調査の裏側|コロナ禍でキャリアセンターの負荷は大幅に増加|大学向け調査

「調査の裏側」は、マイナビが実施している調査について、分析担当者に話を聞くシリーズ。今回は、全国の大学就職支援担当部署を対象に実施した「マイナビ 2021年度キャリア・就職支援への取り組み調査」をもとに、全体の傾向や気になるポイント、次年度以降の取り組みの注意点などに関して、マイナビキャリアリサーチLabの主任研究員を務める宮地太郎に話を聞きました。

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Profile

宮地 太郎
マイナビキャリアリサーチLab 主任研究員
2004年、株式会社マイナビに入社。新卒領域の営業、制作、イベント、採用管理・代行部門にて、幅広い業界の企業の採用広報戦略の立案や課題解決に携わる。現在は「マイナビキャリアリサーチLab」の主任研究員として、新卒領域における学生や大学および企業向けのアンケート調査の立案・運用・分析を通じて、人材・雇用全般に関する調査・研究に従事している。

コロナ禍の学生を支える、キャリアセンターの頑張り

まず、2022年卒の就職活動は、学生もキャリアセンターも新型コロナウイルス感染拡大の影響を初めてフルシーズンに受けた年です。1年前の2021年卒は途中から突然、オンライン化への移行を強いられ、その対応に追われるうちに終えたという印象ではなかったでしょうか。その点、今回の調査結果を見ると、就職ガイダンスや業界研究セミナー、学内企業説明会などに関して、「WEBでの開催が9割以上」という回答が半数を超えるなど、多くの大学でキャリア・就職支援のオンライン化の基盤が整ってきていることが見受けられます。

しかし、その一方でキャリアセンターの負荷は21年卒と比べて「増えた」が49.6%(前年比12.3pt増)と大幅に増加する結果に。この要因を個別の回答から探ると、「対面とオンラインのいずれの準備も必要だった」「対面の際の感染対策に時間を要した」「URL発行や視聴環境の問い合わせ対応に追われた」「学生からの相談も電話、メール、オンライン会議ツールと多様化し、相談件数も増えた」など、対面とオンラインのハイブリッド化による負荷の増大が確認できました。

ただ、こうしたキャリアセンターの皆様の対応があったからこそ、2021年卒に比べて大学内でのキャリア・就職支援の提供回数や参加人数は増加し、コロナ禍で不安を抱えながら就職活動に励んでいた学生たちにとっては大きな支えになったのではと推測できます。

提供回数や参加人数に加え、「質」の向上が鍵に

では、次に気になるポイントとして、対面とオンラインのハイブリッド化の中身をもう少し詳しく見ていきましょう。

今回の調査において、WEBによる就職ガイダンスや業界研究セミナー、学内企業説明会の提供回数と参加人数の増加傾向という結果がみられましたが、その提供方法や評価に関しては大学ごとに様々な違いが見受けられました。
たとえば、「会場のキャパシティを考えなくて済むぶん、一度に多くの学生を集めることができた」という大学もあれば、「参加人数を制限し、参加できる日時を学生ごとに細かく指定することで参加率を高めた」という大学もありました。
また、都市圏の学生と地方在住の学生ではオンライン化に対する評価が多少異なります。オンラインによるキャリア・就職支援に正解はないものの、これまで対面で行っていたものを、ただWEBに置き換えただけでは上手くいかないという葛藤も見受けられました。

今後はおそらく、オンライン化における「質」の向上の取り組みや、各大学の実情や課題に応じたきめ細かな工夫が求められるステージに移っていくのではないでしょうか。私たちマイナビとしても、従来の調査設問を見直し、ハイブリッド時代の実態の把握ができるように、分析を行い、これまで以上にキャリアセンターの皆様のお力になることができればと考えています。

就職活動の多様化、複雑化への対応が求められる

今回の調査では、キャリアセンターへの学生の相談件数の増加も見受けられましたが、コロナ禍で学生が気軽に周囲の人に相談できない中、今後ますますキャリアセンターの存在感、重要度は増していくと考えられます。
また、企業側の動きに目を向けると、今回の状況をきっかけに企業の情報発信や面接の方法の多様化が一気に進みました。企業によっては、「オンライン化によってこれまでリーチできなかった地方の学生と出会えた」といった利点を喜ぶ声もありますし、逆に「マッチングの精度が落ちたので、やはり面接は対面に戻したい」といった声も聞いています。

さらに、対面とオンラインのハイブリッド化の割合や内容もますます多様化することが予想され、来年以降の学生にとっては今年以上に就職活動の動きがより複雑化していくことになるでしょう。そのため、各大学のキャリアセンターにおいても企業や学生、他大学の動きに関する情報収集がいっそう重要になってきます。

今回のコロナ禍でも学生のために最善を模索し、奮闘し続けた皆様のさらなる対応、対策に向けて、私たちマイナビもそのお手伝いができるような調査データや企業情報、学生動向などの最新情報を発信し続けていければと考えています。

Editor’s Comment

今回の「キャリア・就職支援への取り組み調査」では601キャンパスからのご回答をいただき、ご協力いただいた教職員の皆様には改めて感謝申し上げます。
負荷が高まるキャリアセンターの業務。実施したほうが良い施策はたくさんあっても、人員や時間が一気に増えるわけではありません。大切なことは学校の教育方針やキャリア支援方針を改めて確認し、それに合わせて優先順位を決めること。そしてWEBツールをはじめとし工夫改善し続ける姿勢を持つことかもしれません。
今後も皆様と共に、より良い取り組みを見つけていければとおもいます。
(マイナビ副編集長:谷口)