キャリア支援を行う教職員が知っておくべきDXの現在と未来|ALBERT×マイナビ編集長対談

昨今の就職活動でもよく耳にする「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」。様々な企業が「今後はDX人材の育成が必須」とも語る中、キャリア支援や就職支援を担当する教職員の皆さまにとっても気になるワードではないでしょうか。今回は、日本屈指のデータサイエンスカンパニーであり、株式会社マイナビとオンライン教育コンテンツ「DXがわかる!超基礎講座」の開発も行っている株式会社ALBERT(アルベルト)の井田佳祐氏をお招きし、マイナビ編集長を務める高橋誠人との対談を実施。「企業が求めるDX人材とは何か」「在学時にどこまで学ばせれば良いのか」といった気になるテーマを中心に語り合っていただきました。

Profile

井田 佳祐 氏
株式会社ALBERT データサイエンス教育部 マネージャー
早稲田大学文学研究科人文科学専攻博士後期課程を単位取得満期退学。博士(文学)。博士後期課程在学中に日本学術振興会特別研究員(DC2)に採択される。2018年4月、株式会社ALBERTに入社。2021年4月よりALBERTの業務と並行し、中央大学全学連携教育機構兼任講師(非常勤教員)を務める。

高橋 誠人
株式会社マイナビ マイナビ編集長
2002年、株式会社マイナビに入社。キャリアサポーターとして10年間マイナビの学生向け広報業務に携わり、関西圏の大学、短大、専門学校での就活支援講座を多数行うなど、学生の就活サポートを精力的にこなす。その後営業の現場で、企業の採用コンサルティングに幅広く関わる。熊本支社長、鹿児島支社長、兵庫支社長を経て、2018年7月より現職。日本キャリア開発協会会員(CDA)。

DXとは何か?DXにおいて求められるスキルとは何か?

高橋:お久しぶりです。井田さんには「DXがわかる!超基礎講座」の開発の際はすごくお世話になりました。本日もどうぞ、よろしくお願いします。

井田:こちらこそ、よろしくお願いします。

高橋:では、まずは「DXとは何か?」というところからお話をスタートさせていただければと思います。というのも、先日も大学生向けにイベントを開催したのですが、そこで「DXとは何か、説明できる人?」と質問したところ、「聞いたことはあるけど、説明はできない」という学生がほとんど。やはり、日々の生活の中ではなかなか理解するのが難しいテーマなのだなと改めて感じました。

井田:そうですね。いまだに「デラックス」と読む人もいますからね(笑)。しかし、たしかに「DXとは何か」をしっかり理解し、自分の言葉で説明するのは学生には難しいかもしれません。大学でも教えることができる人は数少ないでしょう。

高橋:なるほど。ただ、紙をデジタルに置き換えることがDXではないですよね?

井田:はい。紙をデータに置き換えるのは、「デジタイゼーション」。あくまでデジタル化の最初のステップです。経済産業省による「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」の定義のポイントとしては、「データやデジタル技術を活用すること」「業務や組織の在り方に変革を起こすこと」「競争優位性を確立すること」が挙げられます。

高橋:まさに単なるペーパーレス化やIT化とは大きく異なるわけですね。ということは、「DX人材」もただデジタルに強い人材ということではないですよね。

井田:DX人材は、これからの社会や企業を引っ張っていく人材です。しかし、DXに関連する知識・スキルのある程度のところまではすべての社会人が身につけておくべき素養だと思っています。なぜなら、DXにおいて重要となるスキルがこれからの時代に仕事を行っていく上で確実に必要なスキルだからです。さらに、データの取り扱いなどに関するリテラシーが低いと仕事でも生活でもデータを不正に取得・利用したり、逆に取得・利用されたりするリスクもあるためです。

高橋:なるほど。ちなみに、DXにおいて重要となるスキルの一つを挙げると「仮説思考」ですよね?自ら問題を見つけ、その解決のために仮説を立て、実行、検証していく力。経済産業省が先日発表した「未来人材ビジョン」の中にも「問題発見力」という形で提示されていましたが、文系・理系を問わず、今後、企業が重視するスキルとしても挙げられていました。

