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大学事例|枠にとらわれない支援が学生の心に届く|関西学院大学

“Mastery for Service ” というスクールモットーを礎に、創造的かつ有能な世界市民を育むことを使命としている関西学院大学。文理合わせ14学部が、西宮上ケ原、西宮聖和、神戸三田の3つの自然豊かなキャンパスに設けられています。「学生一人ひとりの長所を引き出し、強みを生かす」という方針のなか、とくに特徴的なのは「KGキャリア入門」という卒業生と対談形式で行なうオンデマンド映像授業。学生へ届く支援の秘訣は「枠にとらわれない」ことだとも語っておられ、そんな「関学らしい」キャリア教育を展開するキャリアセンターの森氏、松本氏にお話を伺いました。

Profile

森 隆史 氏
関西学院大学 キャリアセンター長
関西学院大学 社会学部卒業。アパレル企業やウォルト・ディズニー・エンタプライズ社(現ウォルト・ディズニー・ジャパン社)で経験を積み、ブランディング戦略会社を設立。同大学の講師だったことをきっかけに2017年に入職。

松本 雄一
関西学院大学 キャリアセンター副長、キャリア教育プログラム室長
愛媛大学 法文学部 経済学科卒業、神戸大学大学院 経営学研究科修了、博士(経営学)取得。北九州市立大学 経済学部助教授を経て、現在は関西学院大学 商学部教授。近著に『1からの経営学(第3版)』(共著、碩学舎、2022年)がある。

刷新された低学年向けキャリア教育

―2022年度から、1、2年生に向けた新たなキャリア教育科目を始められたと伺いました。

松本:キャリアゼミといったワーク形式や、国家公務員を進路に考える学生向けの科目はあったのですが、そこに卒業生から学ぶ「KGキャリア入門」と現役社会人から学ぶ「ライフデザインと仕事」という科目が追加されました。

森:今年は初めてキャンプも取り入れた「KGキャリアキャンプ」も開催しましたね。

―キャンプですか? 気になることも多いのですが、まずそのようなプログラムをつくられた経緯を教えていただけますか。

森:私は、関西学院大学のブランディング担当として入職しているんです。もともとブランディング戦略会社を経営していたので、当時、大学でキャリア形成やブランディング科目の講師を務めていました。そのため、入職直後はどのように大学をブランディングしようかと頭を悩ます日々だったんですね。

そんなある日の授業帰り、5限後の神戸三田キャンパスで、ふと空を見上げると星がきれいで。ここでキャンプができたらいい経験になるなあと思って(笑)。すぐにアウトドア関連企業に連絡を取って「Camping Campus®」というプログラムを導入しました。正直、キャンパスは駅から離れています。だからこそ、逆に自然が豊か。まさに関学にしかできないブランディングをしていこうと考えたんです。

ブランディングとキャリアがクロスした

まずは、ブランディングから始まったんですね。そこから、どのようにキャリア教育へ結びついたのでしょうか。

森:「関学にしかできないこと」、それを考えるとやはり卒業生が浮かんでくるんですよね。著名な方々が多いのはもちろん、みなさん、関学が好きなんですよ。私も卒業生ですが、卒業すると余計にそう思う。“Mastery for Service”がいつも胸の片隅にあり、何かあるとそこに立ち返るんです。

そんな風に人生の拠り所を同じくする、多様に活躍する卒業生たちから、学生は学ぶものがあるのではないか。そう考え、映像コンテンツを手掛ける卒業生に連絡を取り、卒業生たちとの対談映像をテレビ放映できるクオリティでつくってほしいと伝えたんです。それが「KGキャリア入門」です。学長にお話しすると、点在していたキャリア教育科目をキャリアセンターで総括したらどうかというご提案もいただいて、実現に至りました。

松本:どうしても就職率に目が向きがちですが、それだけでは関学に入った意味がないですよね。関学らしいキャリア観とは何か。「KGキャリア入門」では、その道しるべとなるような方々の話が聞けるんです。「関学らしい」というキーワードをもとに、まさにブランディングとキャリアがクロスした瞬間でしたね。

森:ブランディングとは、「選ばれる」こと、そして「選ばれ続ける存在になる」ことです。それは、ある意味、人生も一緒ですよね。選ばれるために、学び、磨き、価値を上げ続ける。しかしながら、どうしたって選ばれないときもある。そんな壁に直面したとき、どう乗り越えたのか。そのような経験を生々しく語ってくださる映像なんです。

「枠にとらわれない」で学生に届ける

「KGキャリア入門」への学生の反応はいかがですか。

森:「KGキャリア入門」の映像には私がMCとして出演しているのですが、キャンパス内を歩いていると「あ、MCの森隆史だ」という声が聞こえてくる…。もはや先生ではなく、コンテンツのなかの人間になってしまった。でも、学生に届いている証拠だと解釈しています(笑)。

