調査の裏側|3月の学生の動きから見るキャリア支援|大学生向け調査

「調査の裏側」は、マイナビが実施している調査について、分析担当者に話を聞くシリーズ。今回は、2023年卒業予定の全国の大学生、大学院生を対象に実施した「マイナビ 2023年卒大学生活動実態調査(3月)」「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 3月の活動状況」をもとに、全体の傾向や気になるポイントなどに関して、マイナビキャリアリサーチLabの研究員を務める石田力に話を聞きました。

>>マイナビ 2023年卒大学生活動実態調査(3月)の詳細はこちら
>>マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 3月の活動状況の詳細はこちら

3月の就活費用は調査開始以降最低に オンライン化定着の影響か

―最初に「マイナビ 2023年卒大学生活動実態調査(3月)」「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 3月の活動状況」についてお聞かせください。

概要はマイナビキャリアリサーチLabに掲載しておりますが、本調査は2023年卒業予定の大学生、大学院生に対して、3月の活動状況について調査するものです。両調査の違いの1つに、モニター調査が​毎月同じ学生(モニター学生)を対象とする定点調査、活動実態調査が毎月別の学生(調査時点のマイナビ2023会員)を対象とする調査という点があります。3月は就職活動の動きが活発になる月なので、今後の学生へのキャリア支援・就職支援を考える上でも重要な調査だとおもいます。

―今回の調査結果の中で、気になったポイントはありますか?

今年の3月の活動状況を前年3月と比べてみると、前年よりやや割合は低いものの、多くの学生が企業セミナー参加やエントリーシートなどの活動を行っていたようです。3月の個別企業セミナー(WEBセミナーを除く)の参加社数平均は2.9社で前年並み、面接を受けた社数平均は2.4社で前年と同じでした。活動状況としては、前年から大きな変化は見られないのですが、一部で早く活動が進んでいる学生がいるようです。

―他に気になった調査結果のポイントはありますか?

就活費用については変化がありました。今年3月の1ヶ月間にかかった就活費用の平均金額は9,909円(前年同月比582円減)で、16年卒の調査開始以来最も少ない金額となり、初めて1万円を下回りました。費用の内訳から推測すると、就活のオンライン化が定着し、予備のスーツを買う費用などが押さえられたのではないかと考えられます。
また、下のグラフにもあるとおり、2021年卒は緊急事態宣言が出た影響もあり​前年より大きく金額が減少し半減となった年でしたが、就活のオンライン化が定着した2022年卒は更に半減、2023年卒は微減、という推移となっています。もちろん​個々の学生の活動状況によってかかる費用は異なりますが、就活費用を用意するためにアルバイトを増やす…といった学生は減っているかもしれません。

3月の就活費用 (平均・経年変化)|マイナビキャリアリサーチLab

「就職活動は前年と比べて厳しくなる」回答学生の割合は大きく減少

―調査結果の経年比較で特徴的なポイントはありますか?

新型コロナウイルス感染症の流行で就職活動が大きく影響を受けた2年前(2021年卒)は「就職活動の先が見えない」ということから、「前年と比べ厳しくなる」と考える学生が急増しましたが、今年(2023年卒)はWEBセミナーやWEB面接などウィズコロナの就活が定着し、先が見通せるようになったこともあり、「前年と比べて厳しくなる」と考える学生の割合はコロナ禍前の水準に戻りました。
下のグラフからもわかるとおり、2021年卒から2023年卒まで急激に変化しており、変化への対応の早さを感じます。学生視点で考えると、​1年上の先輩の就職活動を参考にできることが不安の軽減につながっているのではないかとおもいます。

先輩と比較して自分たちの就職活動は(経年同月比較)|マイナビキャリアリサーチLab

インターンシップ支援やオンライン・対面支援の在り方

―最後に、学校が行うキャリア支援・就職支援に対して、ご意見があれば教えてください。

1点目がインターンシップについてです。
インターンシップに参加した企業のうち、採用選考を受けた+受けるつもりの社数の平均は3.8社、割合は42.2%(前年比7.2pt減)となっており、インターンシップに参加した中からある程度選別して受けていることになります。入社半年後調査では、​インターンシップで高い満足度(5段階評価で満足度5)を得た企業に入社すると入社後の満足度も高いことがわかっています。つまり、インターンシップで高い満足度が得られる企業を見つけること、そしてその企業に入社することが、入社後の満足に繋がるアクションの1つである、ということが現時点でわかっていることです。

2点目がオンライン・対面の支援のバランスについてです。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けたタイミングは、2023年卒は学生生活の途中から、2024年卒は学生生活の最初からです。また、大学生のライフスタイル調査でも、スマートフォンを使って動画を見る時間が1日平均73.9分と年々長くなっており、スマートフォンの中で過ごしている時間が長くなっていることがわかります。これらをふまえると、2024年卒の学生はオンラインでのインターンシップや就職活動が前提となり、最終面接のみ対面になるシーンなどでの戸惑いがこれまで以上に大きくなるかもしれません。
コロナ禍前は対面での就職活動が当たり前で、オンラインでの就職活動が特別なものでした。しかし、今やオンラインでの就職活動が当たり前で、対面での就職活動が特別なものに切り替わっている時代がきています。それが数年後ではなく、既に2024年卒のキャリア支援・就職支援からオンライン・対面の支援バランスを考える必要があるかもしれません。

Editor’s Comment

3月の調査のみならず、入社半年後調査、大学生のライフスタイル調査をふまえた話を聞きました。特に「対面での就職活動が特別なものに切り替わっている」という話が印象的でした。
コロナ禍で「支援環境のオンライン化」に奮闘された教職員の皆さまは多いかとおもいますが、今後は「オンラインの就職活動をベースにしたガイダンス内容」についても考える必要がありそうです。
(マイナビ副編集長:谷口)