井田:そうです。DXと聞くと、ITやコンピュータの専門知識・スキルを想像しそうですが、仮説思考が非常に大切なスキルだと思います。

高橋:仮説思考であれば、現在も大学では「PBL」と呼ばれるプロジェクト型の課題解決授業を取り入れている大学も多いですし、イメージが湧くと思います。では、こうした背景のもと、学生や学生のキャリア・就職を支援する教職員の皆さまはDXに関して、どのようなことまで知っておけばいいですか?

DXが自分にとって身近なものであることを知ってほしい

井田:学生に関して言えば、まずは先ほどお話ししたような「DXとは何か?」といった概要を知っておいてほしいですね。それから、「DXがじつは自分たちの身近なものだ」ということも知っておいていただきたいです。

高橋:その話は、「DXがわかる!超基礎講座」の開発の時も出てきましたよね。私たちからの要望としても、学生が「DXの勉強をしなきゃ!」と構えるものではなく、「オンラインで好きな時間に気軽に見られるものにしたい」という要望を出させてもらいました。

井田:はい。開発の際は、マイナビチームの持っている大学生に関する知見、感覚がとても役に立ちました。私たちは通常、社会人向けの教育コンテンツを制作することが多いので、「学生がどのようなことに興味を持つか」「画面のデザインや動画のテンポはどのくらいが適切か」といった点に関するご意見・コメントはとてもありがたかったです。幅広い学生に届くDXの入門講座の完成は両社でのコラボレーションによるところが大きかったと思います。

高橋:そう言っていただけると、こちらもうれしいです。学生がまずDXに興味を持つきっかけをつくりたいと思っていましたし、ALBERTさんのおかげで、その狙い通りのコンテンツを制作できたと思います。

DXがわかる!超基礎講座の構成について|マイナビ2024‐DXがわかる!超基礎講座

井田:ありがとうございます。ちなみに超基礎講座の中では、たとえば映像配信のサブスクリプションの話だったり、レジレスのコンビニといった事例などを取り上げています。学生たちがインターネットでの買い物やレストランでの食事などの際に「あ、便利になった」とか「快適になった」と感じる瞬間があれば、その裏側で企業がDXを進めている可能性が高いということを知ってほしかったのです。同時に、不便や不快を感じていた時の状態からどのように変化したのかを考えてもらえたら、より学習効果が大きいと思います。

高橋:もっと言えば、普段の生活で「あ、これもDXかも」と探してみたり、逆に不便や不快を感じた時にDXの可能性を探るようなクセが身に付くといいですよね。じつは、先日の大学生向けのイベントで「学生生活の中で何をDXしたい?」という質問をしたら、「学食!」という声が即座に返ってきて、「対面授業が増えてきたので、学食が非常に混み合って次の授業に間に合わない。DXで効率化したい」と語る学生もいたんですよ。

井田:それは、もう、DX人材ですね(笑)!

高橋:たしかに(笑)

井田:でも、そういう問題を発見する視点こそ、これからの企業が社員に求める力だと思います。

高橋:そうですよね。では、キャリア支援や就職支援を担当している教職員の皆さまに関しては、DXのことをどのくらい知っておいてほしいですか?

企業が学生に求めるスキルは時代とともに変わってきている

井田:まず、世の中の潮流としてDXの推進があるということを知っておく必要があります。そのうえで、DXの概要と、学生の志望度が高いような業界においてどのような実現事例があるのかを知っておくと良いと思います。今の学生はスマートフォンやタブレットを小さい頃から利用しているため、DXの事例を聞けば、「ああ、それがDXか」と言葉とイメージが結びつきやすいと思うのです。また、冒頭でもお話ししましたが、DXが進む中で、企業が学生に求めるスキルの変化も知っておいてほしいですね。

