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2025年卒大学生 3月の内々定率と企業採用予定調査、インターンシップ・就職活動準備実態調査について|マイナビ編集長コラムvol.6

マイナビ編集長による、各種調査結果を基にしたコラムです。
今回は、2025年卒大学生 3月の内々定率と企業採用予定調査、インターンシップ・就職活動実態調査について解説します。

Profile

高橋 誠人
株式会社マイナビ 就職情報事業本部 マイナビ編集長
2002年、株式会社マイナビに入社。キャリアサポーターとして10年間マイナビの学生向け広報業務に携わり、関西圏の大学、短大、専門学校での就活支援講座を多数行うなど、学生の就活サポートを精力的にこなす。その後営業の現場で、企業の採用コンサルティングに幅広く関わる。熊本支社長、鹿児島支社長、兵庫支社長を経て、2018年7月より現職。日本キャリア開発協会会員(CDA)。

皆さま、こんにちは。マイナビ編集長の高橋です。
3月1日から「マイナビ2025」の企業エントリーも始まり、2025年卒の学生のみなさまの就職活動が本格化してきました。マイナビ2025では学生のキャリア形成意識の高まりやワーク・ライフ・バランスへの興味関心の高さから、募集コース数の増加、「初任給」などの検索項目の追加を実施しました。長く続く人生におけるファーストキャリアの支援の一助になれば幸いです。

25年卒業予定の大学生・大学院生の内々定率は34.3%

2024年3月1日から3日に実施した調査「2025年卒 大学生 活動実態調査 (3月1日)」によると、25年卒業予定の大学生・大学院生の3月1~3日時点での内々定率は34.3%(前年比16.2pt増)でした。25年卒においてはインターンシップの定義改正があり、一定の条件を満たすインターンシップ・プログラムに参加した場合、その情報を採用選考に利用しても良いと明記されました。

時期については「広報活動開始・採用選考開始時期以降に限る」と明記されていますが、一部でそれよりも前に採用選考が開始されていた影響で、内々定率が大きく上昇したと考えられます。

採用予定数は文理ともに前年並み。新卒採用の理由が「将来の幹部候補・コア人材の採用」から「目下の人手不足解消」へ変化

今回は2月末に発表いたしました「マイナビ 2025年卒 企業新卒採用予定調査」から、企業の採用状況についてお伝えしたいと思います。25年卒の採用予定数は文理ともに「前年並み」が増加しました(文系:55.6%/前年比3.0pt増、理系:56.9%/前年比4.6pt増)。

これまで2年連続で採用数を「増やす」と回答する企業が増加していましたが、25年卒は前年比減となりました(文系:前年比4.4pt減、理系:前年比4.7pt減)。採用充足率が年々低くなるなか、採用予定目標数はこれ以上増やせない状態まで達していると予測されます。

新卒採用実施の理由の変化を見ると、「将来の幹部候補・コア人材の確保」が3年連続で減少する一方で、「退職者の増加」や「前年に新卒を採用できなかったから」は増加しています。

景気の回復に伴って転職市場が活発化し、転職者が増えたことによる欠員を新卒採用で補ったり、新卒採用活動を毎年は行っていないものの、前年の採用難で今年度も再度新卒採用を実施することになった企業が増えているとみられます。将来の幹部候補やコア人材としての新卒採用は減少する一方、目下の人手不足解消のために新卒採用を実施する企業が増えているようです。

76.6%の企業が25年卒の新卒採用は「厳しくなる」と予想。採用難の要因は少子化の影響で「新卒学生全体の数が減っていること」がトップ

採用環境の見通しについて、「厳しくなる」と回答した企業は76.6%(「非常に厳しくなる(22.8%)」+「厳しくなる(53.8%)」)でした。文理それぞれの見通しについても、「厳しくなる」と予想する企業が3年連続で増加しており(文系:68.5%/前年比19.4pt増、理系:69.2%/前年比18.8pt増)、採用に苦戦すると考える企業がさらに増えている様子です。

「自社の新卒採用が厳しくなっている要因」について聞いたところ、「新卒学生全体の数が減っていること(70.8%)」がトップとなり、「新卒採用をする企業が増えていること(53.1%)」が続きました。少子化によって減少している新卒学生に、多くの企業がアプローチしあう図式になっていることが、採用に苦戦する要因だと捉えているようです。

47.2%の企業が初任給の引き上げ予定あり。上場企業の約半数が「初任給をすでに引き上げており、さらに引き上げを行う予定」と回答

給与の引き上げについて聞いたところ、初任給の引き上げを行う予定の企業は合計で47.2%でした。詳細を見ると「現時点ですでに引き上げており、さらに引き上げを行う予定」が全体の34.5%、上場企業では49.3%で最多となり、上場企業の約半数が初任給のさらなる引き上げを予定していることが分かりました。

