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2026年卒 大学生広報活動開始前の活動調査、キャリア意向調査、企業新卒採用予定調査について|マイナビ編集長コラムvol.9

マイナビ編集長による、各種調査結果を基にしたコラムです。
今回は、2026年卒 大学生広報活動開始前の活動調査、2026年卒 大学生キャリア意向調査3月1日<就職活動・進路決定>、2026年卒 企業新卒採用予定調査について解説します。

Profile

高橋 誠人
株式会社マイナビ 就職情報事業本部 マイナビ編集長
2002年、株式会社マイナビに入社。キャリアサポーターとして10年間マイナビの学生向け広報業務に携わり、関西圏の大学、短大、専門学校での就活支援講座を多数行うなど、学生の就活サポートを精力的にこなす。その後営業の現場で、企業の採用コンサルティングに幅広く関わる。熊本支社長、鹿児島支社長、兵庫支社長を経て、2018年7月より現職。日本キャリア開発協会会員(CDA)。

皆さま、こんにちは。マイナビ編集長の高橋です。
今回は、2026年卒学生の3月1日以前の状況と3月1日時点での内々定率や今後の方針、そして企業の採用動向についてお伝えします。今後のキャリア支援の一助になれば幸いです。

<学生>インターンシップ&キャリアの参加率は85.3%、平均参加社数は5.2社となり、ともに過去最高水準

まず始めに、2026年卒学生の3月1日以前の活動状況を見てみましょう。「2026年卒 大学生広報活動開始前の活動調査(2月)」によると、2026年卒学生のインターンシップ&キャリアの参加率は85.3%、平均参加社数は5.2社と、いずれも過去最高水準に達しています。

参加したことのあるインターンシップ&キャリアの参加形式は、「対面が多い」が前年から9.5pt増加し、35.0%となりました。参加したプログラムの内容として「グループワーク(企画立案、課題解決、プレゼンなど)」(73.5%、前年比1.6pt減)が最多でしたが、「会社見学・工場見学・職場見学」(57.1%、前年比7.2pt増)や「実際の現場での仕事体験」(38.9%、前年比5.7pt増)など、より企業のリアルな様子がわかるプログラムへの参加が増えています。

三省合意によるインターンシップの定義改正から1年が経ち、タイプ3・4の実務体験を含むプログラムが拡充したことで、対面かつ就業体験型のプログラムに参加する学生が増えていると予想されます。

3月以降の活動予定は?

3月以降のエントリー(応募)予定社数は年々減少傾向にあり、2026年卒では10社を割り、8.0社(前年比3.1社減)となりました。文理で比較すると、理系学生のエントリー予定社数がより少なく、文系学生との差は4.2社でした。

インターンシップに参加した企業について、その後の「採用選考に参加しない」という学生は7割を超えていることから、インターンシップを実施している企業であっても、採用選考の母集団形成が容易ではないことが予想されます。

また、最も良い印象を持ったインターンシップであっても、その企業で働きたいと思わなかった理由を聞くと、「その企業に入社して働くイメージができなかったから(23.7%)」という回答が最多となり、インターンシップでは実務体験を希望する学生も増えていることから、いかに具体的に入社後をイメージできるかが、採用選考応募へのポイントとなっているようです。

インターンシップ&キャリア参加のための選考を通過しなかった企業の採用選考を受ける?

インターンシップ&キャリア参加のための選考を設ける企業も多いですが、選考を通過しなかった場合、その後の「採用選考に参加しない」という学生は56.6%と半数を超えました。

採用選考を受けるのをやめようと思った理由としては、「縁がないと感じたから(32.5%)」「インターンシップ&キャリアの選考に通らなかったことにより志望度が下がったから(28.4%)」「採用選考も通らないと思うから(27.7%)」などの回答が多数でした。

就職活動を終えたい時期はいつ?

就職活動を終えたい時期は経年で前倒しの傾向にあるものの、ピークは変わらず「6月(22.0%、前年比3.8pt減)」でした。3月1日から本格的に就職活動が開始されましたが、内々定を得たとしても、多くの学生が6月までは就職活動を継続することが予想されます。

文理別にみると、理系学生は早く終えたいと考えている学生が多く、文系学生と比較すると特に4月以前の割合が多いようです。人によって就職活動を終了したい時期にも差があるため、周囲の状況に振り回されることなく、自分のペースで就職活動を進めることが重要だと思います。

2026年卒学生の3月上旬の状況は?

2026年卒 大学生キャリア意向調査3月1日<就職活動・進路決定>(3月)」によると、3月上旬の内々定の保有率は前年から8.8pt増加し、43.1%となりました。文理別にみると、いずれも前年より増加傾向ですが、特に理系学生の増加率が高く、55.5%(前年比15.2pt増)と半数を超えました。

現時点で内々定を保有しながらも就職活動を継続する学生は前年から4.8pt増加し、29.4%でした。未内々定者も含めた学生全体の活動継続率は8割を超え、依然として高い水準となっています。また、第一志望の企業の選考状況を聞くと「まだ選考を受験していない(35.4%)」という回答が最も多かったです。

学生が考える内々定社数の見込みは?