高橋:そこは重要ですよね。自主性やコミュニケーション能力のように現在と変わらず要求されるスキルや性格がある一方、問題発見力やIT・データのリテラシー、的確な予測を行う力といった知識・スキルが、今後ますます求められていく時代になるでしょうからね。

井田:その通りです。そのために、この超基礎講座でも「DXをどう進めていくか」といったことより、「DXが進むと世の中がどう便利・快適になっていくか」ということを理解できる構成にしています。

社会人になった後も、学び続けられる環境を提供したい

高橋:では、最後に。お互いに今後に向けた抱負を語り合いましょうか?(笑)

井田:はい。まず、ALBERTとしては、今回、マイナビさんとのコラボレーションが実現したことで、より若い人たちにDX教育の機会を提供できるチャンスを得ることができました。学生からの反応や使い勝手も、アンケートを通して戻ってきているので、こうした生の声も活かしながら、まずは「DXがわかる!超基礎講座」のブラッシュアップを行っていきたいですね。その上で、この講座を学んだ学生が社会人になり、実際にDXを進める側になった時などに当社の社会人向けのコンテンツなども活用できるよう、DXに関して学び続けられる環境づくりを進めていけたらと思っています。

高橋:いいですね。マイナビとしては、そもそも学生たちが企業に入るところまでをサポートするのではなく、その後、社会人になって何かしらの価値を生み出したり、新しい世の中を自分たちでつくっていくところまでサポートできたらと思っています。そのために、大学側が学生に提供できるコンテンツづくりをサポートしたり、今回のような最先端の知識・スキルの取得に関しては、マイナビ側でコンテンツの開発から提供などを行っていくことができればと考えています。

井田:本当に、これからの変化の激しい世の中は、「ここまで勉強したら大丈夫」ということがないですからね。日々勉強する内容も変わっていきますし、大学を卒業してからも学び続けることが大切だと思います。

高橋:私個人としても、学生時代と社会人になってからでは、見えていることも、考えることも違うと思っています。社会人になって、より自分のなりたい姿やつくりたい社会が見えてきたら、どうすればそれが実現できるのかを考え、行動してほしいですし、マイナビのコンテンツも活用いただきながら足りないものを学び続けてもらえればと思います。

井田:そのような道筋を考えていくうえでも、仮説思考は重要ですね。これからの就職活動やキャリア教育においても、どういう世の中をつくっていきたいかを考え、そのためにはどういう企業だったら、どういうデータを持っていて、どんなDXが可能なのかといったことを考えることも大切かもしれません。

高橋:はい。いきなり、そこまで考え、行動するのは難しいと思いますが、そういう意味でもまずは、より多くの学生に「DXがわかる!超基礎講座」を受けてもらい、きっかけを手に入れてもらえればと思います。また、キャリア支援・就職支援に携わる皆さまに対しては、マイナビは単なる就職情報の提供だけでなく、DX人材の育成をはじめ、これから10年後、20年後の社会の主役になっていく学生たちを、全国の大学と一緒になって育成するお手伝いする会社だということを伝えたいですね。井田さんも、ぜひ、今後も力を貸してください。

井田:もちろんです。データやDXの知識・スキルをもとに、キャリア教育や就職支援ももっと進化させられると思います。

高橋:心強いお言葉、うれしいです。では、本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

井田:ありがとうございました。

マイナビ2024「DXがわかる!超基礎講座」のサンプル動画です。学生にご案内する前に、ぜひご覧ください。

Editor’s Comment

2020年12月に資本業務提携を締結したマイナビとALBERT。両社の強みを活かす形で「DX人材育成サービス」を提供開始しており、学生向けに「DXがわかる!超基礎講座」を開発いたしました。
今回の対談では、DXの基礎的な知識から、キャリア支援を担当される教職員の方が知っておくべきDXのポイントまで、お話を伺いました。
特に、学生が興味を持っている社会課題を起点とし、どのような企業がどのようなデータを使って課題解決をしているのか?という視点は、キャリア支援をするうえで1つのヒントになるのでは…と感じました。(マイナビ副編集長:谷口)

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