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2024年卒の大学生が選んだ就職人気企業ランキング、人気企業の傾向は?

2024年卒の大学生が選んだ就職人気企業ランキング、人気企業の傾向は?

多くの学生が就職を希望する企業についてどのような傾向があり、どのような変化が起きているのでしょうか。
この記事では、2024年卒の大学生に人気の企業についてランキング形式で解説します。

2024年卒大学生就職人気企業ランキング

株式会社マイナビと株式会社日本経済新聞は共同で、2024年卒の学生を対象とした「マイナビ・日経 2024年卒大学生就職企業人気ランキング」を実施しました。

ここからは、概要やランキングの結果を解説していきます。

調査概要

就職企業人気ランキングは、マイナビが1978年(1979年卒)から実施している調査です。2017年度より株式会社マイナビと株式会社日本経済新聞社の両社共同で実施しています。

調査対象:2024年3月卒業見込みの全国大学生3年生、大学院1年生(調査開始時点)
調査期間:2022年12月1日(木)~2023年3月26日(日)
調査方法:「マイナビ2024」および当社発行の就職情報誌、当社主催のイベント会場でアンケート告知を行い、WEB上のアンケートフォームで回収
有効回答:41,185名(文系男子14,218人、文系女子17,661人、理系男子5,756人、理系女子3,550人)

引用・参照:「マイナビ・日経 2024 年卒大学生就職企業人気ランキング

【文系】人気企業ランキング

ここからは、文系学生の人気企業ランキングを見ていきます。

文系総合・人気企業ランキング

文系学生(総合、男女を問わない)のランキングは以下のとおりです。

順位企業名昨年
1ニトリ3
2東京海上日動火災保険1
3JTBグループ19
4ファーストリテイリング(ユニクロ・ジーユー・プラステ・セオリー)13
5伊藤忠商事5
6三菱UFJ銀行21
7味の素10
8日本生命保険4
9ソニーミュージックグループ6
10Plan・Do・See12

文系総合では、ニトリが1位となりました。
同社のインターンシップには、毎年3万人以上の学生が参加しています。「第6回 学生が選ぶキャリアデザインプログラムアワード」で入賞するなど、学生への知名度が浸透した成果ともいえます。

昨年同様、生保・損保業界の人気も根強く、2位の東京海上日動火災保険や8位の日本生命保険をはじめ、100位以内に多くの企業がランクインしました。

コロナ禍の影響を受けて順位を下げていたホテル・旅行業においては、行動制限がなくなり外国人観光客が増加するのにともない人気を回復しています。JTBグループは前年19位から3位に躍進し、Plan・Do・Seeが10位に入りました。また航空需要の高まりから、日本航空(JAL)が前年35位から13位と大幅に順位を上げています。

このほか初任給の引き上げが話題となったファーストリテイリングが前年13位から4位にランクインしました。

文系男子・人気企業ランキング

文系男子のランキングは以下のとおりです。

順位企業名昨年
1ニトリ3
2東京海上日動火災保険2
3伊藤忠商事4
4三菱UFJ銀行13
5ソニーグループ1
6セガ61
7ファーストリテイリング(ユニクロ・ジーユー・プラステ・セオリー)12
8日本生命保険6
9トヨタ自動車5
10JTBグループ29

文系女子・人気企業ランキング

文系女子のランキングは以下のとおりです。

順位企業名昨年
1ニトリ2
2JTBグループ18
3東京海上日動火災保険1
4Plan・Do・See5
5ファーストリテイリング(ユニクロ・ジーユー・プラステ・セオリー)16
6ソニーミュージックグループ4
7日本航空(JAL)24
8味の素13
9ポニーキャニオン9
10伊藤忠商事13

文系の大学生に人気が高い企業の傾向

文系大学生の選社理由のトップは、昨年に引き続き「安定している」の21.4%で、昨年から2.1ポイントアップしています。
また2位には12.1%で「業界上位である」と「将来性がある」が入りました。

その一方で、「社風がよい」は5位と順位をキープしたものの、7.9%と1.2ポイントを下げています。また、前年2位だった「やりたい仕事ができそう」は4位に順位を下げました。
コロナ禍を経て、「安心して仕事に打ち込める会社」を選ぶ傾向が強まっているように見受けられます。

