就職活動が始まると、「周りの学生がどのような業界に興味を持っているか」や、「社会にはどのような業界があるか」が気になる学生が多いのではないでしょうか?
この記事では、2023年卒の大学生が志望した業界をランキング形式で紹介するとともに、人気業界の変動や傾向などを紹介します。
2023年卒大学生業界イメージ調査
株式会社マイナビは、大学生・大学院生を対象に 40の業界について調査をおこないました。ここからは、概要やランキングの結果を解説していきます。
調査概要
調査期間 : 2022年4月8日~2022年4月18日
調査対象 : 2023年3月卒業予定の全国大学4年生及び院2年生
調査方法 : Web上のアンケートフォームより入力
有効回答数:1,962名(文系男子337人、理系男子487人、文系女子532人、理系女子606人)
引用・参考:マイナビ「2023年卒大学生業界イメージ調査」
就職活動を始めた頃に志望していた業界ランキング
まず「就職活動を始めた頃の志望業界」について見ていきましょう。
就職活動を始めた頃に志望していた業界のランキングは、1位が食品・農林・水産、2位が薬品・化粧品、3位がソフトウェアとなりました。
順位 | 業界名 |
---|---|
1 | 食品・農林・水産 |
2 | 薬品・化粧品 |
3 | ソフトウェア・情報処理・ネット関連 |
4 | 官公庁・公社・団体 |
5 | 繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック |
6 | 医療・調剤薬局 |
7 | 放送・新聞・出版 |
8 | 銀行・証券 |
9 | 電子・電気機器 |
10 | 自動車・輸送用機器 |
10位以内に入った業界は、普段何らかの形で接点がある分野が多い傾向にあります。
就職活動を始めた頃は業界に対しての研究があまり進んでいないことが多いため、多くの学生が「知っている業界」や「なじみのある業界」を選んだ結果ではないかと推測できます。
エントリーしたことのある業界ランキング
次に、企業が採用活動の広報を解禁する3月1日以降にエントリーした業界のランキングを見ていきます。
順位 | 業界名 |
---|---|
1 | ソフトウェア・情報処理・ネット関連 |
2 | 食品・農林・水産 |
3 | 銀行・証券 |
4 | 繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック |
5 | 電子・電気機器 |
6 | 住宅・インテリア |
7 | 自動車・輸送用機器 |
8 | 電力・ガス・エネルギー |
9 | 薬品・化粧品 |
10 | 専門商社 |
こちらは1位がソフトウェア・情報処理・ネット関連、2位が食品・農林・水産、3位が銀行・証券という結果になりました。
6位の住宅・インテリア、8位の電力・ガス・エネルギー、10位の専門商社など、就職活動を始めた頃に志望していた業界ランキングでは10位以内に入っていなかった業界がランクインしていることがわかります。
この時期は、学生が就職活動を本格的に意識し始め業界に対する興味の幅が広がる時期にあたります。こうしたランキングの変化は、採用活動の広報開始となる3月1日までにセミナーやガイダンスなどに参加して業界研究が進んだ結果といえるかもしれません。
選考を受けたことのある業界ランキング
選考を受けたことのある業界ランキングは、エントリーしたことのある業界ランキングと大きく変わらず、1位がソフトウェア・情報処理・ネット関連、2位が食品・農林・水産、3位が銀行・証券となりました。
順位 | 業界名 |
---|---|
1 | ソフトウェア・情報処理・ネット関連 |
2 | 食品・農林・水産 |
3 | 銀行・証券 |
4 | 繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック |
5 | 電子・電気機器 |
6 | 専門商社 |
7 | 自動車・輸送用機器 |
8 | 住宅・インテリア |
9 | コンサルティング・調査 |
10 | 機械・プラント |
エントリー後、企業が個別におこなう会社説明会に参加したうえで選考に進む傾向があります。そのため、選考を受ける段階までにある程度業界や企業を理解していると考えられます。
最終的な志望業界ランキング
最後に、最終的な志望業界のランキング(調査内「現在の志望業界」に該当)を見ていきましょう。
最終的な志望業界のランキングは、1位がソフトウェア・情報処理・ネット関連、2位が食品・農林・水産、3位は薬品・化粧品でした。
順位 | 業界名 |
---|---|
1 | ソフトウェア・情報処理・ネット関連 |
2 | 食品・農林・水産 |
3 | 薬品・化粧品 |
4 | 官公庁・公社・団体 |
5 | 繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック |
6 | 電子・電気機器 |
7 | 医療・調剤薬局 |
8 | 自動車・輸送用機器 |
9 | 銀行・証券 |
10 | 機械・プラント |
上位5つの業界は、就職活動を始めた頃に志望していた業界とほとんど顔ぶれが変わりません。一方で6位以下に目を向けると、電子・電気機器、自動車・輸送用機器がそれぞれ順位を上げたほか、機械・プラントは13位から10位に上昇しました。
この結果から、就職活動でさまざまな業界や企業の話を聞くうちに、最初に自分が志望した業界に魅力を感じて思いが固まる人もいれば、その過程でイメージと違う点が見つかったり、他に志望度の高い業界が見つかったりして優先順位に変化があった人もいることがうかがえます。
実際に就職活動をしてイメージが変わった業界は?
ここまで、時期別に人気業界のランキングを見てきました。その結果から、就職活動を通して業界に対して抱く印象が変わったり、別の業界の志望度が高まることがあるとわかりました。
では実際に就職活動に取り組むなかで、「イメージがよい方向に変わった」という意見はどの業界に多いのでしょうか?
