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2023年卒の大学生就職企業人気ランキング、人気企業の傾向は?

2023年卒の大学生就職人気企業ランキング、人気企業の傾向は?

この記事では、2023年卒の大学生に人気の企業についてランキング形式で解説します。
多くの学生が就職を希望する企業についてどのような傾向があり、どのような変化が起きているのでしょうか?

マイナビ・日経 2023年卒大学生就職企業人気ランキング

株式会社マイナビと株式会社日本経済新聞は共同で、2023年卒の学生を対象とした「マイナビ・日経 2023年卒大学生就職企業人気ランキング」を実施しました。
ここからは、概要やランキングの結果を解説していきます。

調査概要

就職企業人気ランキングは、マイナビが1978年(1979年卒)から実施している調査です。2017年度より株式会社マイナビと株式会社日本経済新聞社の両社共同で実施しています。

調査対象 : 2023年3月卒業見込みの全国大学生3年生、大学院1年生(調査開始時点)
調査期間 : 2021年12月1日~2022年3月20日
調査方法 : 「マイナビ2023」および当社発行の就職情報誌、当社主催のイベント会場でアンケート告知を行い、WEB上のアンケートフォームで回収
有効回答 : 33,159名(文系男子10,375人、文系女子13,645人、理系男子5,575人、理系女子3,564人)

引用・参照:「マイナビ・日経 2023年卒大学生就職企業人気ランキング」

【文系】人気企業ランキング

ここからは、実際に人気を集めた企業のランキングを見ていきましょう。

まず最初に、文系学生(総合、男女を問わない)の人気企業ランキングを解説していきます。
文系総合は生保・損保業界が人気を集めました。50位以内に7社がランクインしており、前年に引き続き根強い人気があります。

2年連続首位の東京海上日動火災保険を筆頭に、日本生命が11位から4位に上昇、損害保険ジャパンが8位を維持しました。また、2位のソニーグループは前年19位からの躍進。3位には前年5位のニトリがランクインしました。

前年、コロナの影響を受けたホテル・旅行業は復調傾向にあります。10位以内に入らなかったものの、Plan・Do・Seeが前年41位から12位に、JTBグループも前年35位から19位と、それぞれ大きく順位を上げました。
また100位以内に入った地方銀行は、いずれも前年より順位をアップさせた点が目を引きました。

順位企業名前年順位
1東京海上日動火災保険1
2ソニーグループ19
3ニトリ5
4日本生命保険11
5伊藤忠商事4
6ソニーミュージックグループ6
7講談社10
8損害保険ジャパン(損保ジャパン)8
9バンダイ7
10味の素3

文系の大学生に人気が高い企業の傾向

文系の大学生が企業を選ぶにあたって、選社理由のトップは「安定している」で19.3%でした。昨年よりも1.3ポイント、一昨年からは3.7ポイントもアップしています。
コロナ禍を経て、「安定的なイメージが強い会社」を選んでいるように見受けられます。

一方、2位の「やりたい仕事ができそう」も根強く、アフターコロナを見据えて回復基調にある旅行・ホテル業界を選ぶ理由にも挙がっていました。
5位の「社風がよい」は前年、前々年よりもポイントが微増しています。学生自身が社会人として踏み出す最初の一歩目として選ぶ会社が、働きやすい環境かどうかを見極める傾向にあるのではないでしょうか。

【理系】人気企業ランキング

理系の大学生に人気の企業ランキングでは、文系総合でも2位に入ったソニーグループが2年ぶりに首位に返り咲きました。

また、3位の富士通や4位のNTTデータ、7位のSkyなど、情報技術に強みを持つ企業が上位に続きました。IT関連需要が増加したことが追い風になったと考えられます。

8位の三菱重工業は、前年43位から大幅にランクアップ。このほか、任天堂が前年68位から27位に躍進するなど、ゲーム関連企業が50位以内に複数入ってきたことが目立っています。

順位企業名前年順位
1ソニーグループ2
2味の素1
3富士通8
4NTTデータ6
5トヨタ自動車5
6サントリーグループ3
7Sky12
8三菱重工業43
9カゴメ9
10キヤノン7

理系の大学生に人気が高い企業の傾向

理系の大学生の選社理由のトップは、文系同様「安定している」で昨年より1.4ポイントアップの19.9%です。2位は「業界上位である」で13.3%でした。
10位以内にランキングした企業はいずれもこの2つの選社理由が高く、やりたいことも大事にする一方、「業界上位で安心して仕事に取り組みたい」といった意識が強く表れているようです。

また、「技術力が高い」が選社理由の5位にランクイン。エンジニアや研究、開発などの職種を希望する学生の多さが影響していると考えられます。IT技術やカーボンニュートラルの取り組みなど、次世代技術への取り組みに着目している傾向が強まっていると考えられます。

2023年卒の人気企業、全体的な傾向は?

