」が7年ぶりに改正されました。一般社団法人日本経済団体連合会と大学関係団体等の代表者で構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」からの報告書を受けて改正となった今回。その背景を文部科学省 高等教育局 学生支援課の山本氏に伺いました。

Profile

山本 栄
文部科学省 高等教育局 学生支援課
ファーストキャリアは民間企業。その後、文部科学省に入省し、国立大学法人支援や私学助成業務などの業務を担当。大学への出向も経験し、現在の部署へ。学生支援課の担当領域は、生活指導、就職支援、奨学金といった学生生活に関わるもの全般。その中でも、自身は主にインターンシップを担当している。

インターンシップをもう一度、その目的から整理し直す

―7年ぶりに改正となった「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方(三省合意)」。その背景をお伺いできますか?

そもそも「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方(三省合意)」は、1997年に社会から必要とされる人材の育成を考えていくという趣旨で、産学連携によるインターンシップの推進、そしてその在り方を示したものです。その後も時代の変化とともに改正が行われてきました。今回も時代の移り変わりを一因に、一般社団法人日本経済団体連合会と大学関係団体等の代表者で構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」から「インターンシップ」についての報告書の提出及び三省合意の見直しの要望があったというのが発端です。

最終的な報告書が上がってきたのは2022年の4月。「インターンシップ」の定義を変えるという内容でした。現在、7割以上の学生がインターンシップに参加していると言われていますが、そのプログラムの多くが1dayでの実施です。

学生としては内定に有利かもしれないという想いで参加し、企業側は採用活動へつなげたいという考えを持って実施されているケースも多く、社会で活躍する人材を産学連携で育成するという当初の目的からはズレが生じてきています。そのような状況にあるインターンシップをもう一度しっかり整理しよう、そういう狙いが感じられる報告書でした。

―報告書をご覧になった時の率直な感想をお聞かせください。

新しい定義でのインターンシップは、今のインターンシップとはかなり違うなという印象を持ちました。現在行われているインターンシップのほとんどは、今後「インターンシップ」とは呼ばないタイプ1・タイプ2です(タイプについては後述)。そして、新たに要件が設定されたタイプ3・タイプ4が「インターンシップ」と呼ばれるようになる。その要件の詳細を見ると、質の高いインターンシップを普及させたいという想いを強く感じ、その点に共感をしました。

より質の高いインターンシップを広めていくために

タイプのお話がありましたが、4類型の詳細について教えていただけますか。

産学協議会の皆さんが考えられたものがベースにあるということもあり、私からは報告書やヒアリングした内容をもとにお話しさせていただきます。まず、4類型はこのようになります。

<学生のキャリア形成支援に係る産学協働の取組の4類型>
・タイプ1 オープン・カンパニー
・タイプ2 キャリア教育
・タイプ3 汎用的能力・専門活用型インターンシップ
・タイプ4 高度専門型インターンシップ

※「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方(文部科学省サイト)」より

現在、よく行われている1dayのプログラムはタイプ1にあたります。タイプ2は、大学の授業や産学協働プログラム、企業がCSR(企業の社会的責任)として実施するものを指します。就業体験は任意で、大学の単位にすることも可能。この2つのタイプは、今後「インターンシップ」という呼称ではなくなります。そのため、双方ともに取得した学生情報を採用活動へ活用することは不可です。
タイプ3・タイプ4が今後「インターンシップ」と呼ばれていくものになります。タイプ3を実施するに当たってはいくつか要件があり、具体的にはこちらです。

<タイプ3の要件>
(a)就業体験要件:インターンシップ実施日の半分以上の日数を職場での就業体験に必ず従事
(b)指導要件:社員が指導し、インターンシップ終了後、学生に対しフィードバック
(c)実施期間要件:汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上
(d)実施時期要件: 学部3・4年/修士1・2年の長期休暇に実施
(e)情報開示要件:募集要項で指定された必要な情報を開示

結構細かいと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、この要件をクリアすれば自ずと質の高いインターンシップになるという意図があります。タイプ4は、主に理工系など技術を学んでいる博士課程の学生や事務系の修士課程の学生を想定。より社会課題と直結したプログラムができると考えています。
今後は、教育効果の高いタイプ3・タイプ4のインターンシップを増やしていきたいと思っております。

学生が適切な時期に、適切な方法で4類型を経験する

―タイプ3、タイプ4は年次も決まっているのですね。タイプ1、タイプ2の年次想定はありますか?

タイプ1、タイプ2について年次の要件はないのですが、キャリア観の醸成を目的とするならば、大学1、2年生が最も適しているかもしれません。個人的には、もっと早い段階でもよいかもしれないという考えもあります。早期に職業観を養っておくことは、タイプ3、4のインターンシップに参加しようとした時のプログラム選択にも役立つはずです。
いずれにせよ、今よりも一層、学生が適切な時期に適切な方法でキャリア形成支援が受けられるようにしたいと考えます。

―なるほど。それぞれの類型をフェーズに合わせて活用していくということですね。一方で、今よりも早期に活動しなければならないと受けとめる学生もいそうです。

そうですね。「就職」という一点だけを考えてしまうと、そのような捉え方になってしまうかもしれません。しかしながら、なかなか難しいかもしれませんが「就職」ということは一旦置いて、社会勉強や職場の雰囲気を感じるという意味合いでも構わなくて、「ちょっと何か吸収しに行く」くらいの気軽さでいい。タイプ1のオープン・カンパニーは、大学のオープン・キャンパスに行くくらいの気持ちで参加していいんじゃないでしょうか。

私はいわゆる就職氷河期という時代に就職活動をしたのですが、企業の門戸が狭く、得られる情報も限られていました。今は逆に情報が多く、そこから自分に適切なものを選び取ることが大切な時代だと思います。あふれている情報に不用意に惑わされないよう、早いうちから自分の軸を持てるようになってほしいですね。

多様な場所で、多彩な能力が発揮される日本に

―大学の教職員の皆さまにメッセージをいただけますでしょうか。

日頃から学生に寄り添ったサポートをしていただきありがとうございます。さまざまな改正や変更に伴い、ご負担をお掛けしていることと思いますが、引き続きご尽力いただけましたら幸いです。今回の改正においても、まずは学生が迷わないように導いていただきたい。そのためにも、4類型について正しい周知をお願いいたします。

4類型のうち、タイプ3には「情報開示要件」というものが含まれています。その中ではプログラムにおいて必要な能力も明示され、学生自身、自分の能力がどう足りていたのか、もしくは足りていなかったのかを知るチャンスとなります。そして、参加後には「指導要件」をもとにフィードバックも行われる。そこで得たことは、大学での学びにも非常に有益なはずです。

今は、ジョブ型採用や採用選考時期の複線化にあたっての過渡期かもしれません。社会が大きく変わりゆくこのタイミングで、働き方も採用活動も大きく変化していく。そんな日本で多くの若者が多様な場所で多彩な能力を発揮できるよう、国、大学、企業、関係団体といったさまざまなステークホルダーが連携しながら、インターンシップの質を高め、よりよいキャリア形成支援につなげていけたらと考えています。

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