順位 | 業界名 |
---|---|
1 | ソフトウェア・情報処理・ネット関連 |
2 | 食品・農林・水産 |
3 | 官公庁・公社・団体 |
4 | 繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック |
5 | 電子・電気機器 |
6 | 専門商社 |
7 | 薬品・化粧品 |
8 | 自動車・輸送用機器 |
9 | 通信 |
10 | 精密・医療機器 |
1位はソフトウェア・情報処理・ネット関連となりました。昨今DX人材の需要はますます高まっており、市場価値や将来性を意識する学生から人気を集めています。
また、2位の食品・農林・水産は社会貢献、3位の官公庁・公社・団体は安定性がそれぞれ支持されました。
このように、就職活動をきっかけとして今まで知らなかった業界の強みや魅力が見えてくることがあります。
そのため志望業界が定まっていない場合はもちろん、すでにある程度志望度の高い業界がある場合でも、気になる業界があれば情報を収集したり大学や企業が開催するセミナーやイベントに参加してみることをおすすめします。
▼参考:文系、理系の男女別「イメージがよい方向に変わった」業界ランキング
順位 | 文系男子(業界名) | 順位 | 文系女子(業界名) |
---|---|---|---|
1 | ソフトウェア・情報処理・ネット関連 | 1 | ソフトウェア・情報処理・ネット関連 |
2 | 陸運・開運・物流 | 2 | 官公庁・公社・団体 |
3 | 専門商社 | 3 | 食品・農林・水産 |
4 | 通信 | 4 | 印刷・事務機器・日用品 |
5 | 銀行・証券 | 5 | 専門商社 |
6 | 官公庁・公社・団体 | 6 | 広告・芸能 |
7 | 鉄道・航空 | 7 | 銀行・証券 |
7 | 食品・農林・水産 | 8 | 繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック |
9 | コンサルティング・調査 | 9 | 薬品・化粧品 |
10 | 総合商社 | 10 | 放送・新聞・出版 |
順位 | 理系男子(業界名) | 順位 | 理系女子(業界名) |
---|---|---|---|
1 | ソフトウェア・情報処理・ネット関連 | 1 | 薬品・化粧品 |
2 | 電子・電気機器 | 2 | 食品・農林・水産 |
3 | 自動車・輸送用機器 | 3 | 繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック |
4 | 機械・プラント | 4 | ソフトウェア・情報処理・ネット関連 |
5 | 繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック | 5 | 医療・調剤薬局 |
6 | 精密・医療機器 | 6 | 精密・医療機器 |
7 | 電力・ガス・エネルギー | 7 | 印刷・事務機器・日用品 |
8 | 薬品・化粧品 | 7 | 電子・電気機器 |
9 | 食品・農林・水産 | 9 | 官公庁・公社・団体 |
10 | 通信 | 10 | 自動車・輸送用機器 |
人気業界の傾向はどう変化している?
2021年から2023年にかけて志望業界ランキングを比較したところ、上位5業界は顔ぶれ・順位ともに大きな変動は見られませんでした。
そのような中、2023年卒の特徴として電子・電気機器や自動車・輸送機器、機械・プラントの最終順位がアップしている点が挙げられます。「高い技術力を持つ業界」が見直されている傾向にあるようです。
一方、社会の影響で人気業界が変わる可能性もあります。2021年卒で6位だった鉄道・航空やホテル・旅館が順位を下げたのは、コロナ禍の影響が大きかったと思われます。
しかし、企業別に見た場合にはすでにアフターコロナを見据えて回復の兆しがあります。各業界が社会情勢に対しどのように対応しているのかについても注目していくとよいでしょう。2023年卒の大学生就職企業人気ランキングについては、以下の記事で紹介しています。併せてご覧ください。
「2023年卒の大学生就職人気企業ランキング、人気企業の傾向は?」を読む
学生の業界選び、キャリア・就職支援担当者ができることは?
キャリア・就職支援担当者の皆様が学生の企業選びについてできることとして、まず「学生の視野を広げるサポート」が第一に挙げられます。
イメージが先行して業界を狭めていたり、本当なら興味を持ったかもしれない業界について情報不足で注目できていないというケースが考えられます。そのため、業界について説明するガイダンスやセミナーを開催して学生の視野を広げるサポートをしたり、就職情報サイトを紹介して気軽に情報収集ができる環境を整えるとよいでしょう。
すでに興味や関心のある業界を教えてもらい、近しい業界を紹介するのも有効です。
2023年卒大学生業界イメージ調査では、ひとつの業界にとらわれず複数の業界に視野を広げて活動する学生の姿が見えてきました。
例えばソフトウェア・情報処理・ネット関連を志望した学生は、銀行・証券や通信、コンサルティング・調査、食品と幅広く活動していました。同様の動きが別の業界においても生じています。
こうした過去の事例も、就職活動を進める学生に大事な情報提供になるため、活用してみるとよいでしょう。
まとめ
「2023年卒大学生業界イメージ調査」をとおして、人気の業界の動向だけでなく「就職活動初期と就職活動中では業界へのイメージが変わることがある」ということがわかりました。
最初から特定の業界にねらいを定めすぎず、特に初期は広く業界を見ていくとよいでしょう。
またキャリア・就職支援担当者は、学生が視野を広げて業界研究を進められるように情報提供をおこないサポートしていくことが重要です。
マイナビキャリアサポートではキャリア・就職支援担当者の皆様に向けて、仕事研究や業界研究のポイントなど有益な情報を提供しています。
また、マイナビでは各業界の動向がわかる基本知識をまとめた「業界地図」を掲載しています。業界研究に役立つため、併せてご活用ください。
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