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24年卒学生の就活状況と就職観|マイナビ編集長コラムvol.3

マイナビ編集長による、各種調査結果を基にしたコラムです。
今回は、24年卒学生の就活状況と就職観について解説します。

Profile

高橋 誠人
株式会社マイナビ 就職情報事業本部 マイナビ編集長
2002年、株式会社マイナビに入社。キャリアサポーターとして10年間マイナビの学生向け広報業務に携わり、関西圏の大学、短大、専門学校での就活支援講座を多数行うなど、学生の就活サポートを精力的にこなす。その後営業の現場で、企業の採用コンサルティングに幅広く関わる。熊本支社長、鹿児島支社長、兵庫支社長を経て、2018年7月より現職。日本キャリア開発協会会員(CDA)。

地元(Uターンを含む)就職希望者は昨年同率62.6%

皆さま、こんにちは。マイナビ編集長の高橋です。暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。まだまだ自分の進路に思い悩む就活生も多いと思いますが、夏期休暇の時期ですね。地元を離れている方は帰省を予定している学生も多いと思います。

今回のコラムでは、弊社のHRリサーチセンターが発表したいくつかの調査データを基に、2024年卒学生の傾向を見ていきたいと思います。夏休みに帰省した学生は保護者と卒業後の進路について話す機会もあるでしょう。

2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」によると、地元(Uターン含む)就職を希望する学生は2023年卒と同率でした。注目すべきは、有効求人倍率の推移と比較して、地元就職希望者の割合との緩やかな相関が見られるところです。景気が上昇傾向で求人倍率が比較的高い時期には、都市部の大手企業などへの就職意向が高まり、地元就職希望者は減少します。しかしコロナ禍以降は求人倍率が低下するなど、経済状況が不透明であることなどから地元就職意向が高まっていると推察されます。2024年卒については経済状況は回復しつつあるものの、物価高などによって学生にとっては景気回復の実感が薄いことや、引き続き採用活動にWEBが取り入れられていることで地元を離れていても情報収集や選考参加がしやすいことなどが、地元就職意向が高く維持されている背景にあると考えられます。

地元就職希望の理由の1位は、例年同様「(自分の意思から)両親や祖父母の近くで生活したいから 」(50.6%)、次いで「実家から通えて経済的に楽だから(41.0%)」、「地元(Uターン先)での生活に慣れているから(38.1%)」が続きました。理由は「新卒で一人暮らしは経済的負担が大きい」「まずは実家で暮らして仕事に慣れたい」「ライフスタイルの変化があった時にも頼れる人が近くにいる環境がいい」などが挙がりました。一人暮らしで経済的な不安を抱えたくないという気持ちや、社会人になる時や将来家庭を持った時などライフスタイルが変化する時期は、家族や友人などがいる環境で生活したいという意識があると推察されます。

ぜひこちらの調査「2024年卒大学生のライフスタイル調査~ Z世代の就活生の“日常”と“将来”を徹底研究! ~」もご一読ください。2024卒生の結婚観、育児休暇に対する考え方が興味深いです。キャリアカウンセラーの方々にもお読み頂ければと思います。

以前、中四国地方のある自治体と連携し、UIターン就職を考えている学生向けの、地元就職促進のイベントに登壇しました。地元企業、UIターン就職が決定した先輩内定者と私が登壇し、パネルディスカッションを実施。そこで発言した学生の「都会の情報に比べ、地元の情報が少なく探しづらい」という言葉が印象的でした。

さらに調査結果を見ると、企業セミナーの実施形式が、参加申し込みするかどうかに影響したか聞いたところ、地元外に進学していて、UIターン就職を希望する学生の57.9%が、「影響したことがある」と回答しました。詳細を見ると、「WEB参加可能だったのでエントリーすることにしたセミナーがある」学生は45.0%、「WEB参加不可(対面のみ)だったためエントリーしなかったセミナーがある」と回答した学生は24.6%でした。

県外出身者が多い大学のキャリアセンターは、キャリアセンターがどのような他県の情報を収集、提供しており、UIターン就職希望の学生にどのような支援をしているのか、今一度整理をして学生に伝えてみるのもよいでしょう。場合によっては県事務所との連携も有効かもしれません。

では次に、2024年卒学生の内定状況はどうなっているのでしょうか?

