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息子・娘の就活に親はどう関わる?口出しはNG?できること・注意点を紹介

息子・娘の就活に親はどう関わる?口出しはNG?できること・注意点を紹介

近年、就職活動で、採用担当者が学生に対して保護者からの了承を得られているかどうかを確認する「オヤカク」という言葉が話題になっています。
このように、子どもの就職活動に関心を寄せ、就職先を心配する親は多いでしょう。キャリア・就職支援担当者も学生との面談などを通じて、保護者の関心の高さを感じているのではないでしょうか。

この記事では、子どもの就職活動に対する親の向き合い方や、就職活動中の子どもの保護者に対してキャリア・就職支援担当者ができることについて解説します。

子どもの就職活動にどう向き合う?親が知っておきたいこと

親の立場として、子どもがどのように就職活動に取り組んでいるのかは気になるところです。
子どもと向き合い、支援していくためにも、現在の就職活動や社会情勢などを理解しておく必要があります。

ここでは、子どもの就職活動について考える際に親が知っておきたいことを解説します。

親世代と子ども世代では就活環境が異なる

子どもの就職活動に向き合うにあたり、まずは「親世代と子ども世代では就職活動の環境が大きく変化している」ということを理解する必要があるでしょう。

仮に親世代の就職活動タイミングを1980年代後半~1990年代前半と想定すると、当時はバブル経済の余韻もあり、多くの企業が積極的に新卒採用をおこなっていました。
そのため、大学4年生になってから就職活動を始めても、十分内定を獲得しやすい時代でした。また、企業とのコンタクトは就職情報誌のはがきを利用した資料請求や、大学の就職課に寄せられた求人票からが一般的でした。
加えて当時は、一度企業に入社すると、定年まで勤める終身雇用制度が主流でした。

しかし現在の就職活動はWEBの活用が主流であり、マイナビなどの就職情報サイトや企業のホームページなど、多くの情報をインターネットから収集しています。親世代とは情報を集める方法も、収集できる情報量や内容も異なります。

また、就職活動全体の動きも親世代とは大きく異なります。
就職活動の開始時期が早まっており、3年生の夏休みからインターンシップへ参加するため、進級したタイミングで将来を考え始める学生も多いです。インターンシップを経て、4年生に進級する前の3月1日に企業の採用・広報活動が解禁され、夏前に面接がおこなわれ、内定に向けて就職活動を続けていくのが一般的な流れとなっています。

このように、親世代と子世代で就職活動フローに違いがあることがわかります。

その他にも、現在では2人に1人が大学に進学するため学生数は60万超にのぼり、親世代(※)と比較するとライバルが多いこと、テクノロジーの進展で変化の激しい時代になりつつあることなども挙げられます。業界・業種の多様化やグローバル化も急速に進んでいます。働き方も多様化し、従来の終身雇用制度も多くの企業で廃止されてきています。

このように、就職活動で子ども世代が置かれている環境は、親世代に比べて厳しい長期戦といえるでしょう。

※出典:文部科学省「大学等進学者数に関するデータ 関係」
平成元年の大学進学率は約25%(4人に1人)で大学を卒業する学生数は約40万人
令和4年の大学進学率は約55%(2人に1人)

親の反対が子どもの考えを変えてしまうことがある

親の意見が子どもの進路に大きな影響を及ぼすことも、今一度認識しておく必要があるでしょう。

「マイナビ2022年卒大学生活動実態調査(9月)」で「内々定先企業について否定的な意見・反対を受けたことがあるか」について学生に聞いたところ、「否定的な意見・反対を受けたことがある」という学生が27.7%でした。
そのうち、否定的な意見・反対を受けたことがある相手として最も多かったのは「父親・母親」でした。

さらに、否定的な意見や反対を受けた学生の約3割が、結果として「内々定を辞退した」と回答しました。反対を受けたことで「なぜその企業に入社したいのか」「どのようなキャリアを積んでいきたいのか」をあらためて考えるきっかけになっている一方で、親にも納得してもらうことができなければ入社を取りやめざるを得ないことがうかがえます。

子どもの就職活動に大きな影響を与える可能性があることを認識したうえで、親としてどう関わっていくか考える必要があるでしょう。

引用・参考:マイナビ「マイナビ 2022年卒大学生活動実態調査(9月)

