TOP  /  コラム  /  オンラインでのキャリア・就活支援は難しい?課題と対応、メリット・デメリット

オンラインでのキャリア・就活支援は難しい?課題と対応、メリット・デメリット

オンラインでのキャリア・就職支援は難しい?課題と対応、メリット・デメリット

2020年から広がった新型コロナウイルス感染症の影響で、大学ではオンラインによる授業が取り入れられ、キャリア・就職支援もオンライン化が進みました。

しかし、実際に支援をおこなうキャリア・就職支援担当者のなかには難しさを感じる人もいるのではないでしょうか。この記事ではオンラインによるキャリア・就職支援について、課題と対応策を解説します。

新型コロナウイルスによるキャリア・就職支援への影響

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、キャリア・就職支援には大きな変化がありました。ここでは具体的な影響について説明します。

学生からの相談の変化

生活に大きな変化が起こる中、キャリアセンターは急遽WEB面談や電話による相談ができる体制を整えました。
さらに、周りに対面で気軽に相談できない環境などが相まって、学生からの相談件数が増加する大学もありました。

また、学生からの相談内容にも変化がありました。
当初は「コロナ禍による企業の業績不振に関する心配」といった相談が多く寄せられていました。しかし、最近では「WEB選考に通過できるか不安」「面接で話す自己PRがない」といった相談が増えてきています。

参考:マイナビキャリアリサーチLab「マイナビ 2022年度キャリア・就職支援への取り組み調査」

採用活動の対面・オンラインのハイブリット化

企業の採用活動も、対面とオンラインのハイブリッド化が進みました。
採用活動を説明会や面接をオンラインに切り替えたほか、動画選考を導入するなど、対面の選考は残しつつもオンラインによる対応を進めることとなりました。
こうした動きに学生側も対応しなければならず、対面とオンライン両方を想定した準備が必要になっています。

就職支援のオンライン需要の高まり

外出自粛要請で大学への入構制限がかかったことにより、本格的に就職支援そのもののオンライン化が必要になっていきました。
また入構制限が解除され、対面授業が復活してからも「3つの密」(密閉、密集、密接)を避ける対策を講じなければならず、WEB面談の需要はますます高まっていきました。

現在でも、「長時間移動しなくてもよい」「留学中、帰省中でも参加できる」「授業やアルバイトの合間に受けられる」といったように学生からは歓迎されており、実際にオンライン開催により参加者が増えたケースもあるようです。
「マイナビ 2022年度キャリア・就職支援への取り組み調査」によると、就職ガイダンスや学生相談において、6割超の大学が対面とオンラインのハイブリッド形式で対応しており、オンライン対応が定着しつつあることが伺えます。

参考:マイナビキャリアリサーチLab「マイナビ 2022年度キャリア・就職支援への取り組み調査」

オンラインでのキャリア・就職支援のメリット・デメリット

キャリア・就職支援担当者がオンラインで支援をおこなう場合、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。ここではオンラインによるメリットや注意点を紹介します。

オンライン対応のメリット

オンラインでの対応でメリットを、3つのポイントから見ていきます。

時間や場所の制約が少なく、学生が参加しやすい

オンライン対応による最大のメリットは、時間や場所の制約が少なく、学生が参加しやすいところです。
例えば対面で面談をする場合、双方が大学まで足を運ばなければ対応ができません。また、面談スペースが少なく、場所の確保ができないと参加できる学生も少人数となってしまいます。
しかしオンライン面談であれば、学生は都合のよい場所から参加することが可能です。面談対応をする教職員も同様に、場所の制約が少なく対応できます。

会場の物理的なキャパシティを考えなくてよい

講座やガイダンスを実施するにあたり、会場の物理的なキャパシティを考えなくてよいこともメリットとして挙げられます。
正課外で講座を実施する場合、参加人数が読めない場合があります。参加したいという学生がどのくらいの人数になるのかを見込み、講座の効果を最大化するために適切な会場を判断するのは難しいことです。
一方、オンラインであればそのような心配がなくなります。ただし使用するツールやプランによっては一度に接続できる人数が限られていることがあるため、事前に確認しておきましょう。