6月末の内々定率は昨年とほぼ変わらず79.5%

7月にリリースした「2024年卒大学生活動実態調査 (6月)」によると、2024年卒業予定の大学生・大学院生の6月24日から30日の時点での内々定率は79.5%(前月比9.3ポイント増)、平均内々定保有社数は2.5社(前月比0.3社増)でした。首都圏のいく幾つかの大学キャリアセンターに訪問させていただき、この数値を報告させていただくと「実態に近い数値」とのコメントをいただきました(首都圏以外はこれよりやや低い内々定率でしょう)。企業の採用意欲の高まりを受け、5月同様、内々定率・平均内々定保有社数ともに高い水準で推移しています。前年比との差が大きい月を見ると、3月1日は3ポイントプラス、3月末は3.6ポイント増、4月末は4.7ポイント増、5月末も同じく4.7ポイント増となっており、早期化が進んでいることが分かりました。

それでは、まだ内々定をもらっていない学生がどのようなことに困っているのか、こちらもアンケートを取ったところ、最も多かったのは「面接を通過できない」(50.9%)で、前年より2.3ポイント増加し、次いで「将来やりたい仕事がわからない(わからなくなった)」(37.5%)、「自分にあった企業をどのように探せばいいかわからない(わからなくなった)」(35.4%)が続きました。夏休み後に、2024年卒生への支援として、再度模擬面接自己分析講座エントリーシート作成講座を開催するのもよいでしょう。

 また、この調査で特徴的な回答として、入社後の配属先(勤務地・職種)に対する考えについて、最も多かったのは前年同様「勤務地・職種ともに自分で適性を判断して、選びたい」(54.0%)でした。高いインターンシップ・仕事体験参加率を背景としたキャリア観の醸成と、共働き志向の高まりといったライフスタイルへの考え方の変化に伴い、今年も多くの学生が入社後の勤務地や職種を自分で判断して決めたいと考えているようです。

エントリーシート作成のために対話型AIを利用した割合は?

対話型AIを使って就活をしていた学生はどれくらいいたのでしょうか。利用に関する指針を発表している大学もあるようです。「2024年卒 学生就職モニター調査 5月の活動状況」によると、エントリーシート作成のために対話型AIを利用することについてどう思うか聞いたところ「AIが作った文章をそのまま利用するのでなければ問題ないと思う」学生が43.5%でした。実際に活用した学生の意見では、事実確認などに十分注意を払って、工夫しながらかしこく利用する必要があるといった内容が見られました。活用しなかった学生からは、自分の言葉でエントリーシートを書くことが面接で正しく自分を伝えることにつながるといった意見がありました。

エントリーシートはあくまで「その人を知る手段」ですので、学生が対話型AIで文章を作成したとしてもそのまま利用するのは難しいでしょう。そこからさらに自分の経験や想いなど、自分ごとに落とし込んで書き上げる必要があります

実際に使い方として、ある学生は自分で書き上げた自己PRやガクチカ、志望動機を対話型AIに読み込ませ、模擬面接の想定問答を作らせていたという方もいました。AIは現在最も進化の早い分野の一つですので、キャリア支援でもどのように扱うか、検討が必要だと感じました。

あとがき

今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。酷暑だけではなく、大雨などの悪天候が全国的に猛威を振るっている中、私たちマイナビも企業訪問をしている就活生を最後まで全力で応援したいと考えています。何かお気づきの点や支援のサポートが必要でしたら、どうぞご遠慮なく、貴校担当のキャリアサポーターへお声掛けください。

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