ここからは、2023年卒の学生に人気の企業について全体的な傾向を考察していきます。

文系の総合ランキングベスト10は、昨年ほど大きな入れ替わりはありませんでした。人気を集めたのは、前年に続き生保・損保業界です。50位以内に7社が入るなど、保険商品によって人と企業に安心を与える社会貢献度の高さから、学生の支持を集めました。

一方、理系の総合ランキングはデジタルトランスフォーメーション(DX)や人工知能(AI)など、新たな技術に取り組む企業がランクイン。IT関連企業は10位以内に3社、ゲーム関連企業も100位以内に複数入りました。

文系、理系で共通して50位以内に入ったのは16社。理系トップのソニーグループは、文系でも2位となっています。また文系で首位の東京海上日動火災保険は、理系では43位にランクインしています。
いずれの企業も文系、理系共通して選社理由のポイントがおおむね一致していることから、企業側が的確に自社の取り組みや社風をアピールしていることが人気の理由であると考えられます。

人気企業の傾向はどう変化している?

世の中のあり方が大きく変化する中、人気企業の傾向はどのように変化しているのでしょうか?
文系の総合ランキングでは2年連続で東京海上日動火災保険が首位を獲得するなど、生保・損保業界が人気を集めました。SDGs(持続可能な開発目標)を意識する学生が増え、「安心」「社会貢献」というキーワードが企業の取り組みと一致した結果だと考えられます。

一方、2021年卒まで人気だった旅行、航空、ホテルの各業界は、コロナ禍の影響で2022年卒のランキングではランクを下げました。しかし今回、10位以内にこそランクインしていませんが軒並み順位の回復が見られます。すでにアフターコロナを見据えた動きが始まっているといえます。

理系総合はIT関連の需要が増え、情報技術に強みを持つ富士通、NTTデータ、Skyが上位に入りました。また昨年に続きゲーム業界が多く入っているのも、リモートでの学びや作業をすることに対して慣れつつある2023年卒の特徴といえるのかもしれません。

2023年卒学生の企業選びのポイントは?

マイナビ 2023年大学生就職意識調査において「企業を選択する場合にどのような企業がよいか」をアンケートしたところ、最多は「安定している会社」が43.9%、「自分のやりたい仕事ができる会社」が32.8%、「給料のよい会社」が19.1%と続き、昨年と同じ項目がトップ3を占めました。
「安定している会社」というと大手企業をイメージするかもしれませんが、必ずしもそうではないようです。大手企業志向か中堅・中小企業志向かを聞いた質問では、大手企業志向が48.5%に対し、中堅・中小企業は47.8%とほとんど差がありませんでした。その会社でやりがいのある仕事ができれば、大手企業にこだわらない傾向が読み取れます。

一方で、マイナビ 2023年卒大学生活動実態調査(3月)で「企業に安定性を感じるポイント」を複数回答してもらったところ、「福利厚生が充実している」「安心して働ける環境である」「売上高」が上位3つにあがりました。
安心して働くための制度が整い、その環境のなかで業績を上げていくことが、自分が安心して働ける安定性につながり、企業選択で重視したい傾向として表れていました。

引用・参考:「マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査」
引用・参考:「マイナビ 2023年卒大学生活動実態調査(3月)」

学生の企業選び、キャリア・就職支援担当者ができることは?

学生が企業を選ぶにあたって、キャリア・就職支援担当者ができることは何があるでしょうか?
学生への対応においてはまず、仕事研究の支援が重要です。企業を知る機会を提供するために、大学生就職企業人気ランキングなどを活用して興味のある企業をピックアップしてもらったり、会社説明会などへの参加を促すとよいでしょう。

また自分が何に取り組みたいかわからない学生には、就職情報サイトを用いて仕事内容や取り組みなどをチェックし、何が気になるか考えてもらうのも有効です。自己理解が進んでいない学生には、適性検査の受検から始めてもらう方法もあります。

一方、企業側との接点を持つのも大切な役割となります。企業について学生に的確に説明できるように、担当者自身が多くの企業を知り、理解を深めたいところです。企業訪問やインターンシップの受け入れ依頼などを通じて積極的にコンタクトを取り、企業とのつながりを作れると理想的です。

まとめ

2023年卒の大学生に人気の企業について、ランキングをもとに解説してきました。
コロナ禍の影響から前年、順位を下げた旅行や航空、ホテルの各業界も、ようやく復調する傾向が見られました。また次世代技術に取り組む企業が、理系総合では上位にランクインしています。
キャリア・就職支援担当者は、企業と学生を直接的および間接的につなぐ役割があります。企業を広く知ってもらえるような取り組みをおこなっていくとともに、学生に的確な情報提供ができるように、企業理解を深めていきましょう。

仕事研究や業界研究などのポイントについて、マイナビキャリアサポートではキャリア・就職支援担当者の皆様に有益な情報を提供しています。
また、マイナビでは掲載企業の検索が可能です。併せてご覧ください。

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