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大学事例|低学年から選択肢を広げ納得ゆく進路を選べるように|国際医療福祉大学 薬学部

医療福祉専門職の養成と地位向上を目指して1995年に開学した国際医療福祉大学は、医療福祉に関する日本初の総合大学。11学部・28学科と大学院を持ち、全国5キャンパスで約1万人の学生が学んでいます。そんな国際医療福祉大学の薬学部では、キャリア支援センターの専任職員と教員が力を合わせ、低学年からのキャリア教育に注力。早い段階から学生が自分自身と向き合い、後悔しないキャリア選択をできるように、カリキュラムの設計や支援体制の整備に取り組んでいます。今回は、薬学部薬学科の教授であり、薬学部の就職委員会の委員長も務める小林氏にお話を伺いました。

Profile

小林 章男
国際医療福祉大学 薬学部薬学科 教授 薬学部就職委員会 委員長
大学時代は農学部で応用微生物を専攻。卒業後は製薬メーカーに入社し、33年にわたって新規医薬品の研究開発に従事。開発業務を行いながら博士(環境科学)を取得。研究所の副所長として、新卒採用やキャリア採用なども経験した。2022年4月、国際医療福祉大学の教授に。2023年から薬学部就職委員会にも参画し、2024年より現職。

継続的なキャリア教育が納得できる進路につながる

―低学年からのキャリア教育に力を入れているそうですが、まずはその背景を教えていただけますか?

将来どのように生きていきたいのか、どんな進路を歩むべきか。キャリアプランの作成は一朝一夕に行くものではないからこそ、高学年になっていざ就職活動を目の前にして始めたとしても、なかなか具体的には思い描けないのではないかと感じています。

特に薬学部の学生は、高校生の頃から「薬剤師になりたい」といった明確な目標を持っている学生も多い一方で、いつの間にか無意識に「薬剤師にしかなれない」と選択肢を狭めてしまっていたり、「この道をこのまま進んでもいいのだろうか」と悩んでしまう学生もいるのが実情です。

そこで私が強く思うのは、「多様な選択肢があることを理解したうえで、納得のいく進路選択をできるようになってほしい」ということです。

そういった背景から、早い段階よりキャリアプランを考えるきっかけを作ったり、様々な職種や進路を紹介したり、実際の医療現場を見学する機会を設けたりと、1年生の頃から時間をかけて自分のキャリアを具体化していく力を養っています。

キャリア教育を進めるうえで、“内的キャリア”を重視しているそうですね。

内的キャリアとは、自分自身が大切にしたい価値観のことです。職業や地位、資格などの外的な要素ではなく、働き方ややりがい、もっと言えば「自分にとって何が大切か」を学生自ら考えることが、キャリア形成の第一歩だと考えています。

人生の中で多くの時間を仕事に費やすからこそ、自分の価値観に合っていないと、就職後のミスマッチにつながってしまいますよね。そこで学生から就職相談を受けた際も、「何を大切にしたいか」をまず聞いてから、相談に乗るようにしています。

とはいえ、「大切にしたいこと」なんて簡単に見つかるものではありません。キャリア支援の取り組みやカリキュラムを通して、低学年の頃からそういった考え方を育てていくことが、最終的には納得のいくキャリア選択につながっていくと考えています。

必修科目を通じて考えるきっかけをつくる

では、具体的にどんな取り組みをしているのでしょうか?

低学年からキャリアを考える機会を設けるようにしています。特に注力しているのは、2年生の必修科目として実施している「コミュニケーション実習」です。全8コマのうち、最後の3コマをキャリアに関する内容で設計しています。

1コマ目では、薬学部を卒業後はどのような進路があるのか、また、大学内のキャリア支援について紹介しています。2コマ目では、職業選択の幅を広げるためにグループワークを行います。学生の皆さんに「就けない職業」をリストアップしてもらうのですが、これが非常に面白いです。

なかには、消防士や自衛官と書いているグループもあるのですが、本当に就けないのかというと、そうではないですよね。資格が必要な職業の場合は、すぐに就職することはできないかもしれないけれど、不可能ではない。気づかないうちに選択肢を狭めてしまっている学生の視野を広げ、可能性の多さを伝えるのが目的です。

また、「自分が大切にしたいこと」を考える時間も組み込んでいます。“病院か、薬局か”といった職場の選択だけでなく、“忙しく働きたいか、ワークライフバランスを大事にしたいか”など、働き方や仕事に対する向き合い方も考えてもらう機会になればと思っています。

3コマ目では卒業生を招き、現在の仕事内容やその進路を選んだ理由についてディスカッションを実施します。同じ大学を卒業した先輩の話は、親近感がありますし、リアリティもありますからね。具体的なロールモデルを見つけることで、より具体的にキャリアプランを描けるようになるはずです。

