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2025年卒大学生のインターンシップ・就職活動実態調査と既卒者の活動実態について|マイナビ編集長コラムvol.5

マイナビ編集長による、各種調査結果を基にしたコラムです。
今回は、2025年卒大学生のインターンシップ・就職活動実態調査と既卒者の活動実態について解説します。

Profile

高橋 誠人
株式会社マイナビ 就職情報事業本部 マイナビ編集長
2002年、株式会社マイナビに入社。キャリアサポーターとして10年間マイナビの学生向け広報業務に携わり、関西圏の大学、短大、専門学校での就活支援講座を多数行うなど、学生の就活サポートを精力的にこなす。その後営業の現場で、企業の採用コンサルティングに幅広く関わる。熊本支社長、鹿児島支社長、兵庫支社長を経て、2018年7月より現職。日本キャリア開発協会会員(CDA)。

11月(単月)のインターンシップ・仕事体験の参加率は56.9%(対前年比3.2pt増)

皆さま、こんにちは。マイナビ編集長の高橋です。今年も残すところあと僅かですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

今回のコラムでは、年末に調査・発表をおこなった、2025年卒大学生のインターンシップ・就職活動実態調査と既卒者の活動実態についてお伝えします。まずは2025年卒生の状況について見てみましょう。

マイナビ 2025年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(11月)」では、2025年卒の11月(単月)インターンシップ・仕事体験の参加者率は56.9%(対前年比3.2pt増)、11月時点でこれまでにインターンシップ・仕事体験に参加した割合は87.6%(対前年比4.8pt増)となり、いずれも前年を上回りました。

有償インターンシップに参加したことがある割合は17.8%(対前年比3.1pt増)

マイナビ 2025年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(10月)」では、交通費や昼食代以外で報酬(給与)が支払われる有償インターンシップへの関心と参加経験を聞いたところ、最多なのは前年と同様に「興味はあるが、参加経験なし」で71.0%(対前年比2.1pt減)でしたが、「参加経験あり」との回答が17.8%(「興味があり、参加経験がある(15.7%)+「興味はないが、参加経験あり(2.1%)」の合算)で、前年から3.1pt増加していました。

有償インターンシップはまだ一般的ではないですが、25年卒からインターンシップの定義が改正されたことにより、職場におけるより実践的で、また長期間の就業体験をする機会が増えてきていると推察されます。
そのため、その業務状況に応じた報酬が支払われる有償インターンシップも増加傾向にあるようです。

新卒で入社する会社で「定年まで」働きたい人は20.1%(対前年2.0pt減)

マイナビ 2025年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(11月)」において「新卒で入社する会社で何年働きたいか」と聞いたところ、「特に決めていない・わからない」が最多で34.3%(対前年2.6pt増)、次いで「定年まで(20.1%、対前年2.0pt減)」となった一方で、最も少なかったのは「1~3年ぐらい(3.9%、対前年比1.0pt減)」でした。
全体的には前年と同様の傾向が見られました。

大卒の入社3年以内の離職率は年によって上下しながらも、1995年頃から、約3割で推移しています。しかし、就職活動中の段階では、3年以内で退職しようと考えている人は少ないようです。
また「ファーストキャリアで人生の何割が決まると思うか」について0〜10割の10段階で聞いたところ、「7割」との回答が最多で21.6%でした。

また、5割以上の回答を合算すると、全体では78.5%となり、回答割合だけを見ると、かなりばらつきが見られる結果となりましたが、ファーストキャリアで人生の半分以上が決まると考えている学生が多いことがわかりました。

「同じ会社で、ある仕事を軸にして、類似した仕事に領域を広げながら働いていきたい」が最多で21.6%

40代くらいまでのキャリアを想定して、社会人になったらどのように働きたいかについて聞いたところ、「同じ会社で、ある仕事を軸にして、類似した仕事に領域を広げながら働いていきたい」が最多で21.6%となっており、この項目は文理ともに最多でした。
文理別で見た際に、理系で特徴的だったのは「同じ会社で、同じ内容の仕事をしていきたいが、技術・能力的に年を追うごとに難しい内容の仕事をしていきたい」が2番目に多かった点で、文系に比べると8.3pt多い17.6%でした。

一方、文系で2番目に多い項目は「現時点ではまったくイメージできない」で理系よりも4.5pt多い15.3%で、また、3番目に多い「同じ会社内で、部署異動しながらいろんな仕事をしていきたい」も13.2%と同程度の結果でした。

これらの結果だけで結論づけることは難しいですが、どちらかというと、理系学生の場合はキャリアを縦方向に積み重ねていくイメージでプロフェッショナル志向が見られ、文系学生は働きながらの試行錯誤も念頭に置いた横方向の広がりを望む傾向が見られました。

「最初に配属される勤務地」が限定されていると「応募意欲が高まる」が78.0%

就職活動が始まった後と想定して、応募時に「最初に配属される勤務地」が限定されていると応募意欲が高まるかと聞いたところ、「応募意欲が高まる(応募意欲がとても高まると思う+他の条件によるが、多少は応募意欲が高まると思う)」が78.0%となり、全体的には前年と同様に、勤務地が限定されていることが応募意欲を高めることがわかりました。

