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大学事例|文理を問わず教員と職員が一体となり的確なキャリア支援を|中部大学

1964年に中部工業大学として開学し、1984年に現在の名称に変更した中部大学。いまでは、7学部26学科、6研究科18専攻、学生数約11,000名を誇る文理融合の総合大学へと進化しました。キャリア支援においては、教員と職員が一体となり、入学直後から卒業までの4年間、正課・正課外の両面でしっかり伴走するのが特長です。今回は、こうした教員と職員の連携のコツや、学部の文理を問わず低学年からキャリア支援に力を入れる理由について、キャリア支援課の渡邉氏に詳しく聞きました。

Profile

渡邉 真和
中部大学 学生教育部 キャリア支援課
大学を卒業して15年間、民間の商社で石炭や合金鉄の貿易に関わった後、2014年に中部大学に転職。以来、キャリア支援課で学生や教職員と日々真摯に向き合い続けている。現在は、中部大学のキャリア支援業務と並行して、各種団体の委員を務め、他大学との連携にも大きな関心を持っている。

「キャリア支援課に行けば、何とかなる!」という場所を目指して

―最初に、中部大学のキャリア支援の取り組みについてお聞かせください。

中部大学では昔から、教員と職員が一体となってキャリア支援に取り組んできました。学科ごとに任期5年の就職担当教員を置き、年5回の定例会に加え、分科会にも参加してもらうなど、教員の方々にも現在のキャリア支援の状況や課題を自分ごととして認識し、協力してもらう体制を整えています。一昔前まで、理系学部では教員による推薦で就職が決まることも少なくなかったと思いますが、世の中の流れは自由応募へ。教員の方々にも数多くの企業を知ってもらい、学生からの相談に的確に応え、多種多様な選択肢を提案できる環境づくりに力を入れています。

また、文系学部や理系学部に関係なく、すべての学生たちから「キャリア支援課に行けば、何とかなる!」という場所を目指し、私たちはここ数年、学生面談数や就職斡旋件数の向上を具体的な数字目標として掲げ、低学年から就職ガイダンスを実施するなど、様々な支援に取り組んでいます。

的確な次の一手を打つためには、教員と職員の連携が欠かせない

―なるほど。やはり、教員との連携はキャリア支援において重要なのですね?

そうですね。就職活動はもちろんのこと、雇用環境や社会構造も大きく変化していますからね。教員の方々のキャリアに対する考え方や企業に関する情報もアップデートし続けてもらう必要があります。さらに大切なのが、3・4年生の就職活動の状況の把握です。とくに、このコロナ禍では学生たちが大学キャンパスに来られないことも多く、授業もオンラインがメイン。だからこそ、ゼミを持っているような教員の方々には、学生たちの状況をこまめに聞き出してもらい、毎月キャリア支援課への情報共有をお願いしています。

キャリア支援課としては、それぞれの学生の状況がわからなければ、的確な次の一手が打てません。どこまで手厚くフォローするかは大学によって考え方も異なると思いますが、中部大学では「就職活動=キャリア支援課」というイメージを持ってもらいたい。就職活動に関する情報やツールが増えていく中、混乱し、迷い、立ち止まる学生を一人でも減らしたいと考えているのです。そのためにも、教員と職員の連携は欠かせません。

大学は決して、就職活動の早期化を望んでいるわけではありません。しかし、キャリア支援という観点で考えると、大学3年生の終わり頃からスタートしているようでは間に合わないのです。たとえば、3年生の夏辺りから始まる企業のインターンシップ。実質、この時期が学生にとっても、企業にとっても選考のような場になっています。であれば、学生にもそのことを伝え、しっかり準備した上で臨んでもらう必要があると思うのです。

低学年からキャリアの授業をスタートし、早期に対応できるように

―それで、低学年からのキャリア支援を?

はい。とくに、2021年度からは正課外で行う全11回の就職ガイダンスのスケジュールを大幅に変更しました。文系学部も、理系学部も2年生の秋からスタートし、まずは5回。その後、年度をまたいで3年生の春に残りの6回を実施するようにしたのです。

当然、教員の方々をはじめ、学内のコンセンサスを得るのには苦労しました。しかし、学生を取り巻く状況を丁寧に説明し、最終的には「学生のためになるのなら…」と了承を得ることができました。学生やその保護者に対しても、この時期から始める意義をしっかりと伝え、授業内容もひと工夫。たとえば、2年生のうちは本学の卒業生と学生の交流会を開催するなど、社会に出ることへの気持ちのハードルを少しでも下げるような取り組みを増やしています。その上で、後半、就職活動のhowtoやテクニックを教えるようにしているのです。

また、その他のキャリア支援も総じて早期に実施。業界研究やインターンシップ先の選び方なども、キャリア支援を行う民間企業に先駆けて行うことで、中部大学の学生にとって真に意味のある機会になるように心がけています。

また、こうした大学独自の情報提供や就職斡旋に力を入れるためには、企業との結びつきが欠かせません。おかげさまで、中部大学には毎年、1000社を超える企業の採用担当者の方々からコンタクトがあるのですが、こうした企業の熱い思いにできる限り応えるのも、私たちキャリア支援課の務めです。そこで、学内での企業説明会を頻繁に開催してもらったり、3日に1度のペースで「訪問企業情報」を学生に配信したりと、企業と学生の接点強化を常に考え、行動しています。

学生に本当に必要なキャリア支援を模索し続けていく

―「キャリア支援課に行けば、何とかなる!」を目指していることが本当によくわかりました。では、最後に。改めて今後の目標について教えていただけますでしょうか。

先ほども少し触れましたが、キャリア支援の考え方は大学によって様々だと思います。ただし、支援するのであれば、「そのキャリア支援は学生が求めているのか」「本当に役に立っているのか」を常に自分たちに問い続ける必要があると思うのです。つい、毎年同じような取り組みを行うことが多くなるかもしれませんが、その時も一度立ち止まって「本当に例年通りでいいのか?」と考えることが大切だと思います。

今後に関しては、個人的な思いになりますが、リアルとバーチャルを融合し、様々なタイプの学生の悩みや要望にもっときめ細かく対応できるキャリア支援体制の構築に挑戦してみたいですね。それから、他大学との連携にも興味があります。大学の垣根を越えてキャリア支援課の職員どうし、学生どうしがオンラインでつながり、気軽に情報交換をしたり、キャリア観を高め合ったり。これからの時代を生きる学生たちにとって、本当に必要なキャリア支援のあり方を模索し続けていきたいと思います。ぜひ、興味のある方は、ご連絡ください。新しいことに一緒に挑戦しましょう。

Editor’s Comment

理系学生が約半数を占める大学ですが「入学直後から卒業まで」をスローガンに教職員が一丸となって熱心に取り組まれており、学生目線、企業目線を持ちながら「学生にとって何が必要か?」「企業に何かお返しができないか?」を真摯に考えている姿が印象的でした。
企業の動きに合わせてフレキシブルにサポート内容を変え、低学年からのキャリア支援や面談数目標、さらに将来のキャリア支援の構想にはっとさせられたインタビューでした。
(マイナビ編集長:高橋)

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