―他の学年でも、キャリア教育の機会を設けているのでしょうか。

入学したばかりの大学1年生の夏には、全員を対象に「早期体験実習」を実施しています。医療現場の見学はもちろん、卒業生の話を聞いたり、薬害に関する被害者のお話を聞いたりする場面もあり、リアリティを持って将来を考えるきっかけになればと考えています。

大学3年生になると、薬剤師の社会的な役割を実感してもらうために、他学部と一緒に「他職種連携ワーク」を行ったり、国際医療福祉大学の関連病院への見学ツアーも行っています。

そして、大学4年生から5年生にかけては、キャリア支援センターを中心に「キャリア支援Basicセミナー」を行い、自己分析のサポートやエントリーシートの書き方、面接対策、ビジネスマナーなど、幅広くサポートをしています。

一人ひとりに合わせたオーダーメイドなキャリア支援

低学年からのキャリア教育について、どのような難しさを感じていますか?

専門の授業や実習が多くある中で、キャリア教育にあてられる時間が限られているのが難しいところです。もっと時間を増やせたら良いのですが、なかなかそうもいかないので、貴重な時間をいかに有効に使うか、今後も考えていきたいと思っています。

また、薬学部の学生といっても、趣味嗜好はもちろん、キャリアプランも様々です。一人ひとりにフィットしたオーダーメイドなキャリア支援は、簡単なことではありません。

そこで、薬学部ではキャリア支援センターの専任職員と教員で就職委員会を設置し、5年生(定員180名)に対し、必ず1名の教員を担当として割り当てることで、細やかにフォローできる体制を整えています

基本的には各研究室の教員が学生をフォローするのですが、それぞれの就職活動の状況や相談事は委員会に集約され、情報共有もできる仕組みとなっています。

低学年からキャリア教育を始めることで、学生たちの考え方も変わってきていると伺いました。

学生たちの視野や考え方には確かな変化が表れています。自分の適性や将来像を前向きに描ける学生が増えてきたと感じ、職業選択の幅が格段に広がり、ポジティブに自分のキャリアを考えられるようになってきたと思います。

大学2年生時のアンケートでは、半分近い学生が病院薬剤師を希望しているなか、大学病院などの高度医療に対応した施設や志願者が多い全国の自治体、世界有数の製薬メーカーなどに挑戦する学生も増えていることがわかりました。キャリア教育を通して、学生が自らの進路を主体的に考える力が育まれていることを実感しています。

一方で、病院薬剤師を志望する学生のなかには、国際医療福祉大学グループが運営する附属病院で働きたいと考える学生も一定数います。こうした学生に対しては、グループ内の附属病院と関連施設の協力を得ながら、より実践的な学びと入職を見据えたサポートを強化しています。

学部の段階から多職種連携を体験できる教育環境が整っているため、附属病院で求められる「チーム医療・チームケア」の実践力を在学中から身につけることができ、結果として入職後の活躍につながる支援が可能になっています。

キャリア教育で進路の選択肢が広がるなかで、附属病院への入職を希望する学生にとっても、大学と病院が一体となったサポート体制は大きな安心材料となっています。

“君たちはもっとできる”と伝えたい

最後に、他大学の皆さまへメッセージをお願いします。

教員になって1年目の頃、学生と接するなかで感じたのは、学生の視野が狭まってしまっているということでした。「薬剤師になる」と決めていたとしても、せっかくなら様々な職業を見たうえで納得感を持って決めてほしいですし、病院や薬局以外にも製薬・化粧品メーカーや自治体など薬剤師が活躍できるフィールドが豊富にあることを知ってほしい。

無限の可能性があるはずなのに、「自分はこうはなれない」と自分の限界を自分で決めてほしくない。“君たちはもっとできる”って、伝えていきたいと思ったのです。そう感じるのも、私自身が製薬メーカーで勤めてきた経験があるからかもしれません。

教育現場についてはまだまだ勉強している最中ですが、民間企業から来たからこその外部の視点を活かしながら、今後もキャリア教育に取り組んでいきたいと考えています。

Editor’s Comment

国際医療福祉大学 薬学部 就職委員会 委員長の小林先生に取材させていただきました。学外から見ると、薬学部に入学する学生は他学部と比べてキャリアが明確だと思われがちですが、小林先生からは、学生たちにこそ視野を広げ、自分の可能性を信じて歩んでほしいという熱い想いが伝わってきました。
2年次からの必修授業で多様なキャリアやロールモデルに触れる機会を作り、「リアリティ」を持って「君たちはもっとやれるよ」というメッセージを伝えていると感じました。それは単なる就活支援の枠を超え、学生自身の生き方を応援するエールのように感じられました。教職一体となって若者の視野を広げ、背中を押し続ける現場に、キャリア支援のあるべき姿を見た気がしました。
(マイナビ編集長:高橋)

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