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大学事例|進路について考える力を一歩ずつ育てる綿密に設計された支援とは|秋田県立大学

21世紀を担う次代の人材育成を基本理念として掲げる秋田県立大学は、1999年に開学した公立大学。システム科学技術学部と生物資源科学部といった理系の学部を有し、地域と連携した実践的な学びを重視する大学として知られています。そんな秋田県立大学 生物資源科学部では、就職だけに限らず進路全体を考えられるように、早期から学生を支えるためのシームレスな支援に取り組んでいます。今回は、低学年から行う綿密に設計された支援プログラムについて、19年間キャリア支援に携わり、学生の不安に寄り添い続ける簾内氏にお話を伺いました。

Profile

簾内 聖子 氏
秋田県立大学 秋田キャンパス キャリア支援チーム アソシエートリーダー キャリアカウンセラー
2006年に秋田県立大学に入職後、一貫してキャリア支援に関わる。ガイダンスの企画・運営の他、相談・ES添削・面接練習など個別対応も担当。国家資格2級キャリアコンサルティング技能士、国家資格キャリアコンサルタント、シニア産業カウンセラー(一般社団法人 日本産業カウンセラー協会)、ハラスメント防止コンサルタント(公益財団法人 21世紀職業財団)などの資格を持つ。

キャリア支援とは就職だけではない進路について考える準備

まずは、秋田県立大学 生物資源科学部のキャリア支援の特徴について教えてください。

秋田県立大学 生物資源科学部では、3年生からのキャリアガイダンスの前に、2年生後期から進路ガイダンスという名称でキャリア支援をスタートします。その理由は、近年の就職活動の動きにあわせた支援を行う必要性があると感じていたためです。

そこで、3年生だけではなく、低学年2年生からの進路ガイダンスを行うことにしました。些細なことですが、あえて進路という言葉を選び使用しています。就職だけではなく、大学院への進学も含めて、自分自身の進路について考える時間にしてほしいと考えているのです。

生物資源科学部は生物系・農学系の学部ですが、4年間で卒業して就職となると、専門性が深まりにくいと感じており、大学院まで進学し、6年間みっちり学んで研究をしたのちに社会に出る方が良いと思っています。

それにより、培った力を社会で活かすことができると考えています。一方で、大学院への進学を選ぶ学生が多くないという状況もあり、就職も進学も将来の選択肢に含めてほしいと2年生から進路ガイダンスを実施することにしました。

なるほど。進路ガイダンスではどのような取り組みをされているのですか?

たとえば、大学院生が日々の研究・生活を紹介したり、卒業生の就職先やキャリアの話を聞く機会を設けています。可能な限り対面で行うことを優先しているため、卒業生には1年ほど前からオファーをして、何とか予定をおさえてもらっています。

私が卒業生に直接話を伺うインタビュー方式で実施しているのですが、卒業2年目のフレッシュな先輩たちに登壇してもらう機会もあれば、10年以上のキャリアを積んだ役員を含むベテランの卒業生に登壇してもらうこともあります。

登壇する卒業生の中には、自分のやりたいことに真摯に向き合って仕事を選び、そのために転職を選んだケースもあり、卒業生の話は仕事の紹介だけではなく、生き方・働き方の紹介にもなっていると感じますね。

会社・団体の概要や仕事の内容など、表面的な情報ではなく、どうやって進路を決めたのか、どう悩んだのか、そういったプロセスも学生の心に響くのではないかと思います。

点と点がつながるシームレスなキャリア支援のかたち

3年生ではどういったキャリアガイダンス、キャリア支援を行っているのですか?

3年生前期には、本格的に就職活動準備のサポートをスタートします。3年生の夏休み・後期には、学生自らの力でインターンシップ&キャリアに参加したりと、企業との接点を増やす段階に入ります。

そして、これらをすべてシームレスにつなぐことに意味があります。具体的には、2年生の終盤で簡単なエントリーシートを書く課題を出し、3年生になるとそのシートを使って模擬面接に挑戦します。

もちろん、2年生の終わりではまだ志望企業や業界も決まっていない学生がほとんどですが、それでかまいません。今の自分にできないことに気づくーそれが、2年生後期と3年生前期をつなぐ時期の狙いだからです。その後の3年生前期・夏休み期間には、エントリーシートの書き方や面接練習などで知識と経験を養っていきます。

その養った力を使って、3年生後期に企業の方を招いた業界研究セミナーや学内での合同企業セミナーに挑戦します。学生に寄り添い、段階的に支援を行うことで学生のスムーズな成長につながり、学生自身もそれを実感できるように工夫しています。

こういった学生に寄り添った支援ができている秘訣はありますか?

