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情況把握力とは?情況把握力が求められる理由と能力を高める方法

「情況把握力」は、3つの能力と12の能力要素からなる社会人基礎力の一つです。この記事では社会人基礎力における情況把握力の意味から、能力を高める方法まで詳しく説明します。

情況把握力とは?

情況把握力とは、一般的に「自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力」を指します。自分と周囲の関係性を理解する力は、社会人としてあらゆる場面で必要となってきます。ここでは、社会人基礎力の12の能力要素の一つでもある情況把握力ついて、詳しく説明していきます。

情況把握力と状況把握力の違い

情況把握力と似ている言葉に「状況把握力」があります。この 言葉の違いは「周囲のメンバーの内面や関係性を把握し、判断しているかどうか」です。

情況把握力が「自他の役割を的確にとらえ、どのような役割を果たすべきか理解する力」であるのに対し、状況把握力は「周囲の状況を客観的に観察する力」です。

社会人基礎力における情況把握力

社会人基礎力とは、経済産業省が提唱している、個人の企業・組織・社会との関わりのなかで活躍するために求められる3つの能力と12の能力要素です。2006年に提唱され、2018年に「人生100年時代の社会人基礎力」として再定義されました。

情況把握力は、社会人基礎力において「チームで働く力(チームワーク)」の一つとして位置付けられ、「自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力」と定義されています。

具体例として、「周囲との協調性だけに留まらず、多様な人々とのつながりや協働を生み出せる」「トラブルを未然に防ぐための対策を意識しながら、物事に取り組むことができる」「個々の特性や能力を理解し、適切な指示やサポートができる」などが挙げられます。

参考:経済産業省「社会人基礎力」

チームで仕事に取り組む際、さまざまな状況で必要になる能力です。まずは情況把握力がどのような能力なのか正しく理解するところから第一歩を踏み出しましょう。

なお、社会人基礎力の概要やそれぞれの能力については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

「社会人基礎力とは?3つの能力と12の要素の必要性と鍛え方」を読む

情況把握力がある人の特徴

情況把握力がある人には、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは3つの特徴を紹介します。

情況を把握して適切な行動ができる

情況把握力がある人は、目の前の物事に取り組みながら、全体の状況を把握して行動できるのが特徴です。さらに、突発的な出来事や予測できない事態に直面しても、自分がどう対応すべきか的確な判断ができます。

例えば、ビジネスの場ではプロジェクトの進捗や自分と周囲の変化、コンディションといった現状の把握に努めます。それらをふまえて今後を予測し、自分に何ができるか見極めて効果的に物事が進むように行動を起こせる人が情況把握力のある人と言えるでしょう。

トラブルを予測しながら物事に臨んでいる

常に周囲の状況を注意深く観察しながら、予期せぬ事態への対策を考え取り組んでいるのも、情況把握力がある人の特徴です。

周囲の状況を観察することで、早期に問題の兆候をキャッチできるため、トラブルを未然に防ぐことができます。また、実際に問題が発生した時にも自分が何をすべきかなど冷静に状況を把握し、リスクやトラブルに応じた適切な対処ができるでしょう。

自身と周囲の人について理解している

自分のスキル・性格・長所と短所を理解した上で物事に取り組んでいるのも特徴です。自分自身の価値観や興味関心、強みや弱みを理解した上で物事に取り組むため、自分の能力を最大限に活かすことができます。

また、自分を理解するだけでなく、周囲の人々を理解する力にも長けています。他者のバックグラウンドや経験、価値観を理解し、特性や能力を見極めることができるのも特徴の一つです。

このように自己理解を深め、他者の意見や特性に対して尊重と受け入れの姿勢を持つことが、情況把握力がある人の重要な要素といえます。

採用やビジネスの場で「情況把握力」が求められるのはなぜ?

「マイナビ 2025年卒企業新卒採用予定調査」では、「社会人基礎力」の12要素のなかで、選考時に重視する力を複数回答で聞いたところ、「情況把握力」は43.8%の割合でした。2024年卒より増加しており、採用やビジネスの場において重要視されています。

参考・引用:マイナビキャリアリサーチLab「マイナビ 2025年卒 企業新卒採用予定調査」

情況把握力がビジネスの場で注目を浴びるのには理由があります。チームで働くことが前提であるビジネスの場では、メンバーが情況把握力を発揮することがプロジェクトの成否に関係してきます。そのため、組織やチームで業務を遂行する際には、さまざまな情報や状況を把握する能力が不可欠です。全体像をとらえ、臨機応変に対応することでより効果的な問題解決につながります。

情況把握力を高めるためにできること

情況把握力を高めるために何ができるでしょうか。ここでは4つのポイントを紹介します。

自身のスキル・特性を再確認する

自分の得意分野や適性を把握することで、社会における自分の役割が明確になります。そうすれば状況の変化に対して自分ができるアプローチがおのずと見えてきます。スキルを活かせるシーンを見つけ、不足していると感じる部分は周囲の人を頼ることも大切です。自分のスキルや特性を洗い出して、再認識する機会を作りましょう。

