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2024年卒の大学生が選んだ人気業界は?ランキングや志望業界の傾向を紹介

2024年卒の大学生が選んだ人気業界は?ランキングや志望業界の傾向を紹介

就職活動が始まると、「周りの学生がどのような業界に興味を持っているか」や、「社会にはどのような業界があるか」が気になる学生が多いのではないでしょうか?この記事では、2024年卒の大学生が志望した業界をランキング形式で紹介するとともに、人気業界の変動や傾向などを紹介します。

2024年卒大学生就職人気業界ランキング

株式会社マイナビは、大学生・大学院生を対象に40の業界について調査をおこないました。ここからは、概要やランキングの結果を解説していきます。

調査概要

調査期間 : 2023年4月8日~2023年4月18日
調査対象 : 2024年3月卒業予定の全国大学4年生及び院2年生
調査方法 : Web上のアンケートフォームより入力
有効回答数:1,984名(文系男子315人、理系男子498人、文系女子603人、理系女子568人)

引用・参考:マイナビ「2024年卒大学生業界イメージ調査

就職活動を始めた頃に志望していた業界ランキング

はじめに「就職活動を始めた頃の志望業界」について見ていきましょう。

順位業界名昨年
1食品・農林・水産1
2ソフトウェア・情報処理・ネット関連3
3薬品・化粧品2
4官公庁・公社・団体4
5繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック5
6電子・電気機器9
7医療・調剤薬局6
8放送・新聞・出版7
9銀行・証券8
10広告・芸能11

就職活動を始めた頃に志望していた業界のランキングは、1位が食品・農林・水産、ソフトウェア・情報処理・ネット関連が昨年から1つ順位を上げて2位、3位が昨年2位の薬品・化粧品となりました。

昨年と比較して、10位圏内では順位が入れ替わっている一方、顔ぶれ自体はそこまで変化がないことがわかります。また、10位以内に名を連ねた業界はいずれも普段何らかの形で接点が多い傾向にあります。

就職活動を始めた頃は業界に対する研究があまり進んでいないことが多く、多くの学生が「知っている業界」や「なじみのある業界」を選んだ結果だと推測できます。

エントリーしたことのある業界ランキング

次に、企業が採用活動の広報を解禁する3月1日以降にエントリーした業界のランキングを見ていきます。

総合・エントリー業界ランキング

文系と理系を合わせた総合業界ランキングは以下のとおりです。

順位業界名昨年
1ソフトウェア・情報処理・ネット関連1
2食品・農林・水産2
3銀行・証券3
4電子・電気機器5
5繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック4
6官公庁・公社・団体11
7通信12
8薬品・化粧品9
9コンサルティング・調査15
10鉄道・航空16

こちらは1位がソフトウェア・情報処理・ネット関連、2位が食品・農林・水産、3位が銀行・証券という結果になりました。
昨年と同じ順位でしたが、ソフトウェア・情報処理・ネット関連は昨年から3.7ポイントアップしており、業界に興味を持つ学生が増えていることがうかがえます。

鉄道・航空は昨年の調査では16位でしたが、2024年卒では10位に順位を大きく上げています。新型コロナウイルス感染症の影響で一時期は採用数を減らしていましたが、国内外の旅行需要が回復しつつあり業界全体で採用数を増やしていることが追い風となっていると考えられます。

また、7位の通信や9位のコンサルティング・調査など、就職活動を始めた頃に志望していた業界ランキングでは10位以内に入っていなかった業界がランクインしていることがわかります。

この時期は、学生が就職活動を本格的に意識し始め業界に対する興味の幅が広がる時期にあたります。こうしたランキングの変化は、採用活動の広報開始となる3月1日までにセミナーやガイダンスなどに参加して業界研究が進んだ結果といえるかもしれません。

文系・エントリー業界ランキング

文系男女のランキングは以下のとおりです。

順位文系男子(業界名)順位文系女子(業界名)
1ソフトウェア・情報処理・ネット関連1ソフトウェア・情報処理・ネット関連
2銀行・証券2食品・農林・水産
3食品・農林・水産3広告・芸能
4専門商社4銀行・証券
5コンサルティング・調査5官公庁・公社・団体
6鉄道・航空6人材サービス(派遣・紹介)
7通信7住宅・インテリア
8電力・ガス・エネルギー8放送・新聞・出版
9陸運・海運・物流9専門商社
9人材サービス(派遣・紹介)10印刷・事務機器・日用品