【理系】人気企業ランキング

続いて、理系学生の人気企業ランキングについて見ていきます。

理系総合・人気企業ランキング

理系学生(総合、男女問わない)のランキングは以下のとおりです。

順位企業名昨年
1ソニーグループ1
2味の素2
3三菱重工業8
4Sky7
5NTTデータ4
6セガ47
7カゴメ9
8富士通3
9トヨタ自動車5
10アイリスオーヤマ47

理系の大学生に人気の企業ランキングでは、ソニーグループが2年連続1位となりました。3位には前年8位の三菱重工業が入るなど、新領域に取り組む先進的な企業が支持されたようです。

また、根強い人気を誇るのが食品・農林・水産業です。前年同様味の素が2位に入ったほか、10社以上が50位以内にランクインしました。また、IT関連の需要増が続く影響から、4位にSky、5位にNTTデータ、8位に富士通と、情報技術に強みを持つ企業も上位にランクインしています。

6位のセガと10位のアイリスオーヤマはともに前年47位から大幅にランクアップし、トップ10入りしました。
セガは、文系ランキングにおいても69位から11位へと順位を上げています。セガの選社理由の上位3位を見てみると、「業界上位である」「やりたい仕事ができそう」「将来性がある」が並んでおり、特に「将来性がある」が、昨年5.8%から12.0%と大きく上昇しました。

一方で、アイリスオーヤマの選社理由の上位3位を見てみると、昨年同様「将来性がある」「安定している」「商品企画力がある」と続いています。なかでも「安定している」「商品企画力がある」が昨年よりも上昇しました。

理系男子・人気企業ランキング

理系男子のランキングは以下のとおりです。

順位企業名昨年
1ソニーグループ1
2三菱重工業6
3Sky7
4NTTデータ4
5味の素5
6トヨタ自動車3
7セガ34
8富士通2
9アイリスオーヤマ47
10キヤノン8

理系女子・人気企業ランキング

理系女子のランキングは以下のとおりです。

順位企業名昨年
1味の素1
2カゴメ2
3明治グループ(明治・Meiji Seika ファルマ)5
4森永乳業9
5ソニーグループ3
6山崎製パン13
7日本調剤7
8サントリーグループ4
9コーセー17
10資生堂6

理系の大学生に人気が高い企業の傾向

理系の大学生の選社理由のトップは、文系同様「安定している」で、昨年より1.5ポイントアップの21.4%でした。2位は「業界上位である」で13.2%でした。
10位以内にランキングした企業はいずれもこの2つの選社理由が高い傾向があり、やりたいことも大事にする一方、「業界上位で安心して仕事に取り組みたい」といった意識が強く表れているようです。

3位には「将来性がある」が入りました。将来の予測が難しいVUCA時代が到来したことを受けて、新たなテクノロジーへの対応や新領域への挑戦といった姿勢に着目しているのではないかと考えられます。

2024年卒の人気企業、全体的な傾向は?

ここからは、2024年卒の学生に人気の企業について全体的な傾向を考察していきます。

文系の総合ランキングベスト10位は、昨年から半数近くが入れ替わりました。生保・損保、総合商社、銀行、食品、エンタメなど各業界のリーディングカンパニーがそれぞれランクインしました。
コロナ禍で影響を受けた旅行・ホテル・航空業も2社が10位以内に入り、アフターコロナの人気回復を印象付けています。

一方、理系の総合ランキングはセガやアイリスオーヤマが10位以内に新しくランクインしたものの、全体としては大きく変わりませんでした。
前年に続き、デジタルトランスフォーメーション(DX)や人工知能(AI)など、新たな技術に取り組む企業がランクインしています。

文系、理系に共通して選社理由の上位3位は、「安定している」「業界上位である」「将来性がある」と並んでいました。
ここから、学生側は変化の激しい時代だからこそ安心して働けるかどうかが、企業選びのポイントとなっていると考えられます。

人気企業の傾向はどう変化している?