録画や動画を活用できる

録画・動画を活用しやすいのもオンラインのメリットです。
もちろん対面でも録画は可能ですが、十分な機材を準備しないとノイズが多かったり映像が見づらかったりします。その点オンラインであれば画面と音声をそのまま録画できるため、講座を録画しておいて参加できなかった学生に対して後日閲覧可能にしたり、アーカイブとして残したりすることが可能になります。
また面談の様子や模擬面接も、学生本人に同意を取ったうえで録画しておけば一緒に見返しながらフィードバックできます。このように、「映像に残しやすい」という点も大きなメリットといえるでしょう。

オンライン対応のデメリット・注意点

一方、オンライン対応にはいくつかの注意点があります。ここでは3つに絞って紹介します。

オンラインでの対応に慣れる必要がある

まず、オンラインでの対応に慣れておく必要があります。
使用するツールやアプリケーションによって操作が異なるほか、参加する学生に対して事前にURLを発行するなど、対面とは異なる準備が必要になります。
対面との感覚の違いを実感することもあるでしょう。そうした違いに慣れておき、学生をサポートできると理想的です。

また、オンライン講座終了後に録画した映像をアーカイブとして閲覧できるようにする場合は、編集や配信の作業が別途必要になることもあります。ツールやアプリケーションについて基本的な操作を調べておくほか、どのような対応が必要か事前に想定しておくとよいでしょう。

通信環境や機材のトラブルに対応する必要がある

通信環境や機材には急なトラブルがつきものです。突然接続が切れる、音声が入らないなどのトラブルが発生した際もスムーズに対応できるよう、あらかじめトラブル対応のルールをつくっておきましょう。事前にリハーサルをし、なるべくトラブルが起きないように備えるのも重要です。

また、学生側にトラブルが発生した際も同じように対応ガイドラインを用意しておくと安心です。例えば予期せぬトラブルが発生した際の連絡先やうまく接続できない場合の対応方法などを一緒にメールに記載しておきます。
どうしても復旧しない場合は、相談なら電話対応、講座なら後日のアーカイブ配信や別日開催に切り替えるなど、発生しうるトラブルを予期しておき、柔軟に対応できるよう準備しておきましょう。

学生の表情や反応の変化に気付く必要がある

WEB面談の場合、学生の表情や反応の変化を対面よりも注意深く観察する必要があります。
対面と違ってカメラやマイクを通しての情報であることに加え、学生の上半身の一部しか見えないため非言語情報が読み取りづらく、学生の反応や顔色、理解度、感情などの変化が対面よりもわかりづらく感じるかもしれません。また、対面以上に丁寧な言葉選びと対応が必要です。

具体的には、「フィードバックを受けてどう感じたか」「面談全体で言い足りなかったことや聞き足りなかったことはないか」などの声かけが重要になってきます。
また、学生本人は大丈夫だと思っていても、カメラとの距離感や声の大きさ、室内の明るさなど気付かないところも多いため、気付いたところは学生にフィードバックしていきましょう。

変化する需要に対し、効果的な就職支援のためにできること

ここまで解説してきたように、時代に応じて学生がキャリア・就職支援に求めるものは変化しています。
そのなかで効果的に学生の就職支援をするために、何ができるでしょうか。ここではキャリア・就職支援担当者が取り組めることについて紹介します。

学生の不安や危機意識を受け止める

コロナ禍1年目の2021年卒は、急な緊急事態宣言で周りの動きがわからず不安が強まりました。
また、翌年の2022年卒はコロナの影響から業績不振で特定業界の求人数が減り、希望の就職先をどのように考えればよいかわからず、危機感もありました。

その後、企業の採用意欲が回復し、一時期に比べると求人数が増えました。しかし「ジョブ型採用」「職種別採用」など新たな採用形態が出てきたり、情報量の多さから消化不良に陥ったりし、「どう判断すればいいかわからない」と悩む学生も出てきています。
このように、毎年情勢とともに変化する学生の状況に対し、アンテナを張って敏感にキャッチアップし、対応を考えていくことが求められます。

