昨今の社会情勢を受け、新卒採用選考で急増している面接の形式が「WEB面接」です。オンラインで会議ができるアプリケーションを用い、対面ではなく遠隔での面接を取り入れる企業が増えています。
この記事では、新卒採用選考で定番になりつつあるWEB面接について解説します。
WEB面接とは?対面の面接とどう違う?
WEB面接とは、企業の面接担当者と応募者がインターネット回線でパソコンやスマートフォンなどのデバイス端末同士をつないで実施する面接です。
通信環境とデバイスがあれば、遠隔地からでも面接を受けられるのが特徴です。選考のために直接企業へ足を運ぶ必要がなく、自宅で面接が受けられます。そのため交通費がかからず移動時間が短縮できるメリットもあります。
しかし対面の面接に対し、WEB面接は画面越しでのやり取りとなります。そのため、雰囲気や表情などが伝わりづらいところもあります。
とはいえ、基本的な面接の目的や流れは大きく変わりません。面接のポイントは以下の記事でも詳しく紹介しています。併せてご覧ください。
「新卒採用面接では何を質問する?面接官の目的から逆算する心得と対策」を読む
WEB面接を受けるために必要なもの
WEB面接を受けるには事前準備が必須です。機材や環境設定など、必要な7つの要点を押さえて説明します。
インターネット環境
WEB面接に欠かせないものとして、第一に通信環境があります。
面接途中で音声が途切れたり映像がフリーズしたりする可能性を避けるため、面接を受ける場所のインターネット環境をあらかじめ確認しましょう。
有線LANでインターネット回線に接続できれば安心ですが、そうでない場合はルーターの近くやWi-Fi電波が常に強い場所を探しておきます。事前にオンライン会議を使用してみて通信状況を確認するとより安心です。
デバイス
デバイスとは、WEB面接を受けるのに必要なパソコンやスマートフォン、タブレットを指します。
オンライン会議ができるアプリケーションが使用できればどのデバイスを使っても構いませんが、画面が大きく通信状況が安定しているパソコンの利用が望ましいでしょう。
スマートフォンの場合は、本体が倒れたり傾いたりしないようにスタンドを用意することをおすすめします。
WEBカメラ
自分の顔を映すためにはWEBカメラが必要です。もしデバイス内蔵のカメラがあればそれで問題ありません。内蔵されていない場合は、外付けのWEBカメラを用意しましょう。
内蔵カメラの性能によっては映りが暗くなる可能性があります。自分がどのように映るのか事前チェックをおこないましょう。もし暗い場合は明るい場所に移動するか、リングライトなどを活用して明るさを調整しましょう。
イヤホン・マイク
デバイスには基本的にマイク機能やスピーカー機能が内蔵されています。音が頻繫にハウリングするなどの音声トラブルがなければそのまま使用して問題ありません。
しかしマイクの音質が悪い、生活音や雑音が入ってしまう、相手の声が聞き取りにくい、内蔵スピーカーから出る音をマイクが拾ってしまいコミュニケーションが取りにくいなどの音声トラブルがある場合は、別途マイク付きイヤホンを利用しましょう。
また、WEB面接前にテストしておくと開始後の予期せぬトラブルを防ぐことができます。音は問題なく聞こえるか、マイクは正常かなどを確認しておきましょう。
会議ツール、アプリケーション
WEB面接に使う会議ツールやアプリケーションツールが指定されている場合、事前にダウンロード・インストールしておきましょう。インストール後はすぐに起動できるか確認するほか、プロフィールの画像を履歴書用の写真に変えておくなどの準備が指示されている場合は事前に準備します。
場所・環境
WEB面接は、できる限り静かな場所で受けましょう。
自宅で受ける場合は、生活音や雑音などが入らないように部屋の窓やドアを締めます。
同居の家族がいる場合は、面接があると伝えてその時間は静かに過ごしてもらうよう協力をお願いしましょう。また、宅配便の配達時間をずらすなどの準備もしておきます。
画面の背景はシンプルな状態にし、部屋は片付けて余計なものが入らないようにします。また、逆光になっていないか、暗すぎたり明るすぎたりしないかなど映りを確認しておきましょう。
もしWEB面接に適した環境が用意できない場合は、大学のキャリアセンターで面接用のブースを貸し出している場合もあるため確認してみましょう。
服装・身だしなみ
服装や身だしなみは、対面の面接と同じように整えて臨みましょう。
会社からの指定がない限り、基本的には上下ともスーツ着用がおすすめです。またWEB面接の場合もひげをそる、顔がはっきり見えるように髪を整えるなど清潔感に気を配り、好感度を上げましょう。