子どもが就職活動をしない・うまくいかないのはなぜ?考えられる要因

親としては、子どもが就職活動に消極的であったりうまくいっていないように感じたりすると、どうしても心配してしまうものだと思います。
ここでは、子どもが就職活動をしない、うまくいかない状況で考えられる6つの要因を紹介します。

学業や部活動・課外活動で忙しい

まずは学業や部活動・課外活動が忙しく、就職活動をおこなう余裕がないケースが挙げられます。

ゼミや課題などの学業、資格試験の勉強に力を入れている学生や、部活動の練習や大会を優先する学生は、いずれも忙しいという理由から、就職活動を十分に進められていないことがあります。
また、留学していた影響でやむを得ず就職活動に出遅れる学生もいます。
まずはどのような理由で就職活動が進んでいないのか、確認する必要があるでしょう。

就職活動のスケジュールが把握できていない

就職活動のスケジュールを把握できていないために、就職活動がうまくいっていないのも要因の一つです。

例えば、学部3年生・修士1年生は、次の学年に上がる直前の3月1日から企業の採用・広報活動が開始されます。この日から就職情報サイトなどを通じてエントリーできるようになるため、それまでにエントリー先を検討したり、応募書類などを準備しておくとスムーズに進めることができます。

しかしこのスケジュールを「就職活動は3月1日から始めればよい」と認識し、結果的に出遅れてしまう学生もいます。
企業の採用のスケジュールを確認したうえで、いつから、何を始めればよいのか、わからないことがないようにしておきましょう。

例として、2025年卒の就活スケジュールについては以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。

2025年卒の就活スケジュールは?何をいつから始めたらよい?」を読む

自分のやりたい仕事がわからない

「自分が何をしたいのかわからない」「自分に合う業界や企業がわからない」といった理由から、就職活動が進まない学生もいます。
企業で働く人に話を聞いたり、さまざまな業界を知るうちに深く思い悩んでしまい、身動きが取れなくなってしまうケースです。1人で抱え込んでしまわないよう周りが声掛けする必要があるでしょう。

選考に落ち、自信をなくしてしまっている

書類選考や適性検査、面接など選考を受けているもののなかなか通過できず自信をなくしてしまったことで就職活動に消極的になるケースもあります。

この場合、まずは頑張っていることを認めてあげることが重要です。そして、選考に通らない原因を突き止められるように、周りがサポートする必要があるでしょう。責めたり急かしたりすると逆効果になりやすいため注意が必要です。

就職か進学か悩んでいる

就職か大学院への進学かで迷う学生もいるでしょう。
特に理系の学生のなかには、進学を視野に入れながら就職活動を進める人もいます。どちらにするか悩んでいるうちに出遅れてしまっている可能性があります。

「将来どうなりたいか」によって就職か院進学かの選択が異なります。
例えば、専門職を目指すにあたって、修士課程を修了していることが資格取得の要件となっている場合は、大学院への進学が必要になるでしょう。
もし進学を視野に入れているのであれば、進学の理由や将来何をしたいのかを聞いてみるとよいでしょう。

企業への就職以外の将来を考えている

卒業後、企業への就職以外の進路を考えている学生もいます。例えばフリーランスやフリーター、起業、家業を継ぐなどの道を検討している場合です。この場合、そもそも就職活動に取り組んでおらず必要性も感じていない可能性があります。

重要なのは本人の意思を尊重することです。もし反対したい場合も一度こらえて、なぜその進路を考えているのか話を聞くことをおすすめします。

【調査結果】子どもの就職活動に対してどんなサポートをした?

就職活動に取り組む子どもに対し、実際にどのようなサポートをしている親が多いのでしょうか。
「2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査」によると、上位5位は以下の表のとおりです。

順位お子様に対しておこなったこと
1あまり気を遣わないような雰囲気や環境作り
2励ましなど精神的サポート
3(靴磨き、アイロン掛け等)身だしなみを整える手伝い
4企業選びのアドバイス
5自宅から最寄り駅、説明会会場、選考会場などへの送迎

1位は「あまり気を遣わないような雰囲気や環境作り」で、「励ましなど精神的サポート」「身だしなみを整える手伝い」と続きました。
子どもが就職活動を円滑に進められるように周辺のサポートに力を入れていることがうかがえます。