また、「入社後の転勤(働く場所が変わること)に関する現在の考え」を聞いたところ、「引っ越しが不要な範囲内であれば転勤があっても良い」が最多で27.8%(対前年比0.7pt減)、次いで「転勤はしたくない」が26.7%(対前年比0.4pt減)でした。

概ね、前年と同様の結果となりましたが、わずかではあるものの、「海外含め転勤しても良い」が前年から2.8pt増の10.5%となりました。先行きが読めない不透明な時代に入り、配属勤務地が明確になると、自分のキャリアが描きやすいと考えているのかもしれません。

「最初に配属される職種(仕事内容)」が限定されていると「応募意欲が高まる」が74.3%

就職活動が始まった後と想定して、応募時に「最初に配属される職種(仕事内容)」が限定されていると応募意欲が高まるかと聞いたところ、「応募意欲が高まる(応募意欲がとても高まると思う+他の条件によるが、多少は応募意欲が高まると思う)」が74.3%となり、前年と同様の傾向が見られ、また、「入社後の『仕事内容が変わる異動』に関する現在の考え」を聞いたところ、「自分の希望が叶えられるのであれば異動があっても良い(社内公募制等)」が最多で42.1%(対前年比2.5pt減)で、他の項目においても前年の同様の傾向となりました。

このようにインターンシップ・仕事体験の参加が増加し、有償インターンシップの参加も増加しています。また、入社最初に配属される勤務地や職種が明確な応募要件に対し、志望意欲が高まることから、より自らのキャリア形成について真剣に取り組んでいることが見受けられます。次は既卒者の活動状況についての調査結果が出たのでご報告させていただきます。

既卒者の就職活動状況

マイナビ2024の会員のうち、「既卒者」にチェックを入れている方にアンケートを実施した「2023年度マイナビ既卒者の就職活動に関する調査」によると、在学中の就職活動において、在学中に活動したものの「内定を獲得した」割合は35.1%と昨年より下がり、減少傾向にあります。在学中の活動率も下がり、インターンシップ参加率も減少傾向にある中で、在学中の活動についての反省点としては「スタートが遅かった(44.7%)」が最も多く、「面接対策が不十分だった(38.4%)」「業界研究・企業研究が不十分だった(38%)」「自己分析が不十分だった(37.9%)」などが続いてます。

卒業後の活動について、在学中の活動と比較してどのように変化したのかを聞いたところ、「変化があった」内容としては前年と変わらず「既卒者を受け付けている企業を選ぶようになった(51.3%)」、「在学中より業界の幅を広げた(51.1%)」「在学中より職種の幅を広げた(32.4%)」などの回答が上位に並びました。前年より増えた項目としては、「企業情報を収集する手段を増やした」や「在学中より勤務地の幅を広げた」などがあり、視野を広げる動きがみられます。

一方、「在学中より職種を絞り込んだ 」「在学中より勤務地を絞り込んだ 」という回答も前年より増加しており、少数ながらも幅を絞り込む方向に変化した人も存在しており、必ずしも視野を拡大することだけが良いわけではく、適度に視野を広げてから絞り込んでいくなど一定のプロセスを経ることが重要という過去の示唆もあります。

卒業後の活動で「大変だったと思うこと」(複数選択)では、「既卒者としての活動の仕方がわからなかった」が52.6%と最も多い回答となりました。次いで「既卒者として就職活動している理由を聞かれる」、「既卒者の募集が少ない」、「既卒者の募集が少ない」などの回答が上位に入りました。
卒年別でみると、22年卒以前の悩みが23年卒より総じて高く、特に「既卒者としての活動の仕方がわからなかった」(全体比+7.3ptの59.9%)や「新卒の就職サイトに登録して活動していいものか迷った」(全体比+5.9ptの34.4%)、「既卒として就職活動している理由を聞かれる」(全体比+5.8ptの28.8%)などの回答で全体との差が大きく、期間が1年以上開くことで、より活動しにくい様子がうかがえる結果となりました。

既卒者が現在、内定を「保有している」と回答したのは34.8%で、前年より10pt減少しました。ここ数年は既卒者の内定率は上昇していましたが、今期は減少に転じています。調査の回答数が前年の半数(22年度320名:23年度143名)になっていることもあり、内定を得た学生がサイトを利用しなくなっている可能性も考えられます。内定保有率を活動量別に比較すると、在学中より「活動量が(かなり+やや)増えた」の42.7%に対し、「活動量が(やや+かなり)減った」は25.2%となり、活動量により内定率に差が見られました。

内定獲得後の今後の活動予定については、「内々定先に満足したので終了する(している)」が前年比5.8pt増の70.2%となり、内定率は減少に転じたものの、内定先への満足度は上昇しているようです。

あとがき

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。今回は2025年卒生のインターンシップ・仕事体験への参加状況、キャリア感についてと、既卒者についての状況をお伝えいたしました。今後のキャリア支援にお役立ていただけましたら幸いです。2024年も引き続き、宜しくお願い申し上げます。

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