また、基本給についても同様の傾向が見られ、引き上げを行う予定の企業は合計で48.8%となっています。前述のように、新卒採用実施の理由として退職者の増加をあげる企業も増えていることから、採用におけるアピールという理由だけでなく、待遇改善により現職社員の定着も目指していると考えられます。

インターンシップ・仕事体験の参加率は85.7%で調査開始以来、最高値に。参加しなかった理由は「参加したかったが選考で落ちたから」が最多で28.3%

次に学生の動向をみてみましょう。「2025年卒 大学生 広報活動開始前調査」によると、25年卒のインターンシップ・仕事体験に応募した割合は前年比1.7pt増の91.0%で、参加した割合は前年比3.9pt増の85.7%となり、いずれも前年を上回りました。特に、参加率については年々高まりを見せていましたが、25年卒においては、調査を開始した14年卒以来最高値となっており、インターンシップ・仕事体験への参加が一般的となっている様子がうかがえます。

インターシップ・仕事体験のプログラムの内容は「実際の現場での仕事体験(33.2%)」が前年から最も増加

これまで参加したインターンシップ・仕事体験の開催形式を聞いたところ、「WEB形式に参加した経験の方が多い(41.8%)」が前年に続いて最多で、「WEB形式のみに参加した(16.0%)」とあわせると57.8%となっており、WEBでの参加が主流である傾向は続いています。一方で、「対面形式に参加した経験の方が多い(17.3%)」と「対面形式のみに参加した(8.2%)」を合わせると25.5%(対前年比8.4pt増)となっており、対面形式での経験割合も大きく増加しました。

参加したことのあるインターンシップ・仕事体験の内容を聞いたところ、「グループワーク(企画立案、課題解決、プレゼンなど(75.1%)」で前年に引き続き最多でしたが、前年から割合が最も増えたのは「実際の現場での仕事体験(33.2%)」で、前年から6.8pt増加しました。

インターンシップ・仕事体験においては、実際の職場に訪れてリアルな体験をすることの価値がある一方で、学業との両立や、交通費などが負担になる可能性もあります。そのため、利便性の高いWEB形式のプログラム参加も含め、状況にあわせて選び分けることが定着しつつあるようです。

インターンシップ・仕事体験に参加しなかった理由は「参加したかったが選考で落ちたから」が最多で28.3%

インターンシップ・仕事体験に参加しなかった主な理由を聞いたところ、「参加したかったが選考で落ちたから」が最多で28.3%となり、前年から15.7pt増加していました。25年卒のインターンシップ定義改正により参加者情報が、採用選考時に利用される可能性が高くなったこともあり、学生のインターンシップ・仕事体験への参加意欲は高まりました。

その一方で、「インターンシップ」という呼称は、実際の職場での就業体験が一定の日数以上必要となるなどの条件が明記されています。オンライン開催などと比べると定員が少なくなるために、これまで以上にインターンシップ選考が厳しくなることも懸念されていました。

こうした背景もあり、インターンシップに参加したかったが、選考に落ちたことで参加を見送った学生が前年よりも増えたと考えられます。

就職活動の準備のためにしたことは「友人や知り合いと就活や仕事の話をする」が最多

インターンシップ・仕事体験以外で就職活動の準備のために行った活動を聞いたところ、「友人や知り合いと就活や仕事の話をする」が最多で64.3%で、前年から4.7pt増加しました。さらに、「仕事や業界・企業」について社会人に話を聞いたことがあるかについても、「聞いたことがある」との回答が前年から3.6pt増加し、82.4%となりました。

また、社会人と話をすることで、起こった変化については「志望業界・企業が広がった(36.6%)」、「就職活動への意欲や期待が高まった(32.8%)」が上位となりました。このように社会人と話すことで視野を広げたり、意識を高めることができているようです。

 2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行したこともあり、自由に人と会いやすい環境になっていることも後押しになっていると思われますが、このような人とのコミュニケーションもキャリア観醸成に役立っていたと考えられます。

就職活動の準備が「できている」と思う学生が前年から増加しているが、「できていない」と思う人も同程度

現時点で就職活動に対する準備がどの程度できていると思うか聞いたところ、「できている(「十分できている」と「ある程度できている」の合算)」の割合が前年から6.7pt増の36.1%となりました。一方で、「できていない(「あまりできていない」と「全くできていない」の合算)」の割合は前年から6.0pt減の38.4%となっていました。

25年卒学生は、インターンシップ・仕事体験への参加割合も高く、全体的にインターンシップなどを始めとした就職活動の準備期間に活発に活動しており、その準備状況も前年を上回っています。しかし、25年卒のみで考えると、準備が「できていない」と思う人のほうが「できている」と思う人よりも多くなっており、必ずしも全ての人が準備万端だと感じているわけではないようです。

あとがき

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。就職活動を進めている学生のみなさまは本番シーズンに入り、教職員のみなさまはキャリア支援をしながら新入生の受け入れもされており、一年でも多忙な時期かと思います。もし何かお困りごとがございましたらお気軽に担当のキャリアサポーターにお声がけください。

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