直接的なアドバイスとしては、4位に「企業選びのアドバイス」が入りました。
あくまでも先に社会に出て働いている立場でサポートすることが望ましいと考えられます。

参考・引用:マイナビ「2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査」

子どもの就職活動に対して親ができること

子どもの就職活動に対し、親はどのようなサポートができるでしょうか。ここまでの説明を踏まえて、6つの取り組みを紹介します。

子ども世代の就活環境を知る

冒頭でも述べたとおり、子どもを取り巻く就職活動の環境は、親世代のときから大きく変化しています。
まずは子どもと同じ目線に立つために、現在の就活環境を理解するところから始めましょう。

具体的に就職活動はどのようなスケジュールで、どのような選考方法が取られているのか、就職活動でよく使われる用語には何があるのかを知っておきましょう。
同時に、人気企業ランキングなどでどのような企業が人気を集めているかも確認しましょう。親世代が就職活動をしていた頃の人気企業と隔たりがあると知っておくことが大切です。

ここで注意すべきなのは、調べて得た情報を子どもに押し付けないことです。ついアドバイスしたくなるかもしれませんが、あくまでも子どもが悩んだり困ったりしたときにサポートできるよう、情報収集しておきましょう。

人気企業のランキングや就職活動のスケジュールについては、以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。

2024年卒の大学生が選んだ就職人気企業ランキング、人気企業の傾向は?」を読む
就活(就職活動)のスケジュールと進め方 – 就活準備 – マイナビ2025」を読む

子どもの精神的な支えになる

就職活動は常に順調に進むとは限りません。思ったような結果が出ず、落ち込むこともあるでしょう。
そのようなときこそ親は子どもを精神的に支える役割が求められます。

まずは普段と同じように接し、見守ることが大切です。そのうえで子どもが話したくなったときに、今はどのような気持ちなのか、状況を含めて傾聴しましょう。

子どもの考えを否定しないことはもちろん、親の考えや価値観、親の不安をぶつけないように注意を払って話を聞きます。そのうえで、「あなたを信じているよ」「あなたの考えているとおりにしたらいいよ」「応援しているよ」と励ましていきましょう。

視野が広がるような情報を提供する

視野が広がるような情報を提供するのも、親ができることの一つです。
子どもにとっては親は、最も身近な社会人の先輩でもあります。親としての立場ではなく1人の働く人間として、仕事の経験談を伝えていくとよいでしょう。
子どもが希望する業界と違う仕事をしていても、仕事の面白さや大変さ、苦労した話は子どもが働くイメージを膨らませる際にとても参考になります。

また、おすすめのビジネス書や話題になっているニュースの情報などを共有し、ディスカッションしてもよいでしょう。

就職活動にかかる費用を負担する

就職活動が本格化するとアルバイトができる時間が減り、学生自身が手持ちの資金に不安を感じるようになるかもしれません。加えて就職活動にはさまざまな費用がかかるため、親からの金銭的なサポートはありがたいのではないでしょうか。

「2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査」によると、就職活動の支援としておこなった金銭的支援のうち、使途として頻度の高かったものとして挙がったのが「衣装代(スーツ、靴、かばん等)」、「交通費」、「通信機器関連(スマホ、PCその他備品含む)代」、「資格取得代」でした。

その他、地方から上京して就職活動をおこなう場合は宿泊費もかかるでしょう。こうした資金援助も、親ができることの一つです。

参考・引用:マイナビ「2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査

自己分析やエントリーシート(ES)作成をサポートする

自己分析やES作成のサポートも、親ができる取り組みの一つです。
自己分析では自分史やモチベーショングラフの作成といった手法が挙げられますが、いずれも子ども時代から振り返る必要があります。そんなときに親がサポートするとよいでしょう。

子どもを一番近くで見てきた親だからこそ知っている子どもの良さや長所、行動の傾向などを伝えられれば、子ども自身の自己理解につながります。
子どもが受検した自己分析ツールの結果を見ながら、親がアドバイスするのもよいでしょう。

マイナビでは就職活動前の低学年から広く使える「キャリアデザインツール 適性診断MATCH plus」を提供しています。自己分析をおこなう際にぜひご活用ください。

また、ES添削については、具体的な内容に言及したくなりがちですが、第三者の視点で見ることが大切です。子どもの書いた文章が「初めて読んだ人でも伝わるか」を意識してフィードバックすると、子どもにとっても大きな気付きとなるでしょう。

面接練習の相手になる

子どもが面接に悩んでいる場合は、面接官役となって模擬面接をおこなうのも親ができるサポートです。
模擬面接をおこなう際は、本番と同じような緊張感を持って練習ができると効果的です。そして、フィードバックは客観性を大事に伝えるようにしましょう。

