東北医科薬科大学は、前身となる東北薬学専門学校が東北・北海道地区唯一の薬学教育機関として昭和14年に創立。現在は医学部と薬学部の二学部で医療に貢献する専門人材の育成を行っています。これまでに長い歴史の中で24,000名以上の卒業生を輩出。配属教室責任者、キャリア支援センター運営委員、学生の三位一体で行う教職連携のキャリア支援も大きな特徴です。今回は、薬学部キャリア支援センター長兼、薬理学教室教授である丹野氏と学務部キャリア支援課の課長である永沼氏に、6年制の薬学部薬学科と4年制の薬学部生命薬科学科のキャリア支援についてお話を伺いました。
Profile

丹野 孝一 氏
東北医科薬科大学 薬学部キャリア支援センター センター長 / 薬理学教室教授
薬学部キャリア支援センター運営委員会の前身である就職部委員会でも4年間学生のキャリア・就職支援に従事したのち、令和4年4月から薬学部キャリア支援センターのセンター長を務める。さらに、平成23年から医薬品の薬理作用とそのメカニズムを研究する薬理学教室の教授。

永沼 美佐子氏
東北医科薬科大学 学務部キャリア支援課 課長
16年にわたって就職支援やキャリア支援に携わり、国家資格キャリアコンサルタント、日本キャリア開発協会認定CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)などの資格を有する。令和4年4月から現職。
数々のイベントで選択肢を提示し納得の進路を

―キャリア支援の特徴について教えていただけますか。
丹野:本学は薬学部の中に6年制の薬学科と4年制の生命薬学科があります。薬学科の学生は6年次に国家試験を受け合格後、病院や薬局に就職して薬剤師として働く人が多いです。しかし、製薬会社や治験会社、行政などで活躍する道もあります。一方、生命薬学科の学生は、大学院に進み研究に励んだり、薬学科と同じく、製薬会社や治験会社で働いたりします。このように、薬学部の学生が卒業後に活躍できるフィールドは多岐にわたるため、学生それぞれが納得した進路を選択してほしいと考えています。
永沼:そこで、薬学科は4年生、生命薬学科は2年生の4月には自分の視野を広げるためのガイダンスを実施し、早い段階でのキャリア支援を行っています。というのも、薬学科では薬剤師になるものだという固定概念がある学生が多いのです。視野を広げ、やりたい仕事だけではなく、自分に向いているかどうかという観点でも就職先を選べるような支援を心がけています。そのため、年間約45件ものキャリア・就職支援行事を実施し、個別面談や模擬面接、履歴書添削など、丁寧かつ学生に寄り添った支援を行っています。
—イベントなども含めた学生の支援を行っていくうえで、大変さや難しさを感じることはありますか。
丹野:薬学部では卒業の条件に、卒業研究というものがあります。そのため、薬学科は5年次前期から、生命薬学科は3年次後期から教室に配属され、卒業に向けて日々研究に励みます。さらに、薬学科5年次には薬局と病院での実務実習が入っており、キャリア・就職支援行事を開催してもなかなか参加する時間の確保が難しい状況です。したがって、卒業研究と実務実習の合間を縫って支援行事を行うようにスケジュールを組んでいます。
永沼:また、多くのイベントを行うにあたって、キャリア支援センター運営委員をはじめ、多くの教職員が一体となって学生を支援しようという協力的かつ積極的な姿勢で取り組んでくださっているので、とてもありがたく感じています。
丹野:たとえば、国内有数の規模を誇る合同就職説明会や、今年度新たに実施した業界魅力発見セミナーなどの設営・運営もキャリア支援センター運営委員が行っており、教職員にはかなりの労力がかかっていると思います。しかしながら、学生からはかなり好評で、成果がしっかりと出ていると思っています。
85年の歴史という強みを活かしたセミナーを実施

