調査の裏側|オンラインの戦略的活用やジョブ型雇用‐変化する企業・学生の意識|2022年卒総括レポート

「調査の裏側」は、マイナビが実施している調査について、分析担当者に話を聞くシリーズ。今回は、2021年6月までに実施した学生調査・企業調査をまとめた「2021年度(2022年卒)新卒採用・就職戦線総括」の担当であるマイナビキャリアリサーチLab主任研究員の東郷こずえに、2022年卒の総括から見えてきた傾向や今後のキャリア教育・就活支援対策について話を聞きました。

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Profile

東郷 こずえ
マイナビキャリアリサーチLab 主任研究員
国家資格キャリアコンサルタント。2007年、株式会社マイナビに入社。企業の新卒採用を支援する就職情報事業本部において、営業推進、サイトデータ分析部門などを経て、現職。雇用や労働に関連する様々な調査やレポーティングを行う「マイナビキャリアリサーチLab」の主任研究員として、年間約40件の学生および企業向け調査の立案・運用・分析を手掛けている。

対処的オンライン化から、戦略的オンライン化へ

2022年卒の新卒採用・就職戦線は、企業にとってもインターンシップから選考、内々定に至るまで、すべての期間を初めてコロナ禍の中で行った年であり、選考に関しては2年目となる年でした。
ポイントはやはり、オンライン化の進化。何のノウハウもなく、“対処的”にオンライン化に取り組んだ2021年卒の反省を活かし、2022年卒は対面とオンラインの二者択一ではなく、採用活動のフェーズごとに使い分けるなど、各社が状況に応じて“戦略的”に活用する様子が伺えました。
その結果、2021年卒の同時期と比べると混乱が少なく、「内定率」という一つの指標を見る限りはスムーズに進捗した新卒採用・就活戦線だったと言えるのではないでしょうか。

ただ、「内定状況調査」の結果を見ると、企業側が「内定辞退が増えた」と感じている点は注意すべきポイントの一つかもしれません。長年、対面でのコミュニケーションで学生を惹きつけていた企業はオンライン化での採用活動に課題を感じているようです。同様に、単純な経年比較はできませんが、学生側も対面での接触機会が減少したことにより、企業のカルチャーや職場の雰囲気を感じる機会が減り、最終的な決断に迷いが生じているのかもしれません。
さらに、現時点でははっきりと言えませんが、もしかしたら数年後、就職先に対する帰属意識が例年よりも薄いといった新たな課題が出てくる可能性もあります。

企業のアプローチや学生の意識に見られる様々な変化

ちなみに、新卒採用における対面やオンラインの使い分けは、企業側にとっては入社後の働き方やその会社が大切にする価値観の提示としても活用され始めています。学生側もその辺りはよく見ていて、説明会の実施方法や選考が対面かオンラインといった違いから、入社後に自分自身がどのような環境でどう働くことになるのかを確認しようとしている節があります。

また、このコロナ禍の雇用に関するキーワードとして頻出したものの一つに「ジョブ型雇用」がありますが、新卒採用においてはジョブ型に切り替えている企業はまだ少なく、あくまで入社後の最初の仕事内容を採用活動中から具体的に明示している企業が増え始めているという程度の印象です。

ただ、こうした企業の動きは学生側の将来に対する不安感とも連動しており、当社の「就職意識調査」ではここ数年、就職先に「安定」を求める学生の割合が増加している傾向があります。そして、この安定志向はかつての大企業志向とは異なり、企業の事業の将来性や入社後の働き方の多様性、転職後のキャリアの可能性なども含めて志向しているように感じます。

より早い時期からのキャリア観の育成が重要になる

こうした新卒採用・就職活動の変化に対し、キャリア教育や就職支援のあり方も見直しが求められています。
社会人として、企業人としての育成は企業側で行いますが、学びを力に変える基礎力を鍛えるのはやはり高等教育機関だと思います。純粋に学問として取り組む他に、もう一つ「卒業後の自分の武器になるかもしれない」という観点をもって学生生活を過ごすと良いのではないでしょうか。

そのためには就職活動を始める前に、社会や仕事に触れる機会をこれまで以上に持つ必要があります。たとえば、インターンシップ。そこで、「この力はもっと伸ばしておいたほうがいいな」と感じたり、「思っていたより手応えがあった、自分の強みにできるかも」と感じたりすることで、学びの場に戻った時の姿勢も変わってくると思います。

就職活動生になってからは、選考に合格し、内定を得るための準備に多くの時間を割くことになるでしょう。だからこそ、早い時期から将来を見据え、就職活動本番に納得のいく行動と決断ができるキャリア観の育成がより重要になっていくと考えています。

Editor’s Comment

毎年、学校の就職支援ご担当者様から反響をいただくことが多い「新卒採用・就職戦線総括」。今回の分析担当者へのインタビューでは、オンライン化の進化、企業の雰囲気情報不足による入社への迷いや、安定志向の中身の変化など、教職員の皆様が支援する際に意識したい内容が多かったように感じます。
支援する学生は毎年変化します。頻繁に使うツールも、働く上で求めるものも、少しずつ変化していく可能性があります。学生と支援者にとって、お互いの認識にズレが生じないように心がけたいものです。
(マイナビ副編集長:谷口)