模擬面接の想定質問を考える際は、以下の記事も参考にしてください。

新卒採用面接では何を質問する?面接官の目的から逆算する心得と対策」を読む

子どもの就職活動をサポートする際の注意点

子どもにとって親の支援はありがたい反面、対応によってはストレスを感じる可能性もあります。
ここでは、サポートする際に注意すべきことを紹介します。

子どもの考えを否定しない

例えば親が公務員で、子どもが一般企業やフリーランスを志望した場合、親の価値観から「安定している仕事が一番」「その業界は厳しいからやめなさい」「将来性がない」などと否定してしまいがちです。

しかし、子どもは自分なりに調べて就職活動をおこなっています。そのため、まずは子どもの考えを否定せず、話を丁寧に聞くようにしましょう。
親の考えや固定観念、希望は置いておいて、子どもがなぜその業界や企業、職種を選んだのか、どのような考えで就職活動を進めているのかなどを聞き、思いを尊重していくようにしましょう。

サポートを求められたときに放任しない

親が無関心でいることで、子どもが悩みを抱え込んでしまう可能性があります。
親へ相談しづらいと考えている学生も一定数いますが、一番の味方として親の存在は大きいと考えられます。
そのため子どもからサポートを求められたときは、迷わず手を差し伸べるようにしましょう。

他人や友人の子どもと比較しない

兄弟姉妹や親せき、友人の子どもなどと比較しないようにしましょう。
企業や志望する業界、業種によっては選考が遅いこともあり、内定が出る時期もばらつきがあります。

そのため、「まだ決まらないの?」などの声かけが子どもにとってはプレッシャーになりかねません。また、本人が納得して選んだ就職先についても、他人と比較されてはよい気分はしないでしょう。

過度に情報提供したり急かしたりしない

先述したとおり、子どもと同じ目線に立つために情報収集することは大切です。
しかし、子どもの就職活動を心配するあまり、過度に情報提供をしたり、行動を急かしたりしないようにしましょう。

頻繫に説明会の参加を促すなど就職活動に対する意見や指図だけでなく、企業へのエントリー数の情報共有を求めるなど、親の言動が子どもにとってはプレッシャーとなり、就職活動のペースを乱してしまう可能性もあります。不安な時こそ子どもを信じ、見守る姿勢が求められます。

キャリア・就職支援担当者は就活中の学生と保護者にどう関わる?

ここまで、子どもの就職活動を心配している親の傾向や関わり方などについて見てきました。
では、キャリア・就職支援担当者の立場から保護者に対し、どのようなことができるでしょうか。

多くの大学が、就職活動中の子どもを持つ保護者に対し、ニュースレターやチラシ、動画や書籍など多彩な手段で「現在の就職活動がどのように進められているか」について情報提供しています。

また一部の大学では、就職に対する保護者向け説明会などを開催して直接保護者と対話する機会をつくっています。
直接保護者と対話する際は、現在の就職活動の状況などの情報提供にとどまらず、学生が就職活動を進めやすくなるようなサポートの方法や声掛けなど、きめ細かく伝えるようにしましょう。

保護者も不安を抱えているかもしれません。保護者側の思いをくみ取り、どのように子どもに接すればよいかヒントを伝えたいところです。
同時に、保護者から学生に対してイベント参加などの声掛けの協力を依頼してもよいかもしれません。

ともに手を携え、学生をサポートしていく姿勢を打ち出していきましょう。
保護者向けの支援事例については、以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。

大学事例|誰ひとり取り残さないキャリア支援を|志學館大学」を読む
大学事例|学生の「いま」を見つめキャリア支援の質を高めていく|椙山女学園大学」を読む
大学事例|学生一人ひとりが自らの答えを導けるよう、きめ細かな支援を最後まで続けていく|明治大学」を読む

まとめ

就職活動中の子どもを持つ親は、子どもの将来を案じ、あれこれ口を出したくなるところです。
しかし子どもを信じて見守りつつ、必要なときに手を差し伸べることが子どもの成長につながります。

キャリア・就職支援担当者は、保護者に現在の就職活動について理解を深めてもらえるように、保護者に対し適切な情報提供をしていきましょう。また心配になる保護者の立場を理解し、ともに学生をサポートしていく姿勢で対応することが求められます。

マイナビキャリアサポートではキャリア・就職支援担当者の皆様に、参考になる情報提供をおこなっているほか、各大学のキャリアセンターで実施している支援内容についても紹介しています。ぜひご活用ください。

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