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【社会人基礎力】発信力とは?発信力が求められる理由と能力を高める方法

【社会人基礎力】発信力とは?発信力が求められる理由と能力を高める方法

「発信力」は、3つの能力と12の能力要素からなる社会人基礎力の一つです。
この記事では社会人基礎力における発信力とはどのような定義なのかに加え、求められる理由や能力を高める方法などについて詳しく説明します。

発信力とは

一般的に発信力は、「自分の意見を発信する能力」を意味します。
そのため、SNSでフォロワー数が多い人のことをイメージして「自分の意見を情報として発信していく力が強い」と考える人もいるでしょう。しかし社会人基礎力における発信力は、SNSのフォロワーやファンの数とは関係ありません。

ここからは、社会人基礎力の能力要素としての発信力について説明します。

社会人基礎力における発信力

社会人基礎力とは、個人の企業・組織・社会との関わりのなかで活躍するために求められる3つの能力と12の能力要素です。経済産業省が2006年に提唱し、2018年に「人生100年時代の社会人基礎力」として再定義しました。

参考:経済産業省「社会人基礎力」

発信力は、社会人基礎力において「チームで働く力(チームワーク)」の一つとして位置付けられ、「自分の意見をわかりやすく正しく相手に伝える能力」と定義されています。

具体例としては、「事例や客観的なデータなどを用いて、具体的にわかりやすく伝えられる」「聞き手がどのような情報を求めているかを理解して、伝えられる」「話そうとすることを自分なりに十分に理解して伝えている」などが挙げられます。

「相手にわかりやすく伝える」ことは、チームで働くうえで必要不可欠です。
特に説得力をもって自分の意見を伝える発信力は、対面での会話だけでなく、メールやメッセージアプリなどによるコミュニケーションでも重要性が増しています。

自分だけがわかるように発信しても周りの人間に受け取ってもらえない可能性があるため、相手が何を知りたいのかを考え、理解してもらえるかどうかを意識して伝えることが重要です。そのために情報を整理し、わかりにくい内容はかみ砕き、事例やデータを使って相手が理解できるように説明することが求められます。

なお、社会人基礎力の概要やそれぞれの能力については以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

「社会人基礎力とは?3つの能力と12の要素の必要性と鍛え方」を読む

発信力がある人の特徴

発信力のある人には、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは3つの特徴を紹介します。

わかりやすい表現や言葉を用いて説明できる

第一に「わかりやすい表現や言葉を使って説明できること」が発信力がある人の特徴として挙げられます。
専門用語を多用して説明したり難しい表現を使ったりすると、その分野について知識がない人にうまく伝わらない可能性が高くなります。
どのようにしたら相手に伝わるのかを考え、伝える相手の目線に立って工夫することで、発信した内容を意図したとおりに受け取ってもらえるようになります。

自分の考えや意見を整理できる

自分の考えや意見を整理できるのも、発信力がある人の特徴です。
話がまとまっておらず話題が行ったり来たりしてしまうと、相手が理解するまでに時間がかかってしまいます。筋道を立てて論理的に説明できると説得力が生まれ、結果として相手に理解してもらいやすくなります。

相手が理解できているかに注意を払える

相手が自分の発信した内容を理解できているかに注意を払えるのも、発信力がある人の特徴です。
コミュニケーションとは、発信する先に相手がいて初めて成り立ちます。そして自分の意見を伝える相手は、人によって背景も理解度も異なります。
そんな中、発信力がある人は必要な情報を相手が正しく理解できるように相手の反応を見たり、確認したりするといった工夫をしながら伝えられます。
誰にでもわかりやすく自分の持つ情報を届けようと努力することが重要なのです。

採用やビジネスの場で「発信力」が求められるのはなぜ?

採用やビジネスの場で「発信力」が求められるのはなぜでしょうか。

人は、自分が伝えたいように発言した内容が、相手にも同じように正しく伝わったと思ってしまいがちなところがあります。
しかし、実際には言葉選びや表現、無意識のうちにおこなっている情報の取捨選択により、自分が考えているのと同じように相手に伝わるとは限らず、すれ違いや誤解、無駄な手間が起こる可能性があります。
だからこそ自分の意見を相手に理解してもらえるような、正しい発信ができる力が求められます。

多くの人と関わり、協力して仕事を進めていくビジネスの場において、こうした「発信」の力は非常に重要です。
例えば社内で新たな取り組みをおこなう場合、周りに賛同してもらうには自分の思いや考え、プランをわかりやすく説明する力が欠かせません。
スムーズなコミュニケーション、とりわけ自分が考えている意見が正しく周囲に伝わることがチームとしての成果にもつながります。

また職種によっては、社外に対して自社の商品やサービスを顧客に説明する機会もあるでしょう。
その場合、データや図表を使った資料を使い、そのよさを理解してもらえるように訴える必要があります。商品やサービスに詳しくない相手に説明するため、理解できているかの確認も大切です。