やはり、学校の規模感はあると思います。日頃から学生と1対1で密に関わっているので、ひとりひとりの状況をしっかり把握できています。

そのおかげで、卒業後も連絡が取れ、後輩のために登壇してくれると思います。キャリア支援は人と人との縁の部分も非常に大きいと思うので、そういう面も大切にしています

学生の声に応える垣根を超えた教職一体の空気感

しっかりと作り込まれているキャリア支援体制だと感じているのですが、課題や今後の展望についても教えてください。

キャリア支援は社会や企業など、様々なニーズに合わせて常に見直しと調整が必要だと考えています。そのニーズの中でも、最も参考にしているのは、学生の声です。

ガイダンスごとのアンケート・自身の進路やキャリア支援に関するアンケートなどを通して、学生の意見や提案を可能な範囲でタイムリーに取り入れていきたいと思っています。

特にここ数年は、社会が目まぐるしく変化しています。だからこそ、私たちはこの大学でしか受けられない支援をひとつでも多く提供したいと考えています。

学生のニーズに答えていくには、かなりの労力が必要になりそうですね。

仰るとおり、労力もそうですし、技術的な面やキャリア支援で使用できる予算やスペースなどに制約があり、すぐに対応が難しいこともあります。ただ、自分たちで改善できることは何でも迅速に取り組んでいます。

たとえば、進路・キャリアガイダンスについても、学年や時期ごとにテーマカラーやキャラクターを設定し、学生が混乱せず、かつ、どういった意識で参加すれば良いか、一目でわかるようにしています

また、秋田県立大学 生物資源科学部では、教職員が一丸となってキャリア支援に取り組む姿勢があります。グループディスカッションのファシリテーターや模擬面接の面接官役などをキャリア教育の専門教員や各学科の教員が担当していますし、教職員が協力しながら、質の良いキャリア支援を作り上げています。

進路ガイダンスでの大学院生による研究等紹介からの流れで、大学院生との交流・研究室紹介など学科ごとに教員が担当する「ラボ・カフェ」というイベントも展開しています。

まさに、学部全体で学生を支援するという空気感は、学生にもしっかりと伝わっているのではないでしょうか。

失敗も成功も共有し、励まし合える仲間でありたい

最後に、他大学の皆さまへメッセージをお願いします。

個々の学生に寄り添った支援に向け、取り組んでいる皆さまは、なかなか思いどおりに支援が進まなかったり、イベントの参加人数が想定より少なかったりと、日々心折れそうになることも多いのではないでしょうか。

そういった状況の中でも、試行錯誤しながら、学生のために全力で支援しておられると思います。成功例だけでなく失敗例も含め、様々な情報を共有し、多くの機会を通じ励まし合える仲間として切磋琢磨しながら、一緒に学生の支援に取り組んでいければと考えています。

Editor’s Comment

秋田県立大学 秋田キャンパス キャリア支援チームの簾内氏に取材させていただきました。生物資源科学部のキャリア支援を3つのステージに分け、それぞれに名称、色分け、キャラクターを設定されている点は非常にユニークで、学生が自身の成長をイメージしやすい素晴らしい取り組みだと感じ、キャリア支援を受けた学生たちが社会へ大きく飛翔する姿が目に浮かびました。大学院に進学した先輩や研究室が行う「ラボ・カフェ」、10年以上のキャリアを持つ役員を含む社会人OB・OGとの交流機会など周囲の人々が学生を全方位的に支援していると感じました。卒業後も関係が続く温かい家族のような雰囲気の中、その中心で学生を支える簾内氏は、キャリア支援における「母」のような存在だと思いました。
(マイナビ編集長:高橋)

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