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マイナビ2024グランドオープン後の企業・学生の動向|マイナビ編集長コラムvol.2

マイナビ編集長による、各種調査結果を基にしたコラムです。
今回は、マイナビ2024グランドオープン後の企業・学生の動向について解説します。

Profile

高橋 誠人
株式会社マイナビ 就職情報事業本部 マイナビ編集長
2002年、株式会社マイナビに入社。キャリアサポーターとして10年間マイナビの学生向け広報業務に携わり、関西圏の大学、短大、専門学校での就活支援講座を多数行うなど、学生の就活サポートを精力的にこなす。その後営業の現場で、企業の採用コンサルティングに幅広く関わる。熊本支社長、鹿児島支社長、兵庫支社長を経て、2018年7月より現職。日本キャリア開発協会会員(CDA)。

今年の新卒採用・就職活動の特徴は?

皆様こんにちは。マイナビ編集長の高橋です。3月に入り就職活動も本格化してきました。
2022年卒・2023年卒に引き続き、コロナ禍での新卒採用・就職活動となりましたが、これまでと比較すると、2024年卒は大学入学当初からコロナ禍で過ごした学生ということもあり、ウィズコロナの生活に適応しながら、オンラインと対面をうまく使い分けて就職活動を進めているようです。

また、「マイナビ2024年卒 企業新卒採用予定調査」によると新卒採用を実施する予定の企業は約8割と例年並みですが、企業の採用意欲は活発で、2024年卒で採用数を「増やす」予定の企業は約3割となりました。また、採用活動に関する見通しは、「厳しくなる」と回答する割合が増加し、2024年卒は今まで以上に人材獲得競争が激しくなるという危機感を持っているようです。

市場観で言うと、学生にとっては「売り手市場」であると言えます。ですが、極端に学生に有利かと言うとそうではなく、コロナ禍で採用のスタンスがより自社とマッチする学生を採用する方向へシフトし、企業が学生を見る目も厳しくなっています。学生は、自身の職務適性やその企業で活躍できるかどうかを考えたうえで準備を進め、そのうえで就職活動に臨むことが求められます。

前年比で掲載社数が伸びた業界は?

マイナビ全体の掲載社数ですが、2021年3月にオープンしたマイナビ2022は新型コロナウイルスの影響で対前年比93.5%と落ち込みましたが、マイナビ2023では前年比108.9%となり、さらにマイナビ2024では前年比110.5%の29,138社となりました。

業界別に見るとマイナビ2024の3月1日時点では、「鉄道・航空」(前年比157.6%)、「人材サービス(派遣・紹介)」(同146.6%)、「農林・水産」(同146.4%)、「冠婚葬祭」(同143%)、「ホテル・旅行」(同136.3%)、「レストラン・求職・フードサービス」(同134.4%)、「マスコミ(出版・広告」(同133.6%)の順で前年比を上回っています。また、前年を下回った業界はありませんでした。

企業の採用傾向は?

ジョブ型雇用の推進の議論が広がっていることを背景に、メンバーシップ雇用や新卒の総合職採用の見直しの検討がはじまっています。あわせて、新卒採用の手法や待遇などを見直す動きが見られ始めています。特徴的な動きのひとつとして、職種別採用や初期配属の職種や地域を確約することで初期キャリアのイメージを明確にしたり、転勤がない採用を行ったりする企業が昨年頃から徐々に増え始めています。

「ジョブ型雇用とは?メンバーシップ雇用との違いや企業・求職者のメリット・デメリット」の解説記事を読む

一方で、職務経験のない学生にとっては注意が必要な部分もあります。その仕事が自分にあっているかどうかが分からないまま、職種や仕事内容を選定してしまうとミスマッチにつながることもあるため、就業体験や自己分析・企業分析が重要になっています。

また、基本給の引き上げも注目されています。応募者へのPRのために、初任給の引き上げを実施・検討しているか聞いたところ、「マイナビ2024年卒 企業新卒採用予定調査」の結果、約6割の企業が「実施(予定)または検討している」と回答しました。
学生の反応として「マイナビ2024年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(1月)」によると、給与引き上げの動きがあると、企業への関心と志望度が高まる割合が約7割になっています。
人材不足感が強いことや、先進国の中でも平均賃金が安いといった背景から、都市圏の大企業では賃上げの検討がされている印象です。地方や中小企業にはまだその動きは波及していないように感じますが、今後、段階的に賃上げの議論が進んでいく可能性はあるのではないでしょうか。

今年の就職活動生の傾向は?

2024年卒の学生は、入学時からコロナ禍であった年代です。2022年11月時点で「ガクチカ(=学生時代に力を入れて取り組んだこと)として話せるエピソードが1つ以上ある」と答えた2024年卒の学生は92.5%でしたが、ガクチカについての手ごたえとしては「コロナ禍で思うように活動できなかった」という学生が前年から4.4pt増加して22.7%でした(「マイナビ 2024年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(11月)」)。
ウィズコロナが進み、行動制限が緩和されたことにより物理的に経験できることは増えたものの、大学生活が全てコロナ禍だった2024年卒の、物足りなさを感じている様子が見受けられる結果だと推察します。

大学生活を全てコロナ禍で過ごした影響により、低学年時に登校できずに周囲の学生の様子を知ることができず、就職活動の情報収集がうまくできなかった学生もいます。2022年卒・2023年卒の学生は低学年時にキャリアを考える授業に参加する、登校し先輩や他の学生から情報を得るなど情報収集の機会がありましたが、2024年卒はオンラインのみで就職活動準備を進めなければならなかったため、情報感度の高い学生とそうでない学生では情報量や就職活動の動き出しの時期に差が出てしまっている印象を受けます。

就職活動や企業に関する情報収集については、「自分にとって必要な情報を得たい」という考えから情報の質を求める傾向にあります。コロナ禍を経てオンラインの説明会などが一般的になりましたが、必要に応じて対面で企業と接触する場を求める学生が増えつつあるように感じており、企業側も学生に寄り添った情報発信や取り組みが求められるでしょう。

あとがき

このように、新卒採用を取り巻く状況は「売り手市場」になりましたが、多くのキャリアセンターの皆様は学生の志向や行動が多様化し、またオンライン授業の浸透で学生の動きが見えづらく支援が困難になったという声を聞きます。コロナ後の新たなキャリア形成支援については、私たちマイナビと一緒に考えていければと思います。

「マイナビキャリアサポート」は
キャリア支援・就職支援に関する総合情報サイトです

長い学生生活の出口で、学生たちを社会へと送り出す。その大きな役割と責務を担っている皆さまに寄り添い、活用いただける情報をお届けするため、2022年にサイトをリニューアルいたしました。
より良いキャリア支援・就職支援とは何か。答えのないその問いに対して、皆さまの学生支援のヒントとなるような情報をお届けして参ります。