理系・エントリー業界ランキング

理系男女のランキングは以下のとおりです。

順位理系男子(業界名)順位理系女子(業界名)
1ソフトウェア・情報処理・ネット関連1薬品・化粧品
2電子・電気機器2食品・農林・水産
3繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック3繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック
3自動車・輸送用機器4ソフトウェア・情報処理・ネット関連
5機械・プラント5医療・調剤薬局
6精密・医療機器6精密・医療機器
7食品・農林・水産7電子・電気機器
8薬品・化粧品8官公庁・公社・団体
9通信9印刷・事務機器・日用品
10建設・設備工事10通信

選考を受けたことのある業界ランキング

続いて、「選考を受けたことのある業界ランキング」について見ていきましょう。

総合・選考を受けた業界ランキング

文系と理系を合わせた総合業界ランキングは以下のとおりです。

順位業界名昨年
1ソフトウェア・情報処理・ネット関連1
2食品・農林・水産2
3銀行・証券3
4電子・電気機器5
5繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック4
6コンサルティング・調査9
7人材サービス(派遣・紹介)11
8通信15
9薬品・化粧品12
10専門商社6

選考を受けたことのある業界ランキングの上位は、エントリーしたことのある業界ランキングと大きく変わりませんでした。

1位がソフトウェア・情報処理・ネット関連、2位食品・農林・水産、3位銀行・証券と昨年と同じ結果となりました。

一方で、人材サービス(派遣・紹介)や通信、薬品・化粧品などは昨年10位圏外でしたが2024年卒では順位を上げています。

文系・選考を受けた業界ランキング

文系男女のランキングは以下のとおりです。

順位文系男子(業界名)順位文系女子(業界名)
1ソフトウェア・情報処理・ネット関連1ソフトウェア・情報処理・ネット関連
2銀行・証券2食品・農林・水産
3コンサルティング・調査3銀行・証券
4専門商社4人材サービス(派遣・紹介)
5食品・農林・水産5広告・芸能
6通信6住宅・インテリア
7鉄道・航空7専門商社
8人材サービス(派遣・紹介)8放送・新聞・出版
9電力・ガス・エネルギー9不動産
10陸運・海運・物流10生保・損保

理系・選考を受けた業界ランキング

理系男女のランキングは以下のとおりです。

順位理系男子(業界名)順位理系女子(業界名)
1ソフトウェア・情報処理・ネット関連1薬品・化粧品
2電子・電気機器2食品・農林・水産
3繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック3ソフトウェア・情報処理・ネット関連
4自動車・輸送用機器4繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック
5機械・プラント5医療・調剤薬局
6精密・医療機器6電子・電気機器
7食品・農林・水産7精密・医療機器
8薬品・化粧品8建設・設備工事
9建設・設備工事9コンサルティング・調査
10通信10印刷・事務機器・日用品
10人材サービス(派遣・紹介)

最終的な志望業界ランキング

最後に、最終的な志望業界のランキング(調査内「現在の志望業界」に該当)を見ていきましょう。

順位業界名昨年
1ソフトウェア・情報処理・ネット関連1
2食品・農林・水産2
3官公庁・公社・団体4
4薬品・化粧品3
5繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック5
6電子・電気機器6
7医療・調剤薬局7
8通信12
9銀行・証券9
10自動車・輸送用機器8

最終的な志望業界のランキングは、1位がソフトウェア・情報処理・ネット関連、2位食品・農林・水産、3位は官公庁・公社・団体でした。
上位に入った5つの業界は、就職活動を始めた頃に志望していた業界とほとんど顔ぶれが変わりません。一方で順位を上げてきたのは8位の通信と10位の自動車・輸送用機器です。

この結果から、就職活動を通してさまざまな業界や企業の話を聞くうちに、最初に自分が志望した業界に魅力を感じて思いが固まる人もいれば、その過程でイメージと違う点が見つかったり、他に志望動の高い業界が見つかったりして優先順位に変化があった人もいることがうかがえます。

実際に就職活動をしてイメージが変わった業界は?