さらに近年はリモートワークや在宅勤務が増加し、WEBによる打ち合わせや会議、メールなどのコミュニケーションが大半を占めるような企業も以前に比べると増えてきました。
WEB上でのコミュニケーションはそれぞれが違う場所にいながらやり取りできるメリットがある一方で、身振り手振りや声のトーン、表情や目線、会話のスピードといった非言語領域の情報が伝わりにくいというデメリットがあります。
そのため、対面時よりも言葉によるわかりやすい伝達が求められるようになりました。
自分が意図した内容が伝わるように発信できる力の必要性は、今後ますます高まるでしょう。

発信力を高めるためにできること

社会人として必要な発信力を高めるために、何ができるでしょうか。ここでは4つの取り組みを紹介します。

伝わりやすい表現方法や語彙をインプットする

発信力を高めるには、表現方法や語彙を増やすことが有効です。伝えたい情報を正しく伝えられるようになるためにも、日々のインプットが欠かせません。

知識や語彙を増やすために情報収集するほか、わかりやすい説明をする人の表現の仕方を学び、真似するところから取り入れるとよいでしょう。
また、アウトプットを前提にインプットをおこなうと、取り込んだ情報は自分自身に定着しやすくなります。
日常生活から意識してできるため、小さなインプットから試してみましょう。

伝えたいことを整理する習慣をつける

伝えたい内容を整理する習慣をつけるのも、発信力を高めるのに効果があります。
文章を作成したり話を始めたりする前に、まず自分が伝えたい内容を整理しましょう。
一番伝えたい情報は何か優先順位をつけ、一度に伝える情報を絞ります。余計な情報は省き、端的にまとめるとよいでしょう。質問されている場合は、相手が知りたい情報は何かを考え正しく認識します。

そして結論から伝えるなど話す順番を工夫してから話し始めるようにします。そうすることで伝えたいことが整理され、相手に伝わりやすくなるだけでなく自分自身でも何を言いたかったのか把握できます。

準備してから発信することを繰り返すうちに、相手のニーズに沿ってわかりやすく話ができるようになります。実践し、経験を積んでいきましょう。

「相手に伝わったか」を重視する

発信するだけでなく「自分の伝えたい内容が相手に伝わったか」まで重視することも、発信力アップに有効です。
コミュニケーションの場面では必ず存在する相手を意識し、発信するように努めてみましょう。その際、相手の背景や立場、理解度などを考慮しながら発信するのがポイントです。

また、うまく伝わっていないと感じたら、わかりにくいところがないか相手に率直に意見を求めてみてもよいでしょう。
フィードバックをもらうことでどこがわかりにくかったかの気付きにつながり、発信の改善につながります。

物事を発信する機会を多く持つ

発信力を高めるためには繰り返しの練習が必要です。
そのためにも、発信する機会を意識的に自分で作り、発信力を磨いていきましょう。

社会人であれば、「自社の業界に関連したニュースや業界の動向などを自分なりにまとめて社内に共有する」「社内でプレゼンテーションの練習を重ね、社外で実際に話す」などが効果的です。その際は発信して終わりにせず、必ず内容に対してフィードバックをもらうようにしましょう。

就職活動中の学生であれば、キャリアセンターなどでエントリーシートの添削や模擬面接を受け、フィードバックをもらうのが有効です。
エントリーシートや面接も、自分が伝えたいことを相手に伝える場です。本来伝えたかったことがちゃんと伝わっているか、わかりやすく正しく伝えるために改善できる点がないかを教えてもらうとよいでしょう。

発信力を高めるために周囲がサポートできること

発信力を高めるには、どのようにサポート・支援していけばよいでしょうか。ここでは2つの取り組みについて紹介します。

意見を発しやすい環境を作る

まずは「意見を発信しやすい環境」を作るとよいでしょう。安心して意見を発することができる場所であれば、自然と心理的なハードルが下がり、積極的に発言できるようになります。
反対に、発言や表現を評価されていると思いすぎると、ちょっとした意見を発するにもプレッシャーがかかります。「そんな言い方では伝わらない」と否定するのではなく、「こういう言い方をするともっと伝わりやすくなる」とポジティブにフィードバックしましょう。

話を聞き、わかりにくかった箇所を指摘する

文章を読んでいてどこが理解しにくかったのか、話を聞いていてわかりにくかったのはどこかを指摘するのも効果的です。
フィードバックする場合は、個人の主観ではなく、客観的に伝わっているかの視点でおこないます。
その際は前述のとおり、否定ではなく「もっとよい表現がある」という意味合いで指摘しましょう。よかったところから伝えるようにし、伝わりづらかった箇所はどうしたら伝わるかを一緒に検討していきます。

まとめ

社会人基礎力の12の能力要素の一つでもある発信力は、チームで働くうえで欠かせない力です。自分の意見をわかりやすく正しく発信するには、自ら発信の機会を設けるとともに、どうすれば伝わるかを意識して振る舞う必要があります。

キャリア・就職支援担当者の皆様は、エントリーシートの添削や模擬面接でのフィードバックを通じて、学生の発信力を向上させるようなサポートが求められます。

マイナビキャリアサポートでは、大学のキャリア・就職支援担当者の皆様に有益な情報を発信しています。
また、マイナビでは「キャリアデザインツール 適性診断MATCH plus」で社会人基礎力が診断できます。併せてご覧ください。

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