―先ほどお話にあがった業界魅力発見セミナーについて詳しく教えてください。
丹野:このセミナーは、業界・仕事研究セミナーの一環として、今年度初めて実施しました。講師をお呼びし、最初に20分間業界や仕事について説明をしていただきます。また、私たち教員が司会者となって、その業界を選んだ理由や仕事のやりがいなどのお話を伺い、話題を膨らませながら進行しています。苦労したことや大変だったことなども私たちが聞くことで、リアルな声が学生に届けられ、学生に興味を持ってもらいやすくなります。さらに、パネルディスカッションもあり、講師と学生が双方向で対話することができるようにしています。学生が自身のキャリア形成や職業選択について深く考える機会になっていると思いますね。
永沼:双方向で対話ができることは、とても貴重な機会だと思っています。コロナ禍でオンラインでの行事が多く、便利である一方で企業から直接魅力を語ってもらう機会が少なくなったと感じていました。そこで、このセミナーを実施したのです。学生からも好評なので、来年度以降も続けていきたいと考えています。
―セミナーの講師には、どのような方を呼んでいるのですか。
丹野:基本的に講師は、学生と年齢の近い東北医科薬科大学の卒業生ですね。東北医科薬科大学は85年の歴史があるため、卒業生が非常に多いという強みがあります。東北地方で薬剤師として活躍されている方以外にも、教育、研究、行政など、医療に関するさまざまな分野で活躍されている卒業生が多数いらっしゃいます。そういった卒業生の方々に協力していただきながら、今回の業界魅力発見セミナーをはじめとした多くのキャリア支援を行っています。
永沼:同窓会と連携し、卒業生には就職した年の5月ごろに卒業生アンケートを実施しています。つまり、85年の歴史とともに、卒業生のデータが毎年蓄積されているのです。そういった貴重なデータも活用しながら、東北医科薬科大学に在籍している学生に対しても、就職した卒業生に対してもキャリア支援を行っています。また、2年前から卒業後3年目の卒業生も対象にアンケートを行っており、今後もより支援に力を注いでいきたいと思っています。
20年以上続けてきた合同就職説明会でリアルな声を届ける

―では、合同就職説明会についてもお話を伺えますか。
丹野:東北医科薬科大学では、毎年3月に合同就職説明会を実施しており、その歴史は20年以上になります。2023年度は対面で224社が、オンラインも含めると約250社の事業所が参加してくださり、東北だけでなく、東京など全国の企業の話を聞く機会を学生に提供しています。学内のさまざまなスペースを利用し、2日間にわたって実施しました。
永沼:仕組みとしては、企業の基本的な情報や就職についての説明が20分間、10分間の移動が4回あり、最後に30分間のフリータイムがあるといった流れです。参加してくださっている企業数も多いので、学生には企業プロフィールが載っている冊子を事前に渡しています。その情報をもとに、自分で足を運ぶ会社を選び、各担当者に企業の概要や事業所、業務、採用条件などの疑問点を直接聞くことができます。こういったイベントは、リアルな声を聞くことができ、自分自身の将来をより具体的に描ける機会になっていると思っています。
挑戦していることに注力し学生により良い進路選択を

―今後挑戦したいことはありますか。
丹野:すでに実施しているイベントは非常に多いので、さらに新しく増やすというよりも、今年度始めた業界魅力発見セミナーをより一層充実させて、学生の参加率を高めたいと考えています。現在、学内に案内を掲示したり、学生個人のメールアドレスに直接告知したりと、努力はしているのですが、今年度の学生の参加率は50%ほどでした。より内容を充実させ、告知方法も工夫し、さらに多くの学生に参加してほしいと思っています。
―最後に、他大学の皆さまへメッセージをお願いします。
永沼:学部や規模など、それぞれの環境は違うとは思いますが、学生にとってより良い進路選択ができるよう、教員や事務職員のみなさまは、すでにとても努力されていると思います。そのため、各大学が抱えている課題や問題などをお互いに情報共有して、これからの学生の支援に役立てていけたらと考えております。
Editor’s Comment

丹野キャリア支援センター長と永沼課長に取材をさせていただきました。薬学部生の卒業後のキャリアは、学外の人間からすると、単に薬剤師、と想像するのが一般的で、入学する学生も例外ではありません。しかし、実際には多様なキャリアパスが存在し、その多様性を理解させ、自らの意思で選択をし、卒業後も主体的にキャリア形成ができるように、キャリア支援センターでは多種多様なプログラムが提供されていました。北海道・東北地区では最も歴史が古い伝統校だからこそ「OB・OGの協力は大きな財産」という言葉の重みを感じつつ、親身できめ細やかな指導、支援を通じて学生への温かみも同時に感じました。
(マイナビ編集長:高橋)
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