他にも、コロナ禍で学校に登校できないなどの行動制限もあり「友人ができない」「サークルに所属していない」という悩みを抱える学生もいます。
これまで友人や先輩に相談していた進路相談も、「誰に相談してよいかわからない」「気軽に周囲に相談できない」という悩みに変わるケースもあります。
そのため守秘義務を守って話を聞いてくれるキャリアセンターの存在感や重要度が、今後もより高まると考えられます。

参考:マイナビキャリアサポート「調査の裏側|コロナ禍でキャリアセンターの負荷は大幅に増加」
参考:HUMAN CUPITAL サポネット「増えるキャリアセンターへの相談と学生不安の原因を考える」

オンライン対応環境を構築する

今後も引き続き、オンラインに対応する環境構築が求められるでしょう。
採用活動における企業のオンライン活用が進むと、学生が企業に足を運ぶ機会が減り、学業との両立がしやすくなるといったメリットも生まれます。大学の授業に出席したあとで、企業の選考に臨むといったケースも見受けられるようになりました。
学生が授業の合間に説明会や選考を受けられるようにしたり、キャリアセンター内にWEB面接ができるスペースを設置するなど、環境を整えていく必要があるでしょう。

ITリテラシーの向上を図る

オンラインへの対応に伴い、ITリテラシーの向上を図ることも求められます。
最初は難しく感じるかもしれませんが、オンライン対応に必要な知識やスキルを積極的に身につけるようにしておきましょう。

「マイナビ 2022年度キャリア・就職支援への取り組み調査」によると、「WEB選考関連」に関する相談は「新型コロナウイルスの影響で、学生相談で増えたテーマ」最多の73.9%を占めています。オンライン対応のために身につけた知識は、結果としてWEB面接などに対応しなければいけない学生に還元できるようになるはずです。

参考:マイナビキャリアリサーチLab「マイナビ 2022年度キャリア・就職支援への取り組み調査」

複数のメディア・ツールを組み合わせて情報を発信する

学生によって多用するメディアやツールが異なります。そのため複数のメディア・ツールを組み合わせた情報発信が求められます。

例えばガイダンスや講座のお知らせを大学独自のポータルで発信しても閲覧数・開封率が低いと感じたら、SNSやメールなど別の方法でも届けるようにします。学内ポータルにのみ掲載している情報がある場合は、ガイダンスであらためて周知するのも有効です。
また、多くの学生に参加してもらいたいイベントなどがある場合は、学生の保護者宛てにはがきや手紙でお知らせを郵送するのも手法の一つです。

一つの情報チャネルにこだわらず、複数のメディア・ツールでの情報発信を検討するのがよいでしょう。

オンラインを活用した有効な支援方法を学ぶ

企業も毎年、採用活動の内容を検証・模索しながら変化を加えています。
こうした変化に対応し、細かな情報収集を続けていくことが必要になります。
オンラインを活用した有効な支援方法を学ぶなど、学生に対する支援を充実させるために研鑽を重ねることで、より有効なレクチャーやフィードバックが可能となるでしょう。

まとめ

オンラインを利用したキャリア形成支援は、場所の制約を受けずに学生とかかわることができ、Withコロナの時代にマッチした新しい支援の形であるといえます。
企業側も採用活動でオンラインを活用しており、今後も対面とのハイブリット方式が定着すると見込まれます。

一方、対面との併用で負担が増え、対面との比較から「オンラインは支援しづらい」と感じている方もいるのではないでしょうか。
また、ハイブリッド式の企業の採用活動も複雑化するため、情報をキャッチアップする必要性がますます高まっています。

マイナビキャリアサポートではそんなキャリア・就職支援担当者の皆様に参考となる情報提供をおこなっています。ぜひご活用してください。

「マイナビキャリアサポート」は
キャリア支援・就職支援に関する総合情報サイトです

長い学生生活の出口で、学生たちを社会へと送り出す。その大きな役割と責務を担っている皆さまに寄り添い、活用いただける情報をお届けするため、2022年にサイトをリニューアルいたしました。
より良いキャリア支援・就職支援とは何か。答えのないその問いに対して、皆さまの学生支援のヒントとなるような情報をお届けして参ります。