世の中のあり方が大きく変化する中、人気企業の傾向はどのように変化しているのでしょうか。

2022年6月、文部科学省・厚生労働省・経済産業省によって改正された「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方(三省合意)」が発表されました。インターンシップのあり方や定義が変わったことで、あらためて注目が集まりました。

そのなかで文系の総合ランキングで初の首位を獲得したニトリなど、ランキング上位の企業はインターンシップに力を入れています。学生もインターンシップで社風や業務内容を体験することで、自分が働く姿をイメージしやすくなり、その会社で働きたいと思うのかもしれません。

インターンシップのあり方が変わることで、今後インターンシップに力を入れる企業がさらに増えるのではないかと考えられます。
今後のインターンシップの動向については、以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。

「今後のインターンシップの特徴は?実施内容の変化や学生の動向についても解説 」を読む

2023年5月に新型コロナウイルスが5類に移行し、厳しい行動制限がなくなりました。外国人観光客の客足が徐々に増え、生活自体もコロナ禍以前に戻りつつあります。
それにともない、コロナ禍で大きな影響を受けたホテル・旅行、鉄道・航空、運輸・物流業界とも人気が回復してきています。

2022年後半から続く物価高騰への支援や優秀な人材の確保を目的に、企業によっては賃上げの動きも見られます。特に、初任給アップが話題となった文系4位のファーストリテイリングや、理系6位のセガのような企業が大幅に順位を上げるなど、待遇面に注目するのも2024年卒の傾向といえるでしょう。

2024年卒学生の企業選びのポイントは?

マイナビの調査で「企業を選択する場合にどのような企業がよいか」をアンケートしたところ、最多は「安定している」の48.8%、次に「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が30.5%、「給料の良い」が21.4%と続き、5年連続で同じ結果となりました。
特に「安定している」は前年比4.9ポイント、「給料の良い」は前年比2.3ポイント、それぞれ増加し、安定志向や待遇面への関心の高さがうかがえます。

また、学生の就職観については、昨年に続き「楽しく働きたい」が前年比1.3ポイント増の38.9%でトップでした。
コロナによる行動制限がなくなったことで、社会に対する不安が軽減され、自分がチャレンジしたい仕事を選択しやすくなっているのかもしれません。

一方で「企業への安定性の高さを感じるポイント」を聞いたところ、「福利厚生が充実している」が最多で、「安心して働ける環境である」「売上高」「離職率や平均勤続年数」と続きました。
福利厚生や働く環境が整っているかだけでなく、長く働ける環境かどうかも企業を選ぶうえで大事にしている傾向が表れています。

引用・参考:マイナビ「2023年度(24年卒版)新卒採用・就職戦線総括」

学生の企業選び、キャリア・就職支援担当者ができることは?

学生が企業を選ぶにあたって、キャリア・就職支援担当者ができることには何があるでしょうか?

学生への対応においてはまず、仕事研究の支援が重要です。企業を知る機会を提供するために、大学生就職企業人気ランキングなどを活用して興味のある企業をピックアップしてもらうほか、低学年の段階から会社説明会などへの参加を促すとよいでしょう。
説明会への参加後、振り返りを丁寧におこなうことで、学生自身の気付きにつながります。

また自分が何に取り組みたいかわからない学生には、就職情報サイトを用いて仕事内容や取り組みなどをチェックし、何が気になるか考えてもらうのも有効です。自己理解が進んでいない学生には、適性検査の受検から始めてもらう方法もあります。

その他、キャリア・就職支援担当者は、企業側と接点を持つ役割もあります。社会情勢やトレンドをしっかり把握し、企業について学生に的確に説明できるように担当者自身が多くの企業について理解を深めておくとよいでしょう。
具体的には企業訪問やインターンシップの受け入れ依頼などを通じて積極的にコンタクトを取り、生の情報を仕入れられるようにするのが理想的です。

まとめ

2024年卒の大学生に人気の企業について、ランキングをもとに解説してきました。

文系では、インターンシップで知名度を上げた企業が上位にランクインしており、コロナ禍の影響を受けた旅行や航空、ホテルの各業界が人気を回復しました。また、理系では、初任給アップで話題になった企業がランクアップするなど、社会情勢が色濃く反映された結果となりました。

キャリア・就職支援担当者は、企業と学生を直接的および間接的につなぐ役割があります。企業を広く知ってもらえるような取り組みをおこなっていくとともに、学生に的確な情報提供ができるように、企業理解を深めていきましょう。

仕事研究や業界研究などのポイントについて、マイナビキャリアサポートではキャリア・就職支援担当者の皆様に有益な情報を提供しています。
また、マイナビ2025では掲載企業の検索が可能です。併せてご覧ください。

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