内々定を得られると思う社数を学生に聞いたところ、全体で平均2.6社となりました。そのなかでも、内々定保有者は最終的に平均2.8社の内々定を得られると見込んでおり、現状の保有社数の平均1.8社から、追加でさらに1社の内々定を得られると考えているようです。

また、未内々定者も平均で2.4社と、2社以上の内々定を得られると見込んでいます。学生は複数の内々定企業を比較検討し、最終的な入社予定先となる1社を絞る考えがうかがえます

<企業>2026年卒の新卒採用計画は?

次は企業の動向を見てみましょう。「2026年卒 企業新卒採用予定調査(2月)」によると、2026年卒の採用予定数は文理ともに「前年並み」が増加しました。「増やす」は2022年卒から2024年卒にかけて2年連続で増加していましたが、2025年卒で減少に転じ、2年連続の減少となりました。

採用充足率が年々低下するなか、前年同様、採用予定目標数はこれ以上増やせない状態まで達し、採用予定数の据え置きが発生していると推測されます。採用決定数を決定する大きな要因としてもっとも多かったのは「従業員の年齢構成」(50.7% )で前年より0.1pt増加しました。

増加幅がもっとも大きかったのは「前年の採用実績」(47.7%)で、前年より1.9pt増加しました。前年(2025年卒)は採用充足率が全体で過去最低となっており、そうした充足率の低下が2026年卒の採用予定数に影響を与えていると考えられます。

新卒全体の採用環境の見通しは?

「厳しくなる」と回答した企業は78.1%(「非常に厳しくなる(26.8%)+「厳しくなる(51.3%)」)となり前年より1.5pt増加しました。前年同様、採用に苦戦すると考えている企業が増えています。

「自社の新卒採用が厳しくなっている要因だと考えていること」を聞いたところ、「新卒学生全体の数が減っていること(67.7%)」が前年同様上位となりました。少子化で新卒学生は減少していく一方、企業の新卒採用に対する意欲は引き続き高いという状況のなかで、少ない人材に多くの企業がアプローチしあう図式になっていることを採用難の要因だと分析する企業が多いようです。

また「給与が低いこと(業界平均などと比較して)」(28.9% )が前年比4.1pt増加し、増加幅としてはもっとも大きくなりました。昨今の賃上げ・初任給引き上げの機運により、給与や待遇面で他社に対して引けを取ると感じる企業が増えていると考えられます。

給与の引き上げについて

給与の引き上げについて聞いたところ、初任給の引き上げを行う予定の企業は合計で54.1%で、前年の47.2%から6.9pt増加しました。詳細を見ると「現時点ですでに引き上げており、さらに引き上げを行う予定」が全体では44.2%、上場企業では43.9%、非上場企業では44.3%となりました。

特に非上場企業で「現時点ですでに引き上げており、さらに引き上げを行う予定」と回答した割合は前年より11.2ptと大幅に増加しました。初任給の引き上げの動きが上場企業以外にも波及し始めているようです。

新卒学生の初任給(支給額)の平均額は2026年卒の全体で225,786円となり、2025年卒に比べて8,999円増加しました。上場企業では14,256円、非上場企業でも8,793円の増加となりました。初任給を引き上げる予定もしくは直近数年ですでに引き上げを行ったという企業に対し、初任給をどれくらい引き上げ予定か(もしくは引き上げたか)を聞いたところ、もっとも多かったのは「5,000円~1万円未満」(40.3%)で、上場企業で42.8%、非上場企業でも40.1%で最多の回答となりました。

初任給引き上げの理由としてもっとも多かったのは「求職者へのアピールのため」(57.1%)となり、「他企業が引き上げをしているため」(51.2%)、「既存社員のモチベーションアップのため」(46.0%)などが続きました。

昨今の初任給引き上げ・賃上げに対する機運の高まりや、学生の初任給に対する関心の高まりによって初任給を引き上げた企業が多いようです。では、初任給引き上げ以外に企業が学生にアピールしている点は何でしょうか?

初任給の引き上げ以外にアピール・説明をしていることは?

初任給の引き上げ以外に待遇面で学生にアピールしたり、丁寧に説明をしていることを聞いたところ、もっとも多かったのは「住宅手当や借り上げ社宅」(46.4%)で、次いで「諸手当(営業手当、資格者手当など)」(45.5%)、「休暇制度」(44.9%)などでした。

「住宅手当や借り上げ社宅」や「各種補助」、「職場環境(オフィス、社員食堂など) 」など上場企業の方が回答の多かった項目があるなか、「奨学金返済補助・代理返済」に関しては非上場企業の方が回答が多くなりました。

奨学金の代理返済制度では、企業が奨学金返還先に直接送金することで返還額に係る所得税が非課税となることがあり、また給与として損金算入されることから「賃上げ促進税制」の対象となることもあるなど、学生だけでなく企業にも税制上のメリットがあるようです。

あとがき

今回は2026年卒学生の3月以前の活動状況、3月上旬の状況と今後の見通し、企業の採用計画などについてお伝えしました。今後も学生が企業を選択する、いわゆる「売手市場」が続きますが、このような状況でこそ、学生の方々には学業を優先しながらも、落ち着いて準備をし、広い視野を持って活動していただきたいと思います。「就職活動」という「点」ではなく、大学入学後の低学年から卒業後も続く「キャリア形成活動」という「線」の捉え方で、学生の皆さまを支えたいと考えています。また、キャリアセンターの教職員の皆さまとともに、「面」でのサポートができれば幸いです。

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