松本:授業しているなかで関学の授業時間100分間、興味を向け続けてもらうことは本当に大変なんです。それを、キャリアセンター長は「枠にとらわれない」ことで学生の深いところへ届けている。私たちキャリアセンターのスタッフも必死に習っています。「KGキャリア入門」は、1本100分、授業と同じ長さの映像ですが、ご家族で視聴していることもあるようですよ。

森:保護者の方に「森先生、毎週見ています」と言われることも(笑)。「枠にとらわれない」気持ちで臨むカンペなしの現場と、映像構成のクオリティ。そこは、私自身のキャリアを活かして、一般視聴にも耐えられるレベルに仕上げています。ちなみに受講者数は、2年生だと83%、5,000名以上が受けています。

そして、今年はキャンプもされたんですね

森:映像は入ってきやすくも、一方通行でもあるんですね。そのため、もともと最終回はオフラインで開催していたんです。そして、そのあとに控える「ライフデザインと仕事」などのワーク形式の授業につなげていくようにしていました。さらに、せっかく同じ授業を履修している仲間だからこそ、学部を越えて心を近づけてほしいと「Camping Campus®」と掛け合わせてみたんです。焚き火を囲むと、みんな意外なことをポロッと話したりするんですよね。

松本:学生32名、教職員、アウトドア関連企業のスタッフ、約50名で実施。でも、当日は嵐でしたよね…。

森:そう、雷も鳴るようなひどい嵐で。そのなかで、自分の価値観を浮き彫りにする人生すごろく「金の糸®」や他者と思いを共有する「焚き火トーク」、そして対談企画「トークセッション」を実施しました。でも、何よりも感動したのは、アウトドア関連企業の方々のプロフェッショナルさを間近に感じたこと。強風でもテントやタープが倒れないんです。そこには、天候に合わせ調整する技術、絶対に成功させるというマインドがある。

人生、予期せぬできごとは必ずありますよね。まさに嵐みたいな。そこに立ち向かうプロの姿勢を、学生たちは目の当たりにした。終了後のアンケートも「次回はギア調整にも挑戦したい」「企画からかかわりたい」という前向きなものが集まりました。

松本:実は、人材教育学のなかに「アドベンチャーエデュケーション」というのがあるんです。普段とは異なる環境で、安全な冒険をする。それにより、人は加速度的に成長する。テントという、外界と隔たるものが布一枚という環境のなかでの学びは、それに近いものがあったかもしれません。

キャリアセンターだからできる自由な支援

今後も取り組みは進化されていくことを感じました。他大学のみなさんへメッセージをお願いします。

松本:キャリアの環境が目まぐるしく変化するなか、みなさまご苦労されていると思います。しかしながら、キャリア教育とは、就職だけでなく、そのあとの人生にも影響を与えるもの。つらいことがあったときに、たとえば関学だったら“Mastery for Service”がアンカーとなってほしい。学生に一生もののキャリア教育が提供できるよう、一緒に頑張っていきましょう。

森:他大学のみなさんから「どうして、こんな授業ができるのか」とよく聞かれます。いや、できるんですよ。どの大学にも卒業生がいる。彼らは、その大学らしさを体現しているはず。私たちも2025年度用に「KGキャリア入門」をすべて撮り直しますが、ぜひ一緒につくって切磋琢磨しましょう。

大学って、人生のなかで非日常を経験できる場所です。でも、学生時代はそれに気づかない。卒業して初めて、関学だったら“Mastery for Service”や、中央芝生の時計台や甲山の景色を美しく思う。もしかしたら、キャンプで見た星空も。今年は嵐で見られませんでしたが(笑)。私たちは、そういう時間を預かっている。

私は、ずっと大学の外で生きてきたので「大学はこういうもの」という理屈がわからないんです。たしかに、学部などは臨機応変に対応するのが難しい事情もある。しかしながら、キャリアセンターは比較的自由ですよね。自分たちでイベントを立ち上げることもできる。いまの学生は何を求めているのか。真摯に柔軟に向き合えるのが、私たちなんだと思います。

Editor’s Comment

「KGキャリア入門」や「KGキャリアキャンプ」など、特徴的な支援プログラムと、情熱的かつ枠にとらわれずに様々な角度から支援に取り組まれているお二人に取材をさせていただきました。また取材中、常に笑顔だったことが印象的でした。キャリア形成とは、という問いにさまざまな解釈や回答があると思います。それを「ブランディング」と捉え、どちらも学び続け、自分を磨き、価値を上げ選ばれる存在になる、という共通点は私も新しい発見でした。
(マイナビ編集長:高橋)

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