自分の現状を再確認するには、定期的な自己分析・他己分析とスキルの棚卸しがおすすめです。

マイナビでは、自己理解を深めるのに役立つ以下のツールを展開しております。併せてご活用ください。

▼長所短所診断

▼お願い!他己分析

他者理解を深める

「チームで働く力」に位置づけられている情況把握力では、他者理解も重要です。なぜならば他者と自分の行動の違いを理解しておかないと、適切な行動が取れないからです。他者のスキルや特性を理解することで、それぞれの長所・短所を補い合うことができ、課題に直面した際もスムーズな対応ができるでしょう。

他者理解を深めるためには、日頃から他者との交流機会を設け、周りを意識した行動をとるように心がけましょう。

なお、理解しようと意識するあまり特性や言動を見過ぎて行動できなくなる場合もあるため、バランスを取ることが大切です。

タスクに優先順位をつける

自分が抱えているタスクに優先順位をつけることで、今やるべきことが明確となって計画的な行動につながるでしょう。そうすることで不測の事態にも備えることができ、ミスやトラブルの回避にもつながります。タスクやスケジュールを可視化することは、自分の現状を客観的に把握できるよい方法といえます。

例えば、TODOリストを作成したり、タスク管理ツールを使ったりすることもおすすめです。スケジュールを逆算して、いつまでに何をしなければいけないのかを一目で把握することができ、予期せぬ事態にも冷静に状況を理解して行動できます。

周囲にアンテナを張っておく

状況を見極めて適切な判断を下すには、自分を取り巻く環境を把握しておくことも重要です。

ここでいう環境とは、大学やアルバイトなどの所属するコミュニティ、周囲の人々、社会の動きなどを指します。周辺情報に触れておけば、現状で何が起きて何が必要かの判断材料に事欠かないため、状況に合わせた行動を取れるようになるでしょう。

学生であればキャリアセンターをこまめに 利用したり、周囲の学生と情報交換をしたり、業界研究で最新情報をアップデートするなど、周りで起きていることにアンテナを張って環境の変化を知る意識を持つことで、自然と身に付いていきます。

情況把握力を高めるために周囲がサポートできること

情況把握力を高めるために、キャリア・就職支援担当者はどのようにサポートしていけばよいのでしょうか。ここでは、3つの取り組みについて紹介します。

グループワークを実施

授業やイベントの一環でグループワークを実施するのが有効です。グループワークは他者との協力が必要不可欠のため、同じグループのメンバーと課題に取り組むことにより、情況把握力や問題解決力を鍛えることができます。

また、グループワークでの機会ではありませんが、マイナビで展開しているMy CareerStudyでは「学生のうちに身につけておきたい情況把握力」講座を実施しています。「情況把握力」について理解し、実生活で情況把握力を伸ばす取り組みができるようになることを目的とした講座です。

以下では、グループディスカッション対策のコツを詳しくご紹介しています。併せてご覧ください。

OB・OGや内定者を招いてイベントを開催

大学の卒業生や内定者とざっくばらんに会話ができる座談会やパネルディスカッションを開催している大学もあります。

OB・OGや就職活動を終えた内定者を招き、座談会やパネルディスカッションで話を聞く場を設けるのがよいでしょう。先輩が仕事や就職活動などで直面した問題や課題を乗り越えるためどのように情報収集を行い、自分の強みを活かし、何を基準に優先順位を付けて課題解決をしたのか、情況把握力を発揮した実体験を聞ける良い機会となります。

実践的な経験を積めるように支援

情況把握力は、学生生活の中でも身に付けることのできる力です。大学生活ではたくさんの人と出会い、さまざまな経験をする機会 があるため、力を養うチャンスも増えます。

そのため授業やゼミ、アルバイト、サークル、部活動など大学生活における活動に対して積極的に参加することが重要です。

例えば、授業やゼミでのディスカッションや発表の場では、情報収集力や適切に相手に伝える能力が鍛えられます。また、アルバイトやサークルでは、たくさんの人とかかわることで相手の特性を理解し、自分の対応力を高めることができます。

授業や予習、課題、研究でも他者と協力することが交流につながるため、コミュニケーションを取りながら他者のことを理解したり手本にしたりする場となり、情況把握力を高めるよい機会となるでしょう。

キャリア・就職支援担当者は、学生のやっていることを尊重しながら、他者と交流をより深めていける機会として大学生活を過ごせるようにサポートしていきましょう。

まとめ

情況把握力は、社会人基礎力の12の能力要素の一つです。社会人として欠かせない力であり、自分でも鍛えられますが、他者からのサポートがあるとより効果的に高めていけるでしょう。

キャリア・就職支援担当者の皆様は、イベント開催など学生と関わる機会を通して、情況把握力を高められるようなサポートが求められます。マイナビキャリアサポートでは、大学のキャリア・就職支援担当者の皆様に有益な情報を発信しています。

マイナビでは「キャリアデザインツール 適性診断MATCH plus」で社会人基礎力が診断できます。併せてご覧ください。

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