WEB面接を受ける前に確認しておくこと
本番でトラブルがないように事前の確認をしておきましょう。できれば前日までに環境を整え、当日は面接に集中できると理想的です。
応募書類を手元に用意しているか
企業に送ったエントリーシートなど、応募書類は手元に置いておきましょう。エントリーシートに沿って面接が進む場合があります。
事前に目を通し、話す内容や逆質問をまとめておくとスムーズです。
デバイス機器やインターネット環境は問題ないか
デバイスの状態やインターネット環境に問題がないか念入りに確認します。
マイクやイヤホンなど別の機器を使用する場合は一緒に準備しておくと安心です。
また、定期的にシステムの更新やアップデートがかかるデバイスの場合は注意が必要です。WEB面接前に起動しようとしたらシステムの更新が必要になり、起動に時間がかかって遅刻してしまったということがないよう、事前に確認しておきましょう。
WEB面接に関係のないアプリや通知は切れているか
WEB面接で使うアプリケーション以外のソフトやウィンドウはすべて閉じ、通知のアラーム音などが鳴らないようにします。
また、WEB面接に使用する以外のデバイスも同様です。例えばパソコンで受ける際は、スマートフォンや時計が鳴らないようチェックしましょう。
アカウント名・表示名は適切か
面接というフォーマルな場にふさわしいアカウント名や表示名を設定します。会社から指定がある場合はその通りにし、ない場合は本名にしておくとよいでしょう。
映像や音声は問題ないか
映像や音声に問題がないか確認します。
デバイスのカメラの位置は、自分の目線と同じ高さになるように調整します。低い位置だと面接官を見下ろすような映り方をしてしまう場合があるため注意が必要です。
また明るさは問題ないか、画角のなかに顔がしっかり映るか、背景に余計なものが映りこんでいないか、音は割れずに聞こえるかなどを確認します。
デバイスの充電残量は十分か
デバイスの充電残量も確認しましょう。充電が十分でないと、面接途中で映像も音声も途切れてしまい、面接そのものが中断してしまうかもしれません。できれば充電しながら受けると安心です。
基本的なWEB面接の流れ
WEB面接も基本的に対面の面接と同じ流れで進行します。しかしWEB面接ならではの注意点があるため、ポイントを押さえて説明します。
挨拶、自己紹介
企業から指定時間がない限り、面接の15分前には準備を終え、5分前にはログインして面接官の入室を待ちます。企業の面接担当者が入室したら、面接がスタートします。冒頭であいさつしたあと、画面が映っているか、音声に問題がないか、確認します。その後、「学校・学部名、氏名(フルネーム)」で自己紹介するとスムーズです。
面接官から応募者への質問
対面の面接と同じように、志望動機や自己PR、学生時代に力を入れたことなど、面接官からの質問が始まります。
WEB面接は対面の面接と違い、画面から伝わる情報だけで判断されてしまいます。そのため目線や声の調子やトーン、表情などにいつも以上に気を付けましょう。明るく大きな声で、焦らずゆっくりと話します。表情やしぐさは少しオーバーに感じるくらいにし、目線もカメラを面接官の目だと思って見るようにします。
応募者から面接官への質問
一通り質問が終わると、逆質問の時間が設けられていることが多いです。対面と同様、準備をしておきましょう。
面接官に許可を取り、手書きでメモを取るのもよいでしょう。タイピングはキーボードの音が会話を妨げる可能性があるため、注意が必要です。
退出
終了時は座ったままあいさつし、面接官の指示に従います。指示がある前に退出しないように注意しましょう。「どうぞ終了してください」と促されたら、「失礼します」と一言添えて退出します。
WEB面接に関するQ&A
ここまでWEB面接の特徴や流れをひとつずつ見てきました。基本的には対面でのマナーに準じますが、対応が違う場合もあります。ここではWEB面接についてよくある質問をご紹介します。
何分前から入室するべき?
接続不良や予期せぬトラブルに備え、直前の確認は15分ほど前には終え、5分前には入室します。
対面と同じく、あまり早く入室しようとしても別の面接がおこなわれていたり、そもそもシステム上入室できなかったりします。入室時間の指示がある場合はその時刻に従いましょう。
カンペを見ながらの面接は?
カンペを見ながら面接すると、目線が下がって見えるほか、読み上げることで機械的な印象を与える可能性があります。どうしてもカンペが必要だと感じるなら、キーワードだけ付箋に書き出し、デバイスのカメラと同じ高さの位置に貼っておくのがおすすめです。
接続エラーなどトラブルが起きたら?