ここまで、就職活動の時期別に人気業界のランキングを見てきました。その結果から、就職活動を通して業界に対して抱く印象が変わる場合もあれば、別の業界の志望度が高まるケースがあることがあるとわかりました。

では実際に就職活動に取り組むなかで、「イメージが良い方向に変わった」という意見はどの業界に多いのでしょうか?

順位業界名昨年
1ソフトウェア・情報処理・ネット関連1
2食品・農林・水産2
3官公庁・公社・団体3
4精密・医療機器10
5通信9
6銀行・証券13
7繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック4
8電子・電気機器5
9鉄道・航空16
10自動車・輸送用機器8

1位は昨年に続きソフトウェア・情報処理・ネット関連となりました。DX人材の需要はますます高まり、市場価値や将来性を意識する学生から人気を集めています。加えて、在宅勤務や働き方改革が進んでいる点もよい印象に変わった要因といえるでしょう。

2位の食品・農林・水産は社会貢献や環境への取り組み、3位の官公庁・公社・団体は安定性がそれぞれ支持されました。また4位の精密・医療機器は将来性や技術力・商品企画力の高さが好印象の要因となっています。5位の通信は、将来性に加えて5Gの到来など変革性もポイントとなっているようです。

このように、就職活動をきっかけとして今まで知らなかった業界の強みや魅力が見えてくることがあります。
そのため志望業界が定まっていない場合はもちろん、すでにある程度志望度の高い業界がある場合でも、気になる業界があれば大学や企業が開催するセミナーやイベントに参加するなど情報収集することをおすすめします。

▼参考:文系、理系の男女別「イメージがよい方向に変わった」業界ランキング

順位文系男子(業界名)順位文系女子(業界名)
1ソフトウェア・情報処理・ネット関連1ソフトウェア・情報処理・ネット関連
2銀行・証券2官公庁・公社・団体
3通信3印刷・事務機器・日用品
4鉄道・航空4銀行・証券
5食品・農林・水産5放送・新聞・出版
5陸運・海運・物流6専門商社
5電力・ガス・エネルギー7広告・芸能
8コンサルティング・調査8食品・農林・水産
8専門商社9鉄道・航空
10官公庁・公社・団体10陸運・海運・物流
順位理系男子(業界名)順位理系女子(業界名)
1ソフトウェア・情報処理・ネット関連1薬品・化粧品
2電子・電気機器2食品・農林・水産
3自動車・輸送用機器3繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック
4機械・プラント4ソフトウェア・情報処理・ネット関連
5繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック5医療・調剤薬局
6精密・医療機器6精密・医療機器
7電力・ガス・エネルギー7印刷・事務機器・日用品
8薬品・化粧品7電子・電気機器
9食品・農林・水産9官公庁・公社・団体
10通信10自動車・輸送用機器
順位理系男子(業界名)順位理系女子(業界名)
1ソフトウェア・情報処理・ネット関連1薬品・化粧品
2電子・電気機器2食品・農林・水産
3自動車・輸送用機器3繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック
4繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック4ソフトウェア・情報処理・ネット関連
5精密・医療機器5精密・医療機器
6機械・プラント6医療・調剤薬局
7食品・農林・水産7官公庁・公社・団体
8通信8電子・電気機器
9薬品・化粧品9印刷・事務機器・日用品
10電力・ガス・エネルギー10電力・ガス・エネルギー
10コンサルティング・調査
10通信

人気業界の傾向はどう変化している?

志望業界ランキングを2023年卒と2024年卒で比較したところ、上位5業界は顔ぶれ・順位ともに大きな変動は見られませんでした。

そのなかで、ITや通信など技術革新のスピードが速く、人材の需要が高い分野に注目する学生が増えている点が2024卒の特徴です。
最終的な志望業界で1位となったソフトウェア・情報処理・ネット関連は、エントリーした業界や選考を受けた業界でも1位となるだけでなく、昨年よりもその割合を示す数字が増加しました。

こうした背景には、昨今の「生成AI(生成系AI)」の急成長や、5G・6Gの登場などが就職観に影響を与えたと考えられます。
生成AIと学生の就職観の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

「就職活動での生成AI利用、キャリア・就職支援担当者は学生とどう向き合う?」を読む

一方、社会情勢の影響で人気業界が変わることも明白になりました。
2021年卒で6位だった鉄道・航空は、コロナ禍による行動制限などの影響で2023年卒では18位まで順位を下げました。しかし2024卒では14位と順位を戻し、回復基調にあるといえます。

企業別に見ても、旅行・ホテル・航空といった企業の人気も回復の兆しがあります。各業界が社会情勢に対しどのように対応しているのかについても注目していくとよいでしょう。

2024年卒の大学生就職企業人気ランキングについては、以下の記事で紹介しています。併せてご覧ください。

「2024年卒の大学生就職人気企業ランキング、人気企業の傾向は?」を読む

学生の業界選び、キャリア・就職支援担当者ができることは?

キャリア・就職支援担当者の皆様が学生の企業選びについてできることとして、第一に挙げられるのが「学生の視野を広げるサポート」です。
近年では、就職活動を早めに始める学生も増えてきているため、学生の動きや就職活動の状況を把握したうえで適切なサポートが求められます。

実際、マイナビがおこなった調査によると、インターンシップ・仕事体験全体のエントリー数が増加傾向にあり、2024年卒におけるエントリー社数は13.2社(2023年卒は12.4社)、参加率は81.8%となっています。
その一方で、本エントリー数や個別企業セミナーへの参加数が減少傾向にあります。

このように、学生はインターンシップ前から選考を受ける企業を決めようとする傾向が強まってきています。

ただし、限られた時間のなかで効率よく就職活動を進めようとすると視野が狭くなってしまう恐れもあります。学生のイメージが先行して業界を狭めすぎず、広く興味を持ってもらえるように、低学年のうちから将来のことを考えるきっかけを与えてあげることが大切になっていくでしょう。

例えば、業界について説明するガイダンスやセミナーは学年を問わず参加できるように適宜開催して学生の視野を広げるサポートに努めるほか、就職情報サイトを紹介するなど、いつでも情報収集ができる環境を整えるとよいでしょう。

大学1・2年生への就職支援については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

大学1・2年生から始める就活準備とは?自分や仕事、キャリアへの理解を深める方法」を読む

一方で、インターンシップに参加したあとに「イメージと違った」と志望業界を変える学生がいるかもしれません。

そのような学生に対しては、どのようなところがイメージと違ったのかを聞くことから始めましょう。「イメージと違った」という気付きは、学生自身が将来のことを考えるうえで譲れない条件(就活の軸)を見つけるきっかけになります。
そして、学生自身がその気付きを就活の軸として言語化できるようにサポートしていきます。自己分析を再度おこなってみてもよいでしょう。

その他、インターンシップを通じて新しく興味や関心をもった業界を教えてもらい、近しい業界を紹介するのも有効です。

もし、「自分がどの業界に向いているのかわからない」と悲観的になってしまっている場合は、「志望業界は就職活動を通じて変わるもの」と声をかけ、過去の事例を伝えることも大事な情報提供の一つになるでしょう。

参考:マイナビ「2023年度(24年卒版)新卒採用・就職戦線総括」

まとめ

「2024年卒大学生業界イメージ調査」から、人気の業界の動向だけでなく「就職活動初期と就職活動中では業界へのイメージが変わることがある」ということがわかりました。
最初から特定の業界にねらいを定めすぎず、特に初期は広く業界を見ていくとよいでしょう。

またキャリア・就職支援担当者は、学生が視野を広げて業界研究を進められるように情報提供をおこないサポートしていくことが重要です。特に3年生でインターンシップに参加する前から企業選びを意識する学生が増えているため、早めの周知が必要になるでしょう。

マイナビキャリアサポートではキャリア・就職支援担当者の皆様に向けて、仕事研究や業界研究のポイントなど有益な情報を提供しています。
また、マイナビ2025では各業界の動向がわかる基本知識をまとめた「業界地図」を掲載しています。業界研究に役立つため、併せてご活用ください。

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