残念ながらどれだけ気を付けても、急なトラブルを完全に防ぐことはできません。
もし突然接続が切れてしまってもスムーズに対応できるように、面接官との連絡手段を確認しておきましょう。面接に関する連絡メールに緊急連絡先の電話番号が記載されている場合があるため、速やかに連絡を入れます。連絡先の記載がない場合は、先方に確認しておきます。
WEB面接中の画面を録画・撮影してもよい?
対面の面接で録画・録音ができないのと同様、基本的には録画はNGです。もし面接中の自分の様子を見返したい場合は事前に面接練習をおこない、その様子を録画しましょう。
また、面接中にあったことをSNSなどに書き込むのも控えましょう。
スマートフォンの通知音やインターホンの音がしたら?
もし面接中に通知音やインターホンの音などが鳴ってしまったら、すぐにおわびをしてオフにします。
このような事態が起きないように、荷物の宅配は時間指定を利用したり、家族に対応を依頼しておきましょう。また、パソコンやスマートフォンのデバイスの通知音やアラームは、事前に切っておきましょう。
面接での挨拶は座りながらでOK?
WEB面接は対面と違い、座ったままおこないます。挨拶のために立ち上がる必要はありません。
背景機能を使用してもOK?
背景に画像を重ねられる背景機能は、実際の背景を映さずに自分のオリジナリティを伝えられるツールです。うまく映らなかったり、画質が低下したりする懸念もあるため、WEB面接では基本的に背景機能を使わないことが望ましいです。
事前に部屋を片づけ、背景に余計なものが映りこまないようにします。気になる場合は、大学などの面接用ブースを利用しましょう。
もし背景を使いたい場合は、シンプルなものや、自身の雰囲気が伝わる画像を選ぶとよいでしょう。
WEB面接の練習方法
事前にWEB面接の練習をしておくと、本番で慣れない環境に慌てることなくリラックスして進められます。
練習する際は、なるべく面接本番と同じ環境でおこないましょう。面接を予定している場所の通信環境は問題ないか、デバイスやアプリケーションに問題はないか、背景に余計なものが映っていないか、自分の表情は鮮明に映っているかなど、面接の環境を確認します。
また、WEB面接では画面に映る情報で判断されます。第三者に面接官役をしてもらい、自分がどのように映っているのかチェックしてもらいましょう。
ゆっくりはっきり、大きな声で話しているか、相手が話し終わったあとに話しているか、目線は画面の向こうの面接官に向いているかなどを見てもらいます。同時にWEB面接のアプリケーションの機能を使って録画し、練習後に必ず見返しましょう。
面接練習のチェックポイントは、以下の記事で紹介しています。併せてご覧ください。
WEB面接対策について、大学(キャリア・就職支援担当者)が支援できること
キャリア・就職支援担当者の皆様は、学生がWEB面接そのものに慣れていけるよう準備段階からサポートしていきましょう。
例えば学生との個人面談にWEBを併用している場合、WEB面接を受けるにあたって十分な環境が整っているかを確認します。
なかにはWEBカメラが付いていないデバイスしかなかったり、カメラオフで問題ないと考えている学生もいるため、WEBカメラの購入やカメラ機能に問題がないか確認するとよいでしょう。同時に、部屋を片付けたり、窓を閉めたりなど、環境面のアドバイスも実施していきましょう。
WEB面接に慣れていない学生には、WEBで繰り返し模擬面接を実施することが有効です。また、WEB面接向けのガイダンスや模擬面接会を開催し、学生をサポートしていけるとよいでしょう。
WEB面接に適した環境が用意できない学生のために、大学内でWEB面接を受けられるスペースを確保できると理想的です。
まとめ
社会情勢により一挙にWEB面接の導入が進みました。
面接の流れやスタイルは対面とあまり変わりませんが、対面に比べてやり取りできる情報量に差があったり、WEB面接に適した環境を整える必要があったりと、事前の情報収集と準備が求められます。
キャリア・就職支援担当者の皆様は、環境面や学生の話し方、見え方などに注意を払ってフィードバックしていきましょう。慣れない学生に対してのサポートのほか、大学内でWEB面接できるスペースを確保するなどの準備も必要です。
マイナビキャリアサポートでは、キャリア・就職支援担当者の皆様の視点に立ち、学生の支援方法など有益な情報を提供しています。
またマイナビでは、いつでもどこでも、1人でも模擬面接ができる「模擬面接シミュレーター」を提供しています。模擬面接では10,000通りの面接が体験できるほか、面接官役を体験して自分の面接に活かすことも